企業におけるリスキリング施策の実態調査(2025年3月版)
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループのパーソルイノベーション株式会社 Reskilling Camp Company(本社:東京都港区、ReskillingCamp Company代表:柿内 秀賢)が展開する、リスキリング支援サービス『Reskilling Camp(リスキリングキャンプ)』は、全国の企業にお勤めの方を対象に、「リスキリング施策」に関する定点調査を四半期ごとに実施しています。
9回目となる今回は、定点観測に加え、リスキリングにおける失敗事例や報酬の変化、生成AIの業務活用における課題などを調査しましたのでその結果をお知らせします。
※本調査でいうリスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。
調査サマリー
- リスキリング施策の実施率は、継続して全体で約40%の傾向を維持し、大企業では約60%超が実施
- リスキリングで重視するスキルの上位3位は、「データ活用」「AI活用(ChatGPT等)」「セキュリティ」
- リスキリング施策を実施した企業の70%以上が成果を実感
- リスキリング施策における失敗事例が判明
- 約半数が1週間に1回以上生成AI(ChatGPT等)を業務活用しているものの、具体的な課題も明らかに
- リスキリング施策の取り組んだ方の約70%が月額報酬がアップし、中には5万円以上アップした方も
参考データ
- リスキリング施策の実施率(全体・企業規模・業種別)
- リスキリング施策において重視するスキル(全体・企業規模別)
- リスキリング施策の成果実感(全体)
- リスキリング施策の失敗例(全体)
- 生成AI(ChatGPT等)の業務活用状況(全体)
- 生成AI(ChatGPT等)業務活用における課題(全体)
- リスキリング施策への個人の取り組み状況(全体)
- リスキリング施策での報酬額変化(全体)
調査結果
リスキリング施策の実施率は継続して約40%の傾向を維持
所属企業において、「直近1年の間で、従業員のリスキリング施策に関する取り組みを行いましたか︖」と尋ねたところ、「実施した」との回答は、前回の41.8%に比べ0.1PT減少し、今回は41.7%となりましたが、2023年の調査以来継続して約40%の傾向を維持しています。
企業規模別でみると、大企業では、「実施した」との回答が63.3%と前回の63.0%に比べ、0.3PT上昇し、中小/スタートアップ企業では、33.4%(前回31.9%)となり、1.5PT上昇しておりますが、リスキリング施策は、引き続き大企業が先行して取り組んでいる実態が伺えます。
業種別でみると、製造業において「実施した」との回答が61.8%と情報通信サービス業28.5%、その他37.9%と比較して、60%以上が実施していることが分かりました。
リスキリングで重視する上位3つのスキルは、1位「データ活用」2位「AI活用(ChatGPT等)」3位「セキュリティ」
所属企業が取り組むリスキリング施策において、「重視されるスキルは何ですか?」と尋ねたところ、全体1位は「データ活用」(38.6%) 、2位「AI活用(ChatGPT等)」(34.1%)、3位「セキュリティ」(32.2%)となりました。
また、上位3つのスキルに続き「ITプロジェクトマネジメント」(30.7%)、クラウド活用(30.0%)も30%を超える結果となりました。
企業規模別でみると、大企業の1位は「データ活用」(40.5%)、2位「AI活用(ChatGPT等)」(39.7%)、3位「ITプロジェクトマネジメント」(37.4%)に対し、中小/スタートアップ企業の1位は「データ活用」(38.5%)、2位「セキュリティ」「AI活用(ChatGPT等)」(29.2%)、3位「ITプロジェクトマネジメント」(25.4%)となりました。
データ活用やAI活用が実際に取り組まれている上で重要視されているのに加え、クラウド活用も重要視されてきていることがわかりました。
リスキリング施策実施企業の70%以上が成果を実感
所属企業が取り組むリスキリング施策において、成果実感について尋ねたところ、「大きな成果が実感できた」との回答は、12.4%(前回16.0%)、「成果を実感できた」との回答は59.2%(前回55.0%)となり、リスキリング施策の成果を感じている企業は、全体で71.6%となりました。
