【ヨミ】シャナイコウボセイドシャナイエフエーセイド 社内公募制度・社内FA制度
社内公募制度とは、会社が必要としているポストや職種の要件を、あらかじめ社員に公開し、応募者の中から必要な人材を登用する仕組みのことです。逆に、社員が自らのキャリアやスキルを売り込み、希望する職種や職務を登録するのが社内FA制度です。人事権はあくまで会社側にあるというのが従来からの考え方ですが、社内公募制度や社内FA制度を導入することで、社員が職場や仕事の内容を選択できる環境が生まれ、社員のモチベーションを喚起する効果があると言われています。
(2004/10/15掲載)
社内公募制度・社内FA制度のケーススタディ
FAの応募資格には在籍年数など
一定の条件が課せられる
社内公募制度や社内FA制度を人事システムに導入する企業が増えてきたのは最近のことです。財団法人社会経済生産性本部が昨年11月から今年1月にかけて全上場企業を対象に行った調査(回答率9.7%)によると、社内公募制度の導入率は36.3%で、1996年の調査より10ポイント上昇しました。従業員規模の大きい企業ほど導入率が高く、5000人以上の規模では76.3%が導入しています。
一方、社内FA制度の導入率は9.2%で、社内公募制度を下回っていますが、3年前の調査の2.7%に比べると3倍以上に増えています。
14年前から社内公募制度を実施しているのが総合電機大手の東芝。成長分野や新規分野にとどまらず、各事業部門やスタッフ部門でも採用しています。実施時期も定期募集から随時募集に改め、従業員の自己実現の機会提供や人材流動化の促進を図っています。3年前からは社内FA制度も併せて導入しました。こちらは応募資格があるのは勤続5年以上の正従業員に限られますが、年齢や職種についての制限は一切ありません。
同じ総合電機の日立製作所は人材の活性化と適性配置を図るため、日立グループ各社が会社の枠を超えて応募することを可能とする「グループ公募」制度を今年3月から導入しました。人材を必要とする参加各社の各事業部門が必要な人材像を公表し、参加各社の社員らが自らの意志によって応募、一定の選考を経て異動するというものです。制度の開始時点で導入するのは、日立本社と日立グループの計16社ですが、将来的には日立グループ全体を視野に入れています。
社内公募制度や社内FA制度が増えている背景には、成果主義や年俸制の浸透・普及があります。会社が社員に対して一定水準の成績を要求し、それをベースに給与を厳格に算出するのであれば、社員に対しても一定の職務の選択権を与えなければ、社内に不満が高まり、モラルの低下につながると思われるからです。