組織に関するアンケート調査
チーム、職場、直属の上司、仕事に対する「不満」が最も多いのは40代 40代の「職場のミッドライフ・クライシス」の兆しが示される
全国の一般職・管理職・役員およそ6,000名へのアンケート調査
このたび、株式会社スコラ・コンサルトが、全国の社員100名以上の企業の一般職・管理職・役員およそ6,000名を対象に行った「組織に関するアンケート調査」の結果、今のチームのメンバーでいること、現在の職場、直属の上司、現在の仕事、それぞれに対する「不満」の回答は、20代~60代の中で40代が最も多いことが分かりました。40代は一般に、仕事のパフォーマンスが高い一方で、期待やプレッシャーも大きくなる年代です。また20代と60代の中間の年代となり、上の世代からも下の世代からもストレスを受ける立場です。このように40代の不満が高い状態は「職場のミッドライフ・クライシス」の兆しと言え、対策が求められます。本調査結果を受けて、「職場のミッドライフ・クライシスを防ぐ対策」についても解説します。
【調査結果の要旨】
Topic1.「今のチームのメンバーでいること」への不満は40代が最も多い
Topic2.現在の職場への不満、40代の不満が最も多い
Topic3.直属の上司への不満、40代の不満が最も多い
Topic4.現在の仕事への不満、40代の不満が最も多い
Topic5.40代が上の世代・下の世代と接して驚いた・困った経験の自由回答の抜粋
Topic1.「今のチームのメンバーでいること」への不満は40代が最も多い
Q. 「今のチームのメンバーでいることに満足している」について、当てはまるものを選んでください(単一回答)<単純集計>(一般職・管理職・役員)
「今のチームのメンバーでいることに満足している」(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」の合計)割合は、20代は54.0%、30代は43.5%、40代は42.4%、50代は43.9%、60代は50.6%と、40代が最も低い。40代は20代より11.6%低く、60代より8.2%低い。
「今のチームのメンバーでいることに不満」(「そう思わない」と「どちらかと言えばそう思わない」の合計)割合は、20代は15.4%、30代は22.3%、40代は24.8%、50代は22.6%、60代は14.9%であり、40代が最も高い。
Topic2.現在の職場への不満、40代の不満が最も多い
Q.あなたは、現在の職場にどのような不満を持っていますか。当てはまるものをすべて選んでください。<単純集計>(一般職・管理職・役員)
上位10項目のすべてで40代の回答が最も多い。
グラフから外れた11位以下も含む全選択肢の20項目について、回答の合計ポイント(各選択肢のパーセンテージの合計)は、20代は148.9ポイント、30代は186.5ポイント、40代は213.2ポイント、50代は185.5ポイント、60代は167.0ポイントと、40代の不満の回答が最も多い。
40代の回答の上位3つは次の通り。
・「一部の人に業務が集中している」26.7%
・「社員のそれぞれの仕事が手一杯で余裕がない」22.9%
・「仕事を怠ける、サボる社員がいる」20.4%
Topic3.直属の上司への不満、40代の不満が最も多い
Q.あなたの直属の上司について、あなたが不満に思うことは何ですか。当てはまるものをすべて選んでください。<単純集計>(一般職・管理職)
上位10項目のうち7項目で、40代の回答が最も多い。
グラフから外れた11位以下も含む全選択肢の22項目について、回答の合計ポイント(各選択肢のパーセンテージの合計)は、20代は139.4ポイント、30代は168.9ポイント、40代は194.7ポイント、50代は168.2ポイント、60代は177.3ポイントと、40代の不満の回答が最も多い。
40代の回答の上位3つは次の通り。
・「部下への仕事の配分が適切でない」16.9%
・「上の役職者の顔色ばかりを気にしている」15.9%
・「部下への教育や助言が不十分」15.9%
Topic4.現在の仕事への不満、40代が最も不満が多い
Q.あなたは、現在の仕事にどのような不満を持っていますか。当てはまるものをすべて選んでください。<単純集計>(一般職)
上位10項目のうち7項目で、40代の回答が最も多い。
グラフから外れた11位以下も含む全選択肢の16項目について、回答の合計ポイント(各選択肢のパーセンテージの合計)は、20代は160.6ポイント、30代は188.0ポイント、40代は212.8ポイント、50代は185.2ポイント、60代は138.7ポイントと、40代の不満の回答が最も多い。
40代の回答の上位3つは次の通り。
・「仕事の負担やストレス、プレッシャーが大きすぎる」27.4%
・「仕事に必要なリソース(人、モノ、金)が不足している」26.8%
・「仕事の進め方が非効率的すぎる」19.8%
