社員10人未満の企業では4社に1社が人材育成方針を定めず、OJT経験の自覚がない従業員が3割超~『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査』(企業調査、労働者調査):JILPT
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」(企業調査、労働者調査)を実施しました。このほど、調査結果がまとまりましたので公表いたします。
《調査結果のポイント》
人材育成・能力開発の取り組み(企業調査)
<10人未満の企業では約25%が人材育成・能力開発の方針を定めていない>
・10人未満の企業では、人材育成・能力開発について特に方針を定めていないところが4社に1社の割合(25.2%)。
<企業が取り組んでいるOJTのトップは、「実践、経験」。仕事の相談に乗る企業も半数以上>
・企業が実施しているOJT(On the Job Training:日常の業務のなかで仕事を効果的に覚えてもらうために行っている取り組み)のトップは「とにかく実践させ、経験させる」(59.5% 、複数回答)。「 仕事について相談に乗ったり、助言している」も半数(50.8%)が実施。
・OJTがうまくいっている企業(「うまくいっている」+「ある程度うまくいっている」)の割合は77.7%。うまくいっていない企業(「あまりうまくいっていない」+「うまくいっていない」)の割合が最も高い業種は「宿泊業、飲食サービス業」(29.8%)。
・OJTがうまくいっている企業とうまくいっていない企業で、従業員の能力に対する満足度を比べると、うまくいっている企業の方が「満足している」割合が圧倒的に高い(非管理職の正社員の場合、85.4%:45.9%)。
<OFF-JT実施企業のほぼ9割が効果を実感>
・平成27年度にOFF-JTを実施した企業は約4割(39.9% )。100人以上の規模になると7割以上が実施。
・OFF-JTを実施した企業のほぼ9割(88.7%)が、効果があった(「効果があった」+「ある程度効果があった」)と回答。
人材育成・能力開発の取り組み(労働者調査)
<10人未満の中小ではOJT経験がない人が3割超>
・10人未満の会社に勤務する従業員の3割以上(34.2%)がOJTの経験がない。
・平成27年度にOFF-JTを受講した従業員は1割台(14.7%、正社員だけでみても16.5% )。30人未満の会社に勤務する従業員では9割以上が受講していない。
・その一方で、受講したOFF-JTによって得られた技能・知識などが仕事に役立った(「役に立った」+「どちらかというと役に立った」)とする人は、【正社員】が86.0%、【契約社員】が91.3%で、【パートタイマー・アルバイト】でも88.4%。
<正社員の4割は、能力開発によって仕事の幅が広がったと認識>
これまで仕事をしていく上での能力を高めてきたことで、正社員の4割(40.3%)が仕事の幅が広がった(「広がった」+「やや広がった」)と回答。パート・アルバイトも3割以上(34.3%)が同様の実感。
◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /8月31日発表・同機構プレスリリースより転載)