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【ヨミ】ワンオンワン

1on1

1on1とは?

「1on1」ミーティングとは、定期的に上司と部下が1対1で話し合うことを言います。米国シリコンバレーでも“1on1 meeting”は文化として根付いており、人材育成の手法として世界的に注目を集めています。その特長は、上司が部下の成長のために時間をつかう、ということ。日本ではヤフーが取り入れたことで話題になり、現在は多くの企業で導入が進んでいます。

更新日:2024/03/26
1on1イメージ

1. 1on1の意味と効果

1on1とは?

1on1ミーティングは、部下の成長を目的に行われる1対1のミーティングのことであり、プロジェクト遂行などのために、目標や成果を確認する面談とは異なります

1on1ミーティングにおいて重要なのは、上司が部下に現状の問題の解決策を考えさせること。そのため、「部下に話をしてもらう」「上司が先に自分の考えや答えを言わない」「上司に依存した関係にならないようにする」といったことに注意しなければなりません。また、問題があれば、その解決に向かって部下を実際の行動に導くことも必要です。つまり、1on1ミーティングとは、あくまでも「人材育成」を目的にしたミーティングなのです。

1on1に期待される効果

ヤフー、パナソニック、日清食品、ソニー、楽天、クックパッドなど、1on1ミーティングは日本の大手企業でも続々と採用されています。企業はどのような効果を期待しているのでしょうか。

1on1ミーティングを先駆的に取り入れてきたヤフーは、「経験学習の促進」と「社員が自分の才能を自分で発見する」効果があるとしています。これらから「時代の流れの速さに対応できる社員を育成」という狙いも読み取れます。具体的にはどのような効果があるのか、見ていきましょう。

「経験学習の促進」

一人だけでは考えきれないこと、思い悩んで時間を無駄にしてしまうことでも、上司と話し合うことで、部下はより早く解決の糸口を見つけることができます。1on1ミーティングでは、積極的にその機会を設けることで、経験学習のサイクルを促進するという目的があります。

「社員が自分の才能を自分で発見する」

人は自分にどういった才能があるのか、何が得意なのか、自分ではよくわからないことがあります。ヤフーは「社員の才能を解き放つ」ことを重要視しており、1on1ミーティングを通して仕事や職場環境からの経験学習を促進することで、自らの才能に気づきやすい環境を整え、情熱あふれる職場にすることを目指しています。

例えば、1on1ミーティングの途中で、上司が「どのような仕事をしたいのか」と問いかけることがあります。この回答によって部署異動が決まることはあまりありませんが、このような問いかけをきっかけに、部下は自分のやりたいこと、あるいは現状の仕事の不満点などを自省し、「本当の自分」に気づくことができます。

自分で自分の才能を発見するイメージ

時代の流れの速さに対応できる社員を育成

IT技術の発展で情報の移り変わりが加速化するなか、「自分で考える社員を育成したい」という各企業の思惑が、1on1ミーティングの流行を促進しているようです。指示された仕事をする社員ばかりでは、それぞれの知識をぶつけ合って相乗効果が生まれることもなければ、イノベーションが生まれることもありません。時代の流れの速さに対応できる社員を育成するために、1on1ミーティングが活用されているのです。

参照:Yahoo!の1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法(本間浩輔)p.54-62

2. 1on1ミーティングのメリット・デメリット

期待されるメリットは?

