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【ヨミ】ワーケーション ワーケーション

ワーケーションとは、旅先で休暇を楽しみながら、テレワークを行う働き方のことをいいます。仕事を意味する「ワーク」と休暇を意味する「バケーション」を組み合わせた造語です。

1. ワーケーションに期待されるメリット

ワーケーションは欧米ではすでに広まりつつあるワークスタイルとして知られており、長期休暇取得のハードルを下げ、レジャーを楽しみリフレッシュする時間が生まれるメリットが期待されています。

有給休暇の取得率アップが期待されている

ホテルや航空券のオンライン予約サービスを展開しているエクスペディア・ジャパンは、毎年、有給休暇の国際比較調査を発表。2019年は19ヵ国を対象に調査を実施しました。日本の有休消化率は50%で最下位という結果に。2018年の調査では「休み不足を感じているか」という質問に対して、「感じている」と答えた人が53%で、各国と比べても低い数値となりました。

また、58%が「有休取得に罪悪感がある」と答えました。この結果は他国と比べても高い数値です。これらの結果から、日本人は休むことに慣れていないと読み解くことができます。

2. ワーケーションの導入実態

ワーケーションを導入しようとしても、まとまった長期休暇を取得すること自体が難しい、という企業は多いでしょう。急な仕事が入って、予定していた旅行をキャンセルせざるを得ない状況になるケースも考えられます。

テレワークなど、少しずつ多様な働き方が認められるようになった現在、ワーケーションの導入状況はどうなっているのでしょうか。

日本ではあまり浸透していない

欧米をはじめとした海外では、休暇中に仕事をするワーケーションの考えが根付いています。では、日本での状況はどうなっているのでしょうか。

『日本の人事部』正会員の4,620社、4,783人を対象に調査した「人事白書2020」では、「ワーケーションを導入する予定があるか」について聞いていますが、その結果を見ると「導入する予定はない」(46.9%)が半数近くを占めています。以下、「今後導入する予定」(20.0%)、「わからない」(18.3%)、「導入している」(14.9%)の順でした。企業規模別に見ると、従業員5,001人以上の企業では26.2%が「導入している」と回答していますが、5,000人以下の企業では規模別にそれぞれ9.2~16.9%と、全体の割合を引き下げる結果になりました。

コロナ禍によりテレワークの導入は増加傾向にあるものの、その先にあるワーケーションの普及にまでは至っていない状況です。

3. ワーケーションの事例――日本航空

日本のワーケーションの事例として、日本航空株式会社(JAL)の取り組みを紹介します。日本航空では2017年7月から8月にかけて、ワーケーショントライアルを実施しました。

明確な定義付けをし、導入を決断

日本航空ではトライアル実施にあたり、ワーケーションを「電話やWi-Fiがつながり、一両日中にオフィスに戻ってこられる場所でテレワークをすること」と明確に定義し、すでに導入していたテレワークとの差別化を図りました。

OK・NGケースを明示した説明会を実施

日本航空では年次有給休暇の完全取得を目的にワーケーションを導入しました。そのため同社では、従業員が「ワーケーションは休暇に仕事を持ち込むもの」と捉えることがないよう、ワーケーションに適するOKケースと適さないNGケースを明示するため、説明会を実施しました。

例えば、「旅先にいる期間を長めにし、休暇とテレワークを行う」(長期滞在型)、「急きょ入った仕事を旅先で短い期間に限って進める」(セーフティネット型)場合はOKケース、「出張に絡めワーケーションや年休を取得する」場合はNGケースとしています。

「長期滞在型」と「セーフティネット型」をOKケースと説明するだけでなく、具体的な例を挙げて説明し、従業員が正しく制度を利用できるよう努めています。

4. 地方自治体や政府もワーケーションを促進

企業だけでなく、地方自治体や政府もワーケーションを促進しています。地方自治体や政府の取り組みについて紹介します。

和歌山県では企業誘致に注力

和歌山県では白浜温泉街などの観光地で仕事と休暇の両立を図ってもらおうと、ワーケーションの企業誘致に力を入れています。2017年8月には東京都内でワーケーションに関するフォーラムを開き、和歌山県知事や白浜町町長が出席。パネルディスカッションも開催しました。