リスキリングにおける失敗例が明らかに
所属企業におけるリスキリング施策の失敗例について尋ねたところ、全体の1位は「従業員任せになり、成果に繋がらなかった」(38.2%)、2位「研修・学習内容が実務にマッチしていなかった」(35.6%)、3位「会得したスキル・知識を実践する場がなかった」(31.8%)となりました。
リスキリングの実施率が全体で40%を超えている状況の中、リスキリング施策を実施した先に何を達成したいのかのゴール設定や成功させるための企画策定や要件の整理、学習カリキュラムや実際に運用していく際の設計など育成戦略の重要性が明らかになりました。
全体の約半数が1週間に1回以上生成AI(ChatGPT等)を業務活用しているものの、具体的な課題も浮き彫りに
所属企業での生成AI利用における公式環境が用意されていると回答した方にどれくらいの頻度で活用しているか尋ねたところ、約半数が1週間に1回以上生成AIを業務活用していることが明らかになりました。
また、業務活用する上での課題について尋ねたところ、1位「検索エンジンと似た使い方が主で活用効果を実感できていない」(45.0%)2位「業務プロセスに組込む方法がわからない」(30.9%)、3位「生成AIの回答内容が低精度で役立たない」(29.8%)など実務において効果的な活用に向けた理解と導入に対する障壁を抱えていることが伺えます。
リスキリング施策の取り組んだ方の約70%が月額報酬がアップし、中には5万円以上アップした方も
リスキリング施策について、自身が取り組んだか尋ねたところ、41.7%が取り組んでいると回答しました。
業種別では、製造業が64.2%と通信情報サービス業の23.5%、その他42.8%に対して顕著に高い結果となりました。
また、リスキリング施策に取り組んだ結果報酬額にどの程度影響があったか尋ねたところ、70%以上がアップしたと回答し、その中でも月額2万円程度アップしたと回答した方の割合が最も多く、28.5%となりました。中には、月額5万円以上アップしたと回答した方も5.2%いました。リスキリングへの取り組みがスキルだけでなく、報酬変化にも関わってくることが伺えます。
まとめ
パーソルイノベーション株式会社Reskilling Camp Company代表 柿内 秀賢
9回目となる本調査では、定点観測的な項目に加え、リスキリングにおける失敗事例や報酬変化、生成AIの業務活用状況や具体的な課題などについても調査しました。
今回の調査の結果でも継続的に4割の企業がリスキリングを実施しており、重要視するスキルでは、クラウド活用など新たなスキルも重要視されてきていることがわかりました。
また、リスキリングの成果実感に加え、実際の失敗例も調査することで、企業が抱えるリスキリング施策の実施における具体的な課題や実務に合わせた実施計画の重要性を再認識する結果となりました。
同様に、生成AIの業務活用における課題感でも、約半数が1週間に1回以上生成AIを業務活用しているものの、効果的な活用方法の理解不足や業務プロセスへの組み込みの難しさなどが明らかになったことで、生成AIを用いて何を実現していくべきなのか、その旗振り役となるリーダーが求められます。
調査概要
調査手法 ︓ インターネットリサーチ Fastask(株式会社ジャストシステム提供)でアンケート調査を実施
調査対象 ︓ 全国の企業にお勤めの方
調査期間 ︓ 2025年1月30日(木)~2025年2月4日(火)
対象人数 ︓ 600
企業属性 ︓
※大企業︓従業員数が300人以上の企業
※中小企業とスタートアップ︓従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置かない企業と従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置く企業。大企業の子会社やグループ会社は含まれない。
※ 製造業:電子部品・デバイス・電子回路製造業、情報通信機械器具製造業、電気機械器具製造業(上記に含まれないもの)、その他製造業
※通信情報サービス:通信業、情報サービス業、その他の情報通信業
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルイノベーション株式会社/4月2日発表・同社プレスリリースより転載)