Topic5.40代が上の世代・下の世代と接して驚いた・困った経験の自由回答の抜粋
Q.あなたが仕事をしていて、世代が違う人と接する中で最も驚いたこと・困ったことは、どのようなことですか。自由に回答してください。なお、回答では、「どの世代(20代、50代など)の人と接した際に」、「どのようなことに驚いたのか・困ったのか」を、ご記入ください。
<自由回答>(一般職・管理職・役員)
(下記表中のコメントの左にある「20代:」は、40代の回答者が20代の人と接する中で驚いたこと・困ったことであることを表す)
●40代が下の世代(20代~30代)と接して驚いた・困った経験に関する自由回答の抜粋
[打たれ弱い]
・20代:同じミスを指摘した際に、すぐに泣かれてしまった事。何も厳しい口調もしていないのにどのように接していいのかわからなくなった。あまりにも怒られ慣れていない。
・20代:新入社員に指導したことで、怖いと言われた。
・20代・30代:ミスを厳しくいうと立ち直れない方が多い。また反省しない。
[仕事よりプライベートを重視]
・20代:ワークライフバランスを思った以上に尊重している事。
・20代:プライベートな誘いは、ほとんど断る。
・20代:仕事を休むことに対する罪悪感がないこと。
・30代:自分は仕事に一生懸命取り組んできたのに、若い職員はプライベートに一生懸命で、世代のギャップを感じた。
[マナーが身についていない、自分勝手・責任感がない]
・20代:先輩や取引先に対してタメ口で話していることに驚いた。
・20代:言葉遣い・態度・マナーの欠如にイライラすることがある。
・20代:休憩時間になると他の人がまだ休憩できる状況になくても躊躇なく休憩に入り、時間いっぱい休憩して、更に休憩時間が終わってからトイレに行って化粧直しをしていた。
・20代:自分の意見が強いのは良いがチームの状況把握ができておらず自分都合の行動をとる。
・20代:自分の事しか考えていない。誰かが皆のために行動していることに気づいていない。
・30代以下:すべてではないが責任感が少ない。自身の経験不足から生じた失敗でも人のせいにする。言い訳多い。
・20代:すぐに結果を求めたいのか、そこまでに必要なプロセスを無視したがる。
・20代:自分の手が空いた時に仕事をやる事がないと言って休んでいた。
・20代:自己評価が高く仕事ができるアピールが多い割にミスが多く、それを他人のせいにして反省しない。言動が横柄。
・20代:仕事に対して責任をもたず誰かがやってくれると思っていて仕事をしない。
・20代:勉強のためにと出席させた打ち合わせなどで、自分が理解できなかったのか、必要ないと勝手に判断し、途中退出したので驚いた。
[コミュニケーションが苦手]
・20代:横も縦のつながりも薄く、ゆるい感じがしていること。少なくとも自分の世代はどちらかとのつながりを大事にしていたように思う。
・20代:無断欠勤、欠勤連絡をLINEでする。
・20代:全般的に出社に否定的で、共に出社して仕事をすることによって自然発生的におきるコミュニケーションの価値が伝わりにくい。
・20代・30代:会話能力が不足しているのではないかと思うときがある。様々な世代や立場の相手と会話できるような引き出しがなかったり、話題づくりの能力が不足していると感じるときがある。
[自分で考えない]
・20代:教わっていないことは「聞いてません」で自分から学ぼうとする姿勢がない。または指示待ちで自分の考えで業務を進めようとする姿勢がない。
・20代:仕事の相談をされた時、自分が考えた通りにすすめる様に助言したが、何日たっても取り掛からないので困った。
・20代・30代:自分で調べたりせず、全部質問してくる。
[一律の対応が難しい]
・20代:個々の特性に合わせてコミュニケーションを取らなければならないのが難しい。飲みに行くのも誘ってくださいという社員と絶対に誘ってもらいたくない社員がいて、一律の対応が難しい。
●40代が40代後半~60代と接して驚いた・困った経験に関するコメントの抜粋
[プライベートを犠牲にして仕事をする]
・50代:プライベートの時間を犠牲にして仕事をしようとした。
・50代以上:上司の仕事の進め方が時代にあっておらず、休日出勤や残業等も正社員なら当たり前という考え方を未だに持っている。
・50代以上:定時で帰るより残業しているほうが仕事をしていると思っている。
[これまでのやり方・考え方への固執・押し付け]
・40代後半~50代:自分たちが経験してきたことしかやりたがらない。新しいことを理解しようとする柔軟さがない。
・50代以上:昔は~だった等と話をするのが困った。
・50代:自分の成功体験を元に話をしたがる、また強要する。
・50代以上:管理職にリモートワークはサボる人がやるものと言われて驚いた。
・50代:「俺の若いころは」「昔は風邪をひいても休めず出勤していたのが普通」など、昔の働き方や考え方に固執しており、新しい働き方や柔軟な働き方を受け付けないことに困る。