1on1ミーティングは、上司と部下とのコミュニケーション機会を制度として定期的に設置するものであり、以下のようなメリットが期待されます。

  • 気軽な話し合いの場としてコミュニケーションを改善
  • じっくり話し合うことによる関係性の改善
  • 高頻度の進捗確認
  • 短期間での評価

1on1ミーティングには、会社のコミュニケーションを円滑にするというメリットがあります。「忙しいから話しかけにくい」と思っていた上司とも、じっくりと話をすることができます。「苦手だな」と思っていた上司でも、一対一で話し合うことで、意外な一面を発見し、関係性がよくなることもあります。

週1回などと頻度を決めることで、定期的に部下の仕事の進捗状況を確認し、評価できるというメリットもあります。「あまり私のことを見てくれないから、適切な評価がされていない」といった部下の不満も、解消することができるかもしれません。

また、ハラスメントにならない程度に身近な話をすることで、お互いに親近感を感じるようになれば、仕事上のコミュニケーションもうまくいきやすくなります。このように1on1ミーティングには、コミュニケーションの活性化や進捗状況のこまめな把握、部下を平等に扱うことができることなど、さまざまなメリットがあるのです。

注意すべきデメリットは?

一方で、1on1ミーティングには、お互いに話し合いをする目的がわからなくなってしまったり、時間をとられてしまったりするなどのデメリットもあります。このデメリットに対処せずにいると、部下から「目的のない話し合いには参加したくない」「面談に時間をとられたくない」と思われてしまう恐れもあります。

デメリットに対処するためには、上司がしっかりと「部下の成長のため」という目的を意識し、戦略的に話を聞いて、効率的に時間を使うことが必要です。

3. 1on1ミーティングの方法

目的とスケジュールを伝える

1on1ミーティングの日付を設定し、目的を共有します。「1on1ミーティングを行います」と言うだけでは、部下が準備不足で参加する可能性が高くなります。なんのための場なのか、その目的を共有することで、時間を有効に活用できます。雑談だけで終わってしまう、上司ばかりが話しているなど、1on1ミーティングの有効性に不安がある場合は、とくに目的をすり合わせておくことが重要です。

例えば課題や悩み、現状について部下に話してもらい、上司と共に解決策や改善点を考える場であることを共有します。仕事の成果や進捗を確認する面談とは異なると伝えておくことで、部下が話しやすい土台を作れます。

スケジュールは「月1回30分」「2週間に1回20分」といったように設定すると、継続的な場であることを共有できます。

話す内容を考える

スケジュールと目的を共有したら、1on1ミーティングに向けて、話す内容を準備します。1on1ミーティングで話す主体となるのは部下です。上司は部下が話しやすい雰囲気づくりに向けて、話題を見つけておくことが求められます。

アイスブレイクとして取り上げやすいのは、共通の話題です。「最近の流行」や「天気の話題」は、場の雰囲気を和らげるのに効果的です。ただし、あまりにも仕事とかけ離れた話題だと、部下から業務の相談を切り出しにくくなる可能性もあります。休日の過ごし方や家族のことなど、プライベートに踏み込んだ話題は、部下との関係性を見極めたうえで使い分ける必要があります。

「部下の仕事内容」を取り上げるのも、部下が話をしやすくなる方法の一つです。「〇〇はすごくよかったね」など、ポジティブなフィードバックをしたあと、「最近仕事はどう?」とつなげ、仕事について切り出しやすい流れをつくります。1o1ミーティングに向けて、日頃から部下の行動や仕事ぶりを観察しておくことが大事です。

実施して記録する

1on1ミーティングが終了したあと、話した内容を簡潔にまとめます。1on1ミーティングで話題にあがった課題や悩みが、部下の行動によって解決につながるのがベストの結果です。変化があらわれるまで時間がかかるかもしれません。記録があれば、次の1on1ミーティングの前に、部下自身が振り返って確認できます。

4. 1on1ミーティングを活用して新しいリーダーの育成を

1on1ミーティングでは、部下の成長につながる気づきやアドバイスを与えることが重要です。自分の業務に対して、腹を割って相談できる相手は、1on1ミーティングなどで時間と場所を作らない限り、なかなか見つけることができません。

「面談」などのかしこまった場ではなく、業務を深く理解した上司と気軽に話す1on1ミーティングは、部下の成長を促します。この機会に、1on1ミーティングの導入を考えてみてはいかがでしょうか。

リーダー育成イメージ

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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