企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】マタハラ マタハラ

「マタハラ」とはマタニティー・ハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止めで不利益を被ったりするなどの不当な扱いを意味する言葉です。社会的な認知はまだ十分に進んでいませんが、マタハラの被害の実態は、よく知られる“セクハラ”(セクシャル・ハラスメント)よりも深刻であるといわれ、対策が急がれています。
(2013/7/8掲載)

マタハラのケーススタディ

被害は四人に一人、セクハラより深刻
女性自身が法律による保護を知らない

本来なら祝福されるべきことであるにもかかわらず、妊娠・出産を理由に、働く女性が職場で追い込まれてしまうケースが後を絶ちません。セクハラ、パワハラと併せて、三大ハラスメントとも言われる「マタハラ」問題です。連合(日本労働組合総連合会)が今年5月に初めてマタニティー・ハラスメントに関する意識調査を実施したところ、その深刻な被害の実態が明らかになりました。

在職中の20~40代の女性626人を対象に行った調査によると、全体の25.6%、およそ四人に一人が「マタニティー・ハラスメントを受けた経験がある」と答えています。この数字は、同じく連合が12年に行った調査において「セクハラされた経験がある」と回答した人の割合(17.0%)を大きく上回っています。しかもそのマタハラ経験者の半数近くが「我慢した。人には相談しなかった」と答えています。

マタハラ被害の内容としては、妊娠経験者のうち9.5%が「妊娠中や産休明けなどに心ない言葉を言われた」と答えたほか、「妊娠・出産がきっかけで解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導等をされた」(7.6%)、「妊娠を相談できる職場文化がなかった」(7.0%)、「妊娠中・産休明けなどに残業や重労働などを強いられた」(4.7%)などの回答が挙がりました。厚生労働省のまとめでも、妊娠・出産を理由に、解雇などの不利益な扱いを受けたという労働局への相談件数は、04年度の875件から11年度は3,429件と、4倍近くにまで増えています。

男女雇用機会均等法では、妊娠や出産を理由とする解雇や雇い止め、降格などを明確に禁じ、妊婦の権利を保障しています。1999年の労働基準法の改正により、女性にかけられていた時間外・休日労働・深夜業に関する規制は撤廃されましたが、妊婦に限っては改正後もこれらの規制が続き、会社は社員から妊娠の申告があれば作業軽減などの義務を適切に果たさなければなりません。

労働力人口が減少するなか、職場での女性活躍の推進は経済成長の観点からも重要だとして、国策に位置づけられています。しかしリーマン・ショック以降、企業の人員削減が進み、職場から余裕が失われているのが実情。働きながら子どもを産み育てる女性への風当たりは、むしろ強まっているのかもしれません。マタハラ問題は、制度上は保障されているはずの働く女性の妊娠・出産をめぐる権利が、実際には十分に守られていない職場の現実を浮き彫りにしているのです。

一方で、女性自身の認識不足も、原因のひとつとして指摘されています。先述の連合の調査では、「働きながら妊娠・子育てする権利が法律で守られていることを知らない」と回答した女性が全体の50.3%もいたのです。今後は、女性も含め、すべての従業員の意識改革が重要と言えるでしょう。企業には従業員に法律を周知させ、柔軟なマネジメント体制を整備するための努力が求められます。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

セカンドハラスメント
「セカンドハラスメント」とは、ハラスメントを受けた人が被害について周囲に告白あるいは相談した際、逆に嫌がらせを受けたり、かえって相談者の方が責められたりするなど、ハラスメントの二次被害にあうことをいいます。セカンドハラスメントは、問題を悪化・深刻化させるだけでなく、企業にとってはコンプライアンス違反...
セクハラ
セクハラ(セクシャルハラスメント)とは、「性的な言動によって、個人または職場全体に不利益・不快感を与えること」です。2019年5月にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)や改正女性活躍推進法が可決・成立し、セクハラに対する罰則は今後さらに厳しくなっていくと考えられます。セクハラは、パワハラと同様に...
就活セクハラ
「就活セクハラ」とは、就職活動生と社会人という立場の差を利用して行われるセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)のことをいいます。OB・OGや面接官が加害者となるケースが多く、女性に限らず、男性も被害を受けることがあります。日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、就職活動中にセクハラを受けた人の割...

関連する記事

小酒部さやかさん: マタハラを克服すれば企業は強くなれる 人事担当者が知るべき、本当のマタハラ対策とは(前編)
働く女性が妊娠・出産・育児を機に退職を迫られたり、嫌がらせを受けたりする「マタニティハラスメント」(マタハラ)。「マタハラは、女性だけの限定的な問題ではありません。マタハラ対策をきっかけに労働環境の見直しを」と訴えるのは、NPO法人マタハラNet代表の小酒部さ...
2016/11/07掲載キーパーソンが語る“人と組織”
小酒部さやかさん: マタハラを克服すれば企業は強くなれる 人事担当者が知るべき、本当のマタハラ対策とは(後編)
<最終的にこの人事部長は「仕事に戻ってくるなら、妊娠は9割諦めろ」といい、その場で退職に同意させられた。(略)このときの録音をしなかったことを、私は後悔している。>――マタハラNet代表の小酒部さやかさんは、著書『マタハラ問題』の中でこのように綴っています。本...
2016/11/14掲載キーパーソンが語る“人と組織”
職場のモヤモヤ解決図鑑【第10回】 ハラスメントの起きない職場にするために管理職ができることは?
元部下からハラスメントの相談を受けた山下課長。身近に起きた出来事に「もしかしたら自分の部署でもハラスメントが起きているかも?」と不安を募らせます。考えてみると、ハラスメントが起きやすい職場の特徴に思い当たるフシが……。管理職として、ハラスメントが起きにくい職場...
2020/11/25掲載編集部注目レポート

関連するQ&A

妊娠を理由に内定取消しが出来るか?
会社は、妊娠を理由に中途採用者のの内定取消を行えるのでしょうか?法律ではどうなっているのでしょうか?ご教授下さい。
出産休暇後の職場復帰について
社内決裁上で出産予定日の前14週(多胎)から出産予定日後の8週までを出産休暇として休んでいる職員が、出産予定日前に出産をした場合、職場復帰するのは決裁の通り出産予定日から8週間後ですか。それとも出産日から8週間後ですか。 ご教示ください。
外国人の採用の際のハラスメントについて
外国人を採用する際、面接時に「帰化する気があるかどうか」を聞くのはハラスメント行為に当たりますでしょうか? また、外国人に対してのハラスメント行為になり得るような質問内容などがあれば教えていただけると大変助かります。
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

POSITIVEの導入事例はこちら 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


管理職1年生日記 (第2回)

管理職1年生日記 (第2回)

営業課長へと昇進し、当初は個人目標がなくなったことへの戸惑いを見せたA...


グローバル化、M&A……変化の激しい時代に<br />
「POSITIVE]が選ばれる理由とは タレントマネジメント機能を大幅拡充!

グローバル化、M&A……変化の激しい時代に
「POSITIVE]が選ばれる理由とは タレントマネジメント機能を大幅拡充!

1400社以上の導入実績を誇る電通国際情報サービスの統合人事パッケージ...