求職者支援制度
求職者支援制度とは?
「求職者支援制度」とは、雇用保険を受給できない求職者(受給を終了した人を含む)を対象に、無料職業訓練を実施するとともに訓練期間中の生活保障として給付金を支給し、早期の就職を支援する制度です。リーマンショック後の深刻な雇用悪化を受けて、すでに2009年7月から同制度の原型となる「緊急人材育成支援事業」が先行実施されていましたが、この臨時措置が本年9月限りで終了するため、10月に求職者支援法を施行し、セーフティネットを恒久化する新制度としてスタートします。
雇用における新たなセーフティネット
無料の職業訓練と月10万円の生活支援
派遣などの非正規労働者や失業給付の受給が終わった離職者のように、雇用保険の枠組みから外れると、安定した職を得るのが困難になり、窮した場合、生活保護のセーフティネットに頼るしかありませんでした。そこで、雇用における新たなセーフティネットとして、求職者の生活を支援しながら職業訓練を行う「緊急人材育成支援事業」が09年7月から実施されてきましたが、同事業はあくまで臨時の措置であり、今年9月をもって終了となります。このため、職業訓練によるセーフティネットの恒久制度化が求められ、5月に「求職者支援法」(職業訓練の実施などによる特定求職者の就職の支援に関する法律)が成立。同法に基づいて無料の職業訓練・訓練期間中の生活給付・ハローワークにおける就職支援を行う「求職者支援制度」として、今年10月から実施される運びとなりました。
従来の支援事業は、国が財源を全額負担していました。しかし今回、制度を恒久化するにあたっては、ひっ迫する財政事情から雇用保険の活用も必要と判断され、国が1/2、労使双方がそれぞれ1/4ずつを負担することになりました。
雇用保険の対象ではない人に対するセーフティネットを支えるために雇用保険の枠組みを使い、労使にも一定の財源負担を強いる以上、給付制度や訓練のあり方に厳しい見直しが求められるのは当然でしょう。従来、訓練期間中の生活費などの受給条件は年収額が基準でしたが、新制度では月収を基準とします。単身の場合は8万円以下。扶養者がいる世帯は25万円以下となる予定です。金融資産も従来の800万円以下から300万円以下に。いずれの要件も雇用保険の被保険者との比較から厳格化されました。給付額は一律月10万円と訓練期間までの交通費(実費)を支給。給付期間は原則1年で、訓練期間が1年を超える場合は2年までとなります。
訓練についても、興味本位の受講はセーフティネットの趣旨に反するため、対象者は公共職業安定所長の指示する訓練に、原則としてすべて出席しなければなりません。病気などのやむを得ない理由があっても、80%以上の出席が給付金支給の要件となります。訓練の受講者に対しては、ハローワークで個別に支援計画を作成。定期的な来所を求めて、強力な就職支援を実施するとしています。
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