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【ヨミ】アクイ ハイヤー アクイ・ハイヤー

「アクイ・ハイヤー」(acqui-hire)とは、英語の買収(acquisition)と雇用(hire)を掛け合わせた造語で、買収による人材獲得という意味です。大企業が、優秀なエンジニアや開発チームを獲得するために、そうした人材が所属する零細ベンチャー企業をまるごと買収する手法を指します。2000年代半ばに米グーグルが始めたのが最初だと言われています。
(2015/6/11掲載)

アクイ・ハイヤーのケーススタディ

優秀な人材を得るためのベンチャー買収
オープン・イノベーションで競争に勝つ

数多くのITビジネスを輩出してきた米国のシリコンバレーでは、近年、優秀な開発者や技術者の獲得競争が過熱し、そうした人材の不足が恒常化していると言われます。新しい技術やサービスを創出するために、一からエンジニアを集めて開発チームを立ち上げようと求人募集を出しても、グーグルやアップル、アマゾンといった名だたる企業でさえ、適切な人材を確保するのは容易ではありません。そこで実施されているのが、「アクイ・ハイヤー」と呼ばれる人材獲得の手法です。

すでに関連分野でスタートアップしている零細ベンチャービジネスを探し、数億円から数十億円で買うのがアクイ・ハイヤー。まるごと買収することで、買収先企業の開発リーダーや開発チームを手っ取り早く確保でき、サービスを迅速に立ち上げられます。たとえ数十億円かかっても、ライバルとのし烈な開発競争に勝つことができれば、投資費用などすぐに回収できるのです。

発表によると、グーグルは2010年から2013年前半までに約196社を買収し、推定で約1兆8700億円(187億ドル)を投じています。1年間に約50、60社のペースで買収を繰り返している計算ですが、一件あたりの買収額は平均で30億円程度にすぎません。これは同社が、アクイ・ハイヤーの手法で「人材獲得を目的とした買収」を展開しているからです。

もっとも、2000社以上のベンチャー企業がしのぎを削るシリコンバレーの圧倒的な産業集積の基盤がなければ、とてもできることではないでしょう。このように、社外から人材や技術などのリソースを取り込むことで、開発競争を優位に進めることをオープン・イノベーションと呼びます。また逆に、研究・開発施設などを社内で整備し、自前のエンジニアを育成して、新サービスの創出を目指すことをクローズド・イノベーションといいます。後者の開発手法では、コンピュータ関連やネットビジネスなど技術革新のスピードが著しく激しい分野の競争にはなかなか対応できません。だからこそ、人もアイデアも、手っ取り早く“組織ごと買う”のでしょう。

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