アビームコンサルティング
「グローバル経営を加速する人材マネジメント」調査レポート発表
アビームコンサルティング(東京都千代田区、岩澤俊典・代表取締役社長)は、グローバル企業における人材マネジメントの現状と課題、今後の取り組みに関する聞き取り調査を実施し、「世界で勝てる組織」の人材マネジメントのあり方について考察をまとめ、発表しました。
今日のグローバル経営は、新興国市場の急成長、海外企業の買収、事業本社の海外移転などによって、複雑さ、難しさを増しています。こうした状況において、日本企業は経営人材の育成、グローバル本社(経営リーダーチームとそれを支援するスタッフ部門)の確立、取締役会のグローバル化という大きな課題に直面しています。経営リーダーチームに誰が就くのか、取締役会のメンバーをどうするのかという問題は、経営人材の育成に帰着します。
本調査は、アビームコンサルティングが2009年3月から2009年5月にかけ、東証一部上場で連結売上高1,000億円以上、海外売上比率20%以上の日系グローバル企業20社と外資系グローバル企業2社の計22社を対象に実施した聞き取り調査に基づいています。聞き取り調査は、人事部門または経営企画部門の責任者(担当役員、部長クラス)との対面インタビュー形式で実施しました。22社中18社は製造業、4社は非製造業となっています。
グローバル企業22社に対して詳細なインタビューを実施することで、日系グローバル企業が世界で勝てる組織になる上での人材面での課題が浮き彫りになりました。
■ 調査サマリー
1.インタビュー調査の結果、グローバル製造業は権限と機能の分散状況に応じて、分権化、分散化、二元化、ワン・カンパニーの4段階(注1)に分類できることが判明した。ワン・カンパニーは、権限と機能が有機的に統合されたグローバル企業である。ワン・カンパニーを直接目指すのではなく、日本と海外の二元化を経てワン・カンパニーを目指す企業もある。日系製造業(17社)の内訳は、分権化35%、分散化41%、二元化12%、ワン・カンパニー12%である。権限と機能が分散している企業が76%であり、有機的な統合に進んでいる企業は24%と少数である。
(注1)
・分権化: 海外子会社への権限委譲が進んだ段階
・分散化: 海外企業の買収、研究開発の一部海外移管など、権限と機能の分散が進んだ段階
・二元化: 海外事業を管理する専門組織を設置。日本と海外との二元的なマネジメントの段階
・ワン・カンパニー: 分散した権限と機能を有機的に統合した段階
2.分散化段階にある企業は、海外企業の買収や事業・機能の本社(本部)の海外への移転を実施しており、海外に対するガバナンスが問題になりやすい。そこで、分散した権限と機能の有機的な統合が必要となるが、二元化とワン・カンパニーの製造業(4社)のうち75%で日本本社の社長や海外事業の責任者に外国人を起用しており、分散から統合へ向かう上で人材ギャップの存在が明らかとなった。
3.権限と機能が有機的に統合されたワン・カンパニーとなるためには、国を越えた組織の一体感の醸成が不可欠である。そのためにはグループの価値観(行動規範)をグローバルで共有することが重要になるが、日系グローバル企業(20社)のうち、65%が価値観の海外への浸透を課題と認識し、具体的な取り組みを実施していることが分かった。特に、急速に成長を遂げている中国などの新興国において、価値観の浸透に苦慮している企業が目立つ。また、現地への情報発信を強化し、現地と情報を共有することも非常に重要だが、その際避けて通れないのが言語の問題である。二元化、ワン・カンパニー段階にある製造業(4社)では100%の企業が、グローバル・オペレーションの共通言語を英語にしている。
4.これまで日系グローバル企業は、日本人を中心に経営人材を育成し、海外拠点に派遣してきたが、需要に供給が追い付いていない状況である。将来にわたり日本人中心の経営を維持しながら、ワン・カンパニーを実現することは益々難しくなる。そこで、現地人材から経営人材を計画的に育成する必要があるが、日本本社主導で現地経営人材を計画的に育成・活用しようとしている企業は僅か20%であることが分かった。特に成長が著しい新興国では経営人材の確保が成長戦略を実現する制約となることから、現地経営人材の育成と活用が待ったなしの状況にある。
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アビームコンサルティング http://www.abeam.com/jp//同社プレスリリースより抜粋・8月5日