国家公務員の給与
国家公務員の給与とは?
国家公務員は民間の勤労者とは異なり、争議権や団体交渉権など憲法で保障された労働基本権が制約されています。そこで給与については、人事院が労使当事者以外の第三者の立場に立ち、民間との比較を基に国会と内閣に対して勧告を行い、適正な水準を確保することにしています。
「官民格差」を是正するために
政府は基本給を一律5%引き下げる方針
人事院が民間との比較を基本にして勧告を行っている理由は、(1)国は民間企業と異なり、市場原理による給与決定が困難であること(2)国家公務員も勤労者であり、社会一般の情勢に適応した適正な給与の確保が必要であること(3)国家公務員の給与は国民の税金で賄われており、労使交渉や雇用情勢などによって反映される民間の給与に合わせるのが最も合理的、などと考えられているからです。
給与勧告の直接の対象となるのは、非現業の一般職国家公務員約30万人ですが、裁判所職員、国会職員、自衛官などの特別職国家公務員、地方公務員、さらには学校・病院の職員などの多くも、この勧告に準じて給与が決められます。
2002年と2003年については、一般職国家公務員の給与は引き下げられましたが、2004年は3年ぶりに給与の据え置きが勧告されました。また、民間企業のボーナスに当たる期末・勤勉手当も、前年と同じ4.4カ月が支給され、国家公務員の平均年収は6年ぶりに前年の水準を維持しました。
しかし、リストラや賃金調整が進んでいる民間に比べると、まだまだ国家公務員の給与は高すぎるとの批判が少なくありません。2003年の国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者4466万人(1年を通じて勤務)の平均給与は444万円、内訳は男性が544万円、女性が275万円でした。これに対して国家公務員の給与は平均推定で629万5000円となっており(2004年・人事院調べ)、調査方法が異なるため単純な比較はできないものの、国家公務員の給与水準が民間を上回っているのは明らかです。
こうした「官民格差」を是正するため、政府は国家公務員の基本給を全国一律で5%程度引き下げる方針を固めました。今年8月の人事院の勧告に盛り込み、関連法案を成立させたうえで、ただちに実施したい考えのようです。
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