障害者の就職・転職への不安や悩みに関する調査
障害のある就業者95.5%が「現職の就職・転職活動に不安や悩みあり」
障害者枠では4割が「自分に合う仕事・評価制度・障害配慮」に不安を感じた
障害者枠では4割が「自分に合う仕事・評価制度・障害配慮」に不安を感じた
総合人材サービスのパーソルホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 CEO:和田孝雄)の傘下で障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルチャレンジ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:井上 雅博)は、2022年7月、障害のある就業中の方を対象に、「障害者の就職・転職活動に関する調査結果」を実施しました。2022年9月6日に発表した調査結果(障害者枠の就業に期待することや、就業によって得られたこと等)(※1)に続き、今回は障害者枠ではたらく方の就職・転職活動中の悩みや解決法、就職支援サービスを選択する際に重視することを中心に発表いたします。
※1)「障害者の就職・転職活動に関する調査(2022年9月6日発表)」障害者枠の就業により期待以上に得られたこと
■調査結果サマリー
- 障害のある就業中の方のうち、95.5%が現職の就職・転職活動中に、「不安や悩みがあった」と回答。今までの就業経験が「障害者枠のみ」の人の悩みは、4割が「自分に合う仕事は何か」(41.3%)、「昇進・昇給などの評価制度」(40.4%)「対等に接してもらえるか」(39.4%)と回答し、「一般枠のみ」の人よりも10ポイント以上高い。
- 「就職・転職活動中における不安や悩みの解消法や相談先」は、1位「ネットやSNSなどで調べて自己解決」、2位「家族や友人に相談」、3位「キャリアアドバイザーに相談」。「障害者の支援機関」や「ハローワークの求職者窓口」に相談する人は2割に満たず。
- 転職サービスを選ぶ際に重視するのは、1位「希望条件や特性にあった仕事紹介」、2位「障害者への理解や知識の豊富さ」、3位「仕事紹介~入社など細部までフォローしてくれること」。
■障害のある就業者の95.5%が、現職の就職・転職活動中に不安や悩みあり
障害者枠では、4割が「自分に合う仕事・評価制度・障害配慮」に不安を感じ、一般枠よりも10pt以上高い
就業中の障害のある方596人のうち、95.5%が「現職の就職・転職活動中に不安や悩み」があったと回答しました。
上図は、これまでの就業枠別「①障害者枠のみ(N=104人)」、「②一般枠のみ(N=176人)」、「③一般枠と障害者枠(289人)」に、回答を並べたものです。結果をみると、今までの就業経験が「①障害者枠のみ」の人は、「自分に合う仕事はあるか、それが何なのかわからなかった」(41.3%、+12.3pt)、「将来性や昇進・昇給などの評価制度があるか」(40.4%、+18.2pt)、「障害の有無に関わらず対等に接してもらえるか」(39.4%、+13.3pt)などの回答数が、「②一般枠のみ」の人よりも、10ポイント以上高いことがわかり、コメントでは、「長く働きながら、どのようなキャリアが積めるか不明確だと感じた(30代、精神障害)」、「正社員登用の判断基準など、もう少しはっきり教えてほしかった(30代、精神障害)」など、キャリア形成に対する意見や、「仕事の量に給与が見合ってない。障害者枠と言うだけでこの扱い方なのかと思ってしまう(30代、身体障害)」といった、給与・待遇に対する不満の声も見られました。
■就職・転職活動中の悩み、1位「自己解決」以外では、2位「家族や友人」に続き、3位が「キャリアアドバイザー」に相談
続いて、「現職の就職・転職活動中に不安や悩みがあった」と回答した569人に、「解消法や相談先」を尋ねると、「ネットやSNSなどで調べて自己解決する」(45.9%)が最も多く、「家族や友人に相談する」(42.9%)、「キャリアアドバイザーに相談する」(35.9%)なども回答数が集まり、まずは自分で調べてから、身近な家族や友人、障害者雇用に関する専門的な視点を持つ人に相談しながら解決するといったコメントが多く挙がりました。
また、「障害者の支援機関」(19.3%)や、「ハローワークの求職者窓口」(14.6%)に相談する人は、2割に満たない結果となりました。
■就職転職サービスを選択する際、1位の「希望条件や特性にあった仕事紹介」以外では、「障害者への理解や知識の豊富さ」「仕事紹介~入社など細部までフォローしてくれること」を重視する
最後に、障害のある就業中の方が、「就職・転職活動を行う際に、支援サービスに期待したことや望んだこと」を尋ねると、1位の「自分の希望や条件、特性に合った仕事を紹介してくれる」(72.1%)以外では、「障害者に対する理解や知識が豊富で安心して任せられる」(41.6%)、「仕事紹介~面接対策~入社後(定着)など細部までフォローしてくれる」(30.9%)、「就職/転職先を選ぶ際の情報量と選択肢が多い」(30.2%)などの回答数が多く集まりました。
<就職・転職活動を行う際に、支援サービスに期待したことや望んだこと: 自由回答・一部抜粋>
・障害を理解した上で、自分の適性や自分に合う仕事を教えてくれるとありがたい(40代、身体障害)
・自分自身がうまく表現できなかった配慮事項などを明確な言葉にして欲しい(30代、精神障害)
・障害者枠は、一般枠の就職活動とは違うところがあり、企業側の考え方が知りたい(20代、精神障害)
・客観的な判断で、自分では選ぶことの無い職種や業界が知りたい(30代、身体障害)
・前職と違う職種を目指す場合など、キャリアアップの支援してもらえると助かる(40代、身体障害)
■調査結果考察
(人材ソリューション本部 キャリア支援事業部ゼネラルマネジャー 木田正輝)
(人材ソリューション本部 キャリア支援事業部ゼネラルマネジャー 木田正輝)
今回の調査では、前提として、障害のある就業中の方のうち、95%以上もの方々が、現職の就職・転職活動中に不安や悩みを抱えており、そのうち今までの就業経験が「障害者枠のみの方」は「一般枠のみの方」よりも、「自分に合う仕事は何か」、「昇進・昇給などの評価制度」、「対等に接してもらえるか」などにおいて、より不安を感じていることがわかりました。
実際に、当社がご支援した障害者枠で就業しながら転職活動する方々の転職理由には、「仕事の幅を広げたい」、「給与や雇用形態などの待遇面の改善」、「(特例子会社から)一般企業の障害者枠で働きたい」などのお声を多くいただき、最近では、現職の就業実績が3年以上の精神障害のある方が、ステップアップをするために転職を希望するケースが特に目立ちます。このような転職を成功させるポイントのひとつは、まず現職で小さな成功体験をコツコツと積み、自信をもって仕事に取り組めるようになっておくことです。そして、転職後の業務内容や職場環境の変化が、あくまでも自身の障害特性に応じた無理のない範囲のものであることも大切です。
<調査概要>
調査名 障害者の就職・転職活動に関する調査
調査方法 自社会員を用いたインターネットリサーチ
調査対象 dodaチャレンジに登録する、全国の障害のある就業者(20代~59歳男女)
調査期間 2022年7月26日(火)~7月31日(日)
有効回答数 596人
有効回答数 596人
A.就業枠内訳:「一般枠と障害者枠両方:301人」、「一般枠のみ:187人」、「障害者枠のみ:108人」
B.障害区分内訳:「身体障害(身体障害手帳を保有):433人」、「精神障害(精神障害者保険福祉手帳を保有):163人」
実施主体 パーソルチャレンジ株式会社
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルチャレンジ株式会社/9月8発表・同社プレスリリースより転載)
この記事ジャンル
障がい者雇用