【労働法超入門】雇用保険の二重加入制度
労働新聞社
令和4年1月から改正雇用保険法が施行され、高年齢者を対象とする二重加入の特例制度がスタートします。令和2年9月には、改正労災法により、ダブルワーカーに対する保護が強化されていますが、それと呼応する措置です。
雇用保険の現行の仕組みでは、労災保険と異なり、二重加入が認められていません。「主たる賃金を受ける雇用関係」についてのみ、加入資格が生じます。また、1週間の所定労働時間が20時間以上であることも、加入要件とされています。
二つ以上の事業所を掛け持ちで働き、いずれも短時間就労の場合、2事業合計の労働時間が週20時間以上でも、雇用保険の被保険者にはなれません。副業・兼業の促進を図るためには、複数就業者の受け皿となる新しい枠組みが求められます。
令和4年施行の改正雇用保険法では、「試行的に」対象を高年齢者に限定として特例を設けました。次の3要件を満たすときは、二重加入が認められます。
(1)2以上の事業所で雇用される65歳以上の高齢者である
(2)それぞれの事業所の週所定労働時間が20時間未満である
(3)複数事業所(5時間以上の事業所を合計)の週所定労働時間の合計が20時間以上である
65歳以上の高齢者は、雇用保険の区分上は、「高年齢被保険者」となります。一般の被保険者とは違い、失業給付は、一時金(高年齢求職者給付金)の形で支払われます。
二重加入している高年齢被保険者が失業すれば、当然のことですが、2事業所分の賃金を合算した額をベースとして一時金が支給されます。
片方だけ失業(部分失業)したときも、失われた賃金に応じた保険給付が行われます。すなわち、失業した事業所の賃金のみを基準として、高年齢求職者給付金の額が計算され、支給されます。
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