日本の中間管理職以上の男性比率は83%、男女平等の実現が困難と考える人は40%となることを明らかに
世界最大のビジネス特化型ソーシャルネットワーキングサービスのLinkedIn(リンクトイン、東京都千代田区)は、本日、キャリアに関する支援を目指すため「日本のジェンダーギャップと働き方に関する意識調査」の結果を発表しました。本調査は日本のみで実施したもので、国内のジェンダーギャップの現状と働き方の状況を探った内容です。
本調査からは、主に以下の3点が明らかになりました。
- 回答者内の有職者(雇用形態を問わず勤務している人)の男女比には大きな差はないものの、中間管理職以上の男性比率は83%に達しており、完全な男女平等が難しいと考える人も40%存在
- ジェンダーギャップの解決方法として「学校教育において男女格差がなくなるよう積極的に学びの機会を作る」に期待する人が最多。女性では次点が「男女の平等な家事分担の推進」に
- 働き方の柔軟性が高まった場合、44%が「今の職場にもっと在籍したい」と回答。性別や世代を問わず柔軟性が高い職場ほど人材を惹きつけている傾向が明らかに
<調査背景・結果について>
LinkedInでは、2020年11月に「日本女性の仕事と生活に関する意識調査」という調査を公開しました。その際は、日本に住む女性のみを調査対象とし、女性の悩みや生きづらさを探りました。今回は、調査対象を男性にも広げ、日本における男女間の意識差、および性別問わず抱える働き方の問題や意識も合わせて調査しました。
■有職者の男女比に大きな差がない一方、中間管理職では男性比率が圧倒的に高く、「男性の方がよりよいキャリアが積める」という認識がある
今回の回答者の中で、有職者の男女比率は57:43と、男女の間で大きな差は見られませんでした。しかし、正社員に限定すると、男女比は71:29となり、圧倒的に女性に非正規雇用が多いことが明らかになりました。また、中間管理職以上の職位にある人は有職者全体の約22%に留まる中、中間管理職以上の回答者の男女比を確認すると、男性:女性が83%:17%と、中間管理職以上は圧倒的に男性が多く、日本の職場の世界は性別によって全く違うものとなることが明らかになりました。
有職者全体に「自身が異なる性別だったとしたら、今よりもキャリアの立ち位置は良かったと思いますか」と聞いたところ、「変わらない」と回答した人は67%でした。「もっと良かった」「ある程度よかった」と回答した人の割合には男女で差が認められ、「異なる性別だったらより良かった」と回答したのは女性で33%に上ったにも関わらず、男性では8%に留まりました。他方で「異なる性別ならより悪いポジションだった」と回答した人は、男性で24%、女性で3%となり、現状の中間管理職以上の男女比の偏りが意識の側にも反映されていることが明らかになっています。
さらに、日本における男女平等とその他の社会問題について、提示した文章にどの程度同意できるかを質問したところ、「男女はそもそも異なるため、男女平等は成立しない」という文章に同意した人は約40%に上り、性別による大きな回答差も見られず、日本の職業社会ではある程度の男女の差を前提としていることが明らかになっています。一方、この文章に同意しなかった人は約22%と、男女平等が成り立つと思っている人がかなり少ないという状況が明らかになりました。
■ジェンダーギャップは職場以外にも存在し、女性は家族内での状況改善に期待
日本社会において男女格差の有無を聞いたところ、「とてもある」「ややある」と回答した人は全体の71%に達しました。特に女性は、男性よりも10ポイント以上「男女格差がある」と考えていました。解決方法については、1位が男女ともに「学校教育において男女格差がなくなるよう積極的に学びの機会を作る」だった一方、女性では2位が「男女の平等な家事分担を推進する」という項目が2位になりました。
■柔軟な働き方は性別や年代を超えて人材を惹きつけ、子どもを持つ世代からは期待を集める
今回は、柔軟な働き方や仕事のブランクに関する意識調査も行いました。有職者に仕事上のブランクの有無を聞いたところ、46%がブランクを経験していたことがわかりました。しかし、これらを仕事上のブランクを経験した人のうち、約59%が復帰時に以前より安い給料に甘んじなければならなかったこともわかりました。ただし、ブランクを経て復帰した人の約60%はキャリアが後退したと思っていないことも同時にわかりました。
現在の職業においてより柔軟な働き方ができるようになった際に感じることを聞いたところ、44%が「今の職場にもっと在籍したいと思う」と回答しました。この結果は、柔軟性の高い職場ほど従業員に長く働いてもらえることを意味します。また、その他の上位回答として、ワークライフバランスやメンタルヘルスの改善にも期待が集まりました。
さらに、今後子どもを持つ比較的若い世代(18~39歳)については、他世代に比べ、柔軟な働き方によってもっと子どもが欲しいと考える割合が比較的高く出ていました。
<調査概要>
調査名称:日本のジェンダーギャップと働き方に関する意識調査
調査期間:2022年2月に実施
対象者:日本在住の18~70歳約1,000人
手法:オンラインアンケート調査(第3者調査機関に委託)。世代(ポスト団塊世代:57-70歳/バブル世代:51ー56歳/ロスジェネ世代(氷河期世代):40ー50歳/プレッシャー世代:34ー39歳/ゆとり・さとり世代:27-33歳/Z世代:18-26歳)、性別、エリア、勤務状況別に集計
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(リンクトイン・ジャパン株式会社/ 4月12日発表・同社プレスリリースより転載)