・50代:いまだに昔の通りにやっていれば成功するという思考の方が多い。
・50代:メールでのやり取りをしないで、電話で連絡を取るように指示された。
・50代・60代:昔のやり方にこだわり、現在のもっと効率的なやり方を取り入れようとしない。
・60代:昔の基準を引き合いに出して論ずる事があり、現在の情勢と合致しない事が多い。
[自分勝手]
・60代:他の人に比べて仕事が遅く、自分の仕事を他の人にやらせたり、少しでも体を使う様な仕事からは逃れるのが困る。
・50代手前:驚くほど自分の仕事しかしない。同じ部署の人が忙しくてもほとんど協力をしない。
・50代以上:人のうわさ話や陰口や嫌味が多い。
・50代:法律を守ることより、会社の存続の方が大切だと言っていたこと。
・50代:自分の優先順位と反する行動をとると意見も言わず文句をいう。
・60代:男性は電話をとらない。女性の仕事と思っているようで、出ない。
[パワハラ・乱暴]
・50代:女性上司がしばしばヒステリックになる。
・50代:人前で怒鳴る。
・50代:言葉遣いが悪く、気分が悪くなる。
[女性への偏見]
・50代・60代:性別が女性であるというだけで、仕事に必要な最低限の情報を共有しない、権限は与えず責任だけは取らせる、人事評価が高くても女性社員は生涯昇格を認めないということがあり、そこまで古い価値観で仕事をしている人がいることに驚いた。
・50代:力仕事でもないのに、女性には任せられないと言われて驚いた。
[ITが苦手]
・50代:PCの操作をなかなか覚えない。
・60代:PC操作などの理解があまりないことに困った。
【スコラ・コンサルト解説~職場のミッドライフ・クライシスを防ぐ対策】
今回の調査によると、40代は仕事において高い不満や負荷を抱えていることが統計的に明らかになりました。これは、彼らが単なる中間管理職として多くの業務負担を抱えているだけでなく、多くの組織が現代日本社会特有の「価値観の多様化」という新たな課題に直面しているためです。
従来、企業における40代は、20代~60代のちょうど中間に位置し、管理職やリーダーとして組織を支える役割を担ってきました。上司と部下の板挟みになりながら、業務を円滑に進めることは容易ではありませんでしたが、現代の40代はそれ以上の負荷を抱えています。
現代社会では、上の世代である50~60代の「昭和の価値観」(仕事優先・会社中心)と、下の世代である20~30代が重視する「令和の価値観」(ワークライフバランス重視・個の尊重)が大きく乖離しているように見えますが、40代はこの異なる価値観の狭間に立たされ、どちらの価値観も分からなくはないが、どちらにも完全に共感できないという、どっちつかずのジレンマを抱え込んでいるように見えます。
これは、業務負荷のように分かりやすい問題とは異なり、価値観という個人のアイデンティティに関わる根深い問題であるため、解決策が見えづらく、40代は出口のない迷路に迷い込んだような不安を抱え、心身ともに疲弊しやすくなっているのではないでしょうか。
では、このような状況下で、40代がこの迷路から抜けだすためには、どのような対策を進めていくのが良いでしょうか?
1. 自分自身の価値観を再認識する
まず、異なる世代の価値観に振り回されすぎないようにするためにも、自分自身の価値観を明確にすることが大切でしょう。自分にとっての理想の働き方や生き方は何かをあらためて考えてみましょう。
2. 積極的な対話を通して相互理解を深める
異なる価値観を持つ者同士が共存していくためには、一方的な押し付けではなく、互いの価値観を理解し尊重することが重要です。そのためには、日頃から積極的にコミュニケーションを取り、世代間で腹を割って話し合う機会を持つことが必要です。
3. 多様性を前提としたチームワークを構築する
現代社会において、チームで成果を出すためには、それぞれの違いを認め、その違いを強みとして活かすことが重要です。40代には、異なる価値観を持つメンバー間の橋渡し役となれるよう、経営やマネジメントが環境や仕組みをつくり、多様性を前提としたチームワークを粘り強く構築していくことを進めていきましょう。
40代は、豊富な経験と知識を持ち、組織を牽引していくべき重要な存在です。彼らが抱える課題を理解し、解決に向けて積極的にサポートしていくことが、組織全体の活性化につながるでしょう。
【調査概要】
調査主体:株式会社スコラ・コンサルト
調査方法:調査会社のインターネットアンケートモニターによる回答
調査期間:2024年10月18日~10月22日および11月14日~18日
有効回答数:6,186人(内訳:一般職(一般社員・係長)3,771人、管理職(課長・部長)1,600人、役員(役員・経営者)815人)
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社スコラ・コンサルト /1月23日発表・同社プレスリリースより転載)