目標設定理論
目標設定理論とは?
「目標設定理論」とは、目標が人のモチベーションに及ぼす効果について着目した理論のこと。1968年に米国の心理学者エドウィン・ロック氏が提唱しました。本人が納得している目標に関して言えば、曖昧な目標より具体的で測定可能な目標のほうが、また、簡単に達成できる目標より難易度の高い目標のほうがモチベーションを高め、高い成果をあげることがわかっています。「MBO(Management by Objective)」などの理論的背景として説明されることが多く、職場に取り入れることで従業員の貢献意欲を強化し、成果へとつなげることができるとされています。
目標設定が成果を左右する。
モチベーションを上げる三つの要素
あなたの職場では、目標がどのように決められ、進捗管理はどんなふうに行われていますか。ほとんどの企業では、人事評価のために一定期間の目標を設定します。当たり前のように行われている目標設定ですが、そもそもなぜ必要なのでしょうか。
その答えとなるのがエドウィン・ロック氏の目標設定理論。この理論では、目標設定がモチベーションを左右すると考えられています。従業員に高い成果を上げてもらうためには、適切な目標設定を行い、モチベーションを高く維持しなければいけません。
モチベーションに影響を及ぼす要素は三つ。一つ目は目標の難易度。簡単に達成できてしまう目標ではなく、努力することでやっと達成できる目標のほうがモチベーションを高めます。人はタスクと時間とを照らし合わせ、業務を遂行するペースを無意識的に調整します。そのため、低い目標を設定してしまうと悪い意味で心に余裕が生まれ、生産性が下がってしまうのです。
ただし、難易度が高ければいいわけではありません。高すぎる目標は本人のやる気を削いでしまいます。また「本人が納得している」ことがモチベーションに大きく影響するため、上から一方的に突きつけられた目標では効果を発揮しません。
二つ目は目標の具体性。曖昧で抽象的な目標より、定量的で具体性のある目標のほうが強い動機づけにつながります。「できるだけ多くの契約を取りましょう」と言われるのと、「10社の契約を取りましょう」と言われるのとでは、目標の達成に向けてどのような行動をとればよいか解像度が変わってきます。
三つ目はフィードバックの有無。目標とフィードバックを組み合わせることでモチベーションを高めることができます。特に目標に対する進捗が芳しくない人に対するフィードバックは改善効果が高いと言われています。タイミングも重要で、目標の対象期間が終わったあとに振り返りとして実施しても効果は薄く、早い時期に行ったほうが成果につながりやすいと考えられています。
昨今は1on1が流行していますが、定期的な面談は目標に対する進捗を確認しあう絶好の場です。適切な目標設定と定期的なフィードバックを行い、従業員がモチベーションを高く保てる環境を整えることが大切です。

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