コロナ禍の2020年7月には、菅官房長官(当時)が「Go To トラベルキャンペーン」の活用を呼びかけると同時に、ワーケーションの普及にも取り組む考えを示し注目を集めました。

ワーケーション自治体協議会も発足

ワーケーションに取り組む自治体による団体も発足しています。ワーケーション自治体協議会には、和歌山県のほか、長野県や北海道、沖縄県などの自治体が参加しています。

5. ワーケーション導入の際に考えたい労務管理

自治体や政府も促進しているワーケーションですが、導入の際にどのような点に注意すればいいのでしょうか。「長期滞在型」「セーフティネット型」に分けて解説します。

長期滞在型の場合

はじめに、オフィスから長期間離れて仕事に取り組む長期滞在型のワーケーション導入における労務管理について見ていきましょう。この型では、基本的に厚生労働省が発表している「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」が参考になります。

就業場所の明示が必要

ワーケーションを導入する際は、就業場所を具体的に示す必要があります。自宅やサテライトオフィスなどいくつかの固定の場所で働くテレワークだけでなく、モバイル勤務の許可も必要です。

モバイル勤務の場合は、移動中の交通機関内やカフェ、コワーキングスペースなど、モバイル端末の使用が想定され、かつ許可できる場所を明示する必要があります。ホテルなどの宿泊先や地方自治体が設けているワークスペースなど、ワーケーション特有の想定される就業場所についても盛り込む必要があるでしょう。

労働時間の記録・管理が必要

ワーケーションで問題となるのは、労働時間の管理です。オフィス内で勤務する場合はタイムカードやICカードで管理できます。しかし、特定の場所にとどまることが考えにくいワーケーションにおいては、PCの使用時間を記録する、もしくは自己申告制にする、勤怠管理システムを導入するなど工夫が必要です。

中抜け・休憩時間の取り方について

中抜けや休憩時間の取り方についても、注意が必要でしょう。テレワークと同様、単に中抜け時間を休憩時間とするだけでなく、時間単位の年次有給休暇と見なすことも可能です。

長時間労働の対策も必要

従業員が使用者と離れた場所で働くことになるため、長時間労働を招くリスクがあります。ワーケーションの際に長時間労働を防ぐには、メール送付の抑制やシステムのアクセス制限などといった方法があります。

メンタルヘルス

離れた場所で仕事をするにあたって、従業員の健康管理にも気を配る必要があります。ストレスチェックなどメンタルヘルスを含め適切なケアが必要です。

セーフティネット型の場合

次にセーフティネット型のワーケーションにおける労務管理について解説します。ここでのセーフティネット型とは、オフィスから遠く離れて休暇を取っているときに、緊急で仕事をし、終了後に休暇に戻る場合を指します。

仕事をした時間の扱いを詳細に取り決める

セーフティネット型の場合、該当期間中にどの程度労働時間が発生するかが休暇前に想定できないケースが多くあります。例えば、1週間の休暇中に緊急性のある仕事が発生しなければ通常の休暇として扱われます。

休暇中に緊急性のある仕事が発生する場合でも、パターンは複数あり、休暇中に1度だけ、まとまった時間で発生するとも限りません。例えば、メールチェックなど、短時間労働する場合や複数回に分けて労働時間が発生する場合などが想定されます。

以上の問題は、会社が時間単位の年休を導入することで一部解決できる場合もあります。時間単位年休の有無にかかわらず、会社側と従業員双方が労働と見なす範囲や、働いた分の報酬を新たに取り決めておく必要があります。

移動時間が労働時間としてカウントされる場合も

旅行の移動時間にPCでの作業が発生することも考えられます。あらかじめ勤務時間について取り決めている場合は労働時間にカウントすることが可能です。また、移動中に業務をしていない場合でも、使用者が指定した就業場所に移動する場合は、労働時間と見なすことができます。

6. ワーケーションを取り入れるには十分な準備が必要

旅先で休暇を楽しみながらテレワークを行うワーケーションは、有休消化率を上げる取り組みとして注目されています。しかしその注目度とは裏腹に、実際に導入している企業は15%以下と非常に低い状況です。

地方自治体や政府が促進しているため、以前より導入しやすい環境にあるといえるでしょう。導入を検討する時は労務管理の問題について十分吟味し、休暇を取りやすくする趣旨を損なわないことが大切です。

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