残業時間規制「上限に抵触する労働者がいる」中小企業は約20% 求められる対応とは
6月29日、「働き方改革関連法」が参議院本会議で可決、成立した。大企業では2019年4月、中小企業では20年4月に施行される。施行後は残業時間が原則45時間、特別条項付きの協定でも年間720時間(1ヵ月平均60時間)に規制される。繁忙期であっても、1ヵ月100時間を超える残業などは禁止され、違反した場合には罰金や懲役が科せられる。
東京商工会議所が中小企業約2900社を対象に行った「働き方改革関連施策に関する調査」によると、直近1年を振り返って、「新たな時間外労働の上限規制に抵触する労働者がいる」と答えた企業は20.5%だった。
既に残業時間削減に取り組み、成果を上げている企業もある。
カルビーでは、2013年から水曜日を「早く帰るデー」と設定。また、夏季を「サマータイム」、冬季を「アーリータイム」とし、早朝時間を利用した効率的な働き方への転換を行い、残業時間の削減に取り組んでいる。その結果、1ヵ月当たりの平均残業時間は14.8時間(正社員/一人あたり)になっているという。
また、大和証券グループでは、2007年より「19時前退社の励行」をスタート。全部門で実施率100%を目標に、社内に強いメッセージを発信し、限られた時間の中で効率的に働ける環境づくりを行っている。実施状況はワーク・ライフ・バランス委員会で定期的に検証しており、実施率は97%(2016年度)にのぼる。
残業時間削減にむけた取り組みは、必ずしも一朝一夕に効果が出るとは限らない。企業には、他社の事例を参考にしながら自社に必要な施策を考え、早急に取り組みを進めることが求められている。
(『日本の人事部』編集部)