2017年は柔軟な働き方が広まり、女性とシニアの労働参加が進展。一方、学習活動は減少~日本人約5万人の働き方の定点観測『Works Index』第3回結果:リクルート
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘)の人と組織に関する研究機関・リクルートワークス研究所は、全国15歳以上・約5万人の就業実態を毎年調査する「全国就業実態パネル調査」(第3回調査)を実施しました。この結果に基づきまとめた、働き方に関する独自指標「Works Index(ワークスインデックス)」の2017年(第3回)を公開しました。
「Works Index2017」のトピックス
「Works Index」は、「I 就業の安定(安定性)」「II 生計の自立(経済性)」「III ワークライフバランス(継続性)」「IV 学習・訓練(発展性)」「V ディーセントワーク(健全性)」の五つのインデックス(大項目)から成り立ちます。結果からわかったことは次の通りです。
(1)「ワークライフバランス」が改善、「働き方改革」で働き方の自由度がもっとも進展 一方、職場を中心とした「学び」が減少
・インデックス「III ワークライフバランス」は前年から0.6ポイント上昇し64.6点。性、年齢、就業形態別と区分を問わず、あらゆる層で上昇した。
・同インデックスを構成する四つのインディケーター(小項目)の中でも特に「勤務時間や場所の自由度が高い」は1.9ポイント上昇し、全インディケーターの中で最大の上昇幅となった。企業においてテレワーク推進への対応が行われているほか、出勤・退勤時刻を柔軟に決めることなどへの職場の理解も広まっていることが推察される。
・また、雇用者の1週間あたりの労働時間は前年に比べ0.2時間減少。仕事時間の中身をみると、本来業務は4.7ポイント増加しているが、周辺業務の割合は3.2ポイント減少、手待ち時間の割合は1.5ポイント減少した。周辺業務にかける時間や手待ち時間を減らし、本来業務に注力することによって、週労働時間を削減させているといえる。
・一方、インデックス「IV 学習・訓練」は前年から0.5ポイント低下し31.3点。OJTは若年層および1,000人以上の大企業に勤めている人において、減少が顕著。企業が労働時間を減らすとともに、OJTにかける時間も削減していると推察される。また、「Off-JTの機会がある」「自ら学んでいる(自己啓発)」も軒並み低下しており、あらゆる学習行動が減少する結果となった。
・労働時間が削減され自由な時間が増えているにもかかわらず、それを学習にあてる動きは広がっていない。職場でのOJTが減っている中、就業者が自ら学ぶような環境を整備していくことが求められる。
(2)女性やシニアの労働参加が大きく進展
・インデックス「I 就業の安定」は、前年から0.6ポイント上昇し63.6点。女性は全年代、男性は特に55~64歳と65歳以上のシニア層でスコアが上昇し、就業の安定化が進んでいる。
・背景には、女性、シニア層の就業率上昇がある。子育てや介護をしている女性など、従来は就労を希望しなかった人が労働市場に参加する傾向が表れている。
「全国就業実態パネル調査」と「Works Index」について
「全国就業実態パネル調査」(JPSED:Japanese Panel Study of Employment Dynamics)は全国15歳以上の就業実態を調査するものです。本調査の特徴は、約5万人を対象に調査をしていること、また同一の個人を毎年追跡調査をしていることです。働き方の実態を「質」と「量」の両面から総合的かつ詳細に測定しています。
「Works Index」は「全国就業実態パネル調査」の結果に基づき、リクルートワークス研究所が開発した働き方を可視化する独自指標にて可視化、検証し、その結果を毎年継続的に発表しています。加えて、毎年個別のテーマに沿って詳細な分析を発表することで、一人ひとりが生き生きと働き続けられる社会の実現に貢献することを目指しています。
「Works Index」について
「Works Index」は、日本における働き方を可視化するための指標です。「全国就業実態パネル調査」開始にあたり、リクルートワークス研究所が独自に開発しました。
個人が生き生きと働き続けられるために必要と考える五つのインデックスによって構成されています。それぞれのインデックスにはインディケーターと呼ぶ構成要素が含まれます。インディケーターに関連するパネル調査(追跡調査)の結果から、それぞれのインデックスの値を算出し、0~100点の間の値で示します。
「全国就業実態パネル調査」では、この「Works Index」を主な指標として、就業の実態を経年で測り、比較することで働き方の課題を検証します。
<調査概要>
全国就業実態パネル調査(JPSED:Japanese Panel Study of Employment Dynamics)について
調査目的:調査前年1年間の個人の就業状態、所得、仕事の状況などを、毎年追跡して調査を行い、日本における就業状態の変化や所得の変化を把握する
調査対象:全国15歳以上の男女
調査時期:毎年1月
調査手法:
インターネットモニター調査。調査会社保有の調査モニターに対して調査を依頼。2016年実施第1回調査で回答の得られたサンプルに対し、今後毎年1月に調査を依頼する。また有効回答数を確保するために、回答が得られない属性に近いサンプルを同時に調査を依頼した
標本設計:
総務省統計局「労働力調査」のデータをもとに、性別、年齢階層別、就業形態別、地域ブロック別、学歴別の割付を行った。割付は、母集団を反映するように設定。ただし、10代の非労働力人口と65歳以上については、実際の人数よりも少なく割付
集計方法:
10代の非労働力人口と65歳以上については、実際の人数よりも少なく割付をして回収しているため、母集団を反映する結果となるようにウエイトバック集計を実施している。本報告書では、ウエイトバック集計後で、社会人として働いた経験のない学生を除き、 15~74歳の回答者にサンプルを限定した結果を掲載(集計対象者数はウエイトバック前)
全国就業実態パネル調査(第3回調査)について
調査時期:2018年1月12日~1月31日
有効回収数:50,677名
※第3回調査より、回答者は継続サンプル(昨年回答者)と追加サンプル(今年の新規回答者)と復活サンプル(2017年調査は回答していない2016年調査回答者)の3種類が存在する
・継続サンプル(昨年からの継続回答者):37,503名
・追加サンプル(今年の新規回答者):10,369名
・復活サンプル(2017年調査は回答していない2016年調査回答者):2,805名
※上記のうち21サンプルは、今年の調査で海外に移住していたため集計対象から除外している
※調査結果詳細(レポート)はこちら(PDF)より参照ください
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルート https://www.recruit.co.jp/ /6月6日発表・同社プレスリリースより転載)