エンパシー
エンパシーとは?
「エンパシー(Empathy)」とは、相手が置かれている状況や心情を自己に投影し、その人について理解しようとする知的能力のこと。語源はギリシャ語の「emphatheia」で、心の状態という意味。相手に共感するだけでなく、自分とは異なる価値観を持つ他者の立場に立ち、想像することがエンパシーです。昨今は、ビジネスシーンでもエンパシーの重要性が広まりつつあります。
なぜシンパシーだけではだめなのか?
DE&I推進とセットで取り入れたいエンパシー
「共感力が大事」だとよく言われます。一般的な共感のイメージは、「自分も相手と同じ感情になる」こと。例えば、相手が悲しんでいるときは、自分も一緒に悲しむ。これがよくイメージされる「共感」ですが、心理学ではさらに細分化され、相手に同調することを「シンパシー」と呼びます。
一方、「エンパシー」は、相手の心情や思考回路を客観的に理解しようとする能力を指します。相手が「なぜそう考えているのか」を理性的に探ろうとする点が特徴です。
最近の研究では、人間の脳は本来、他者の行動や感情をある程度シミュレーションする機能を持っていることが分かっています。誰かが痛い思いをしているシーンを見て、身体がすくんだり、目を閉じたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。自然に芽生えるシンパシー機能は、人種や性別や年齢などが自分に近しい属性の人ほど働きやすくなります。そのためグローバル化が進み、多様化が進む社会では、シンパシー機能が働きづらい。そこで必要なのが、理性で他者を理解しようとするエンパシー能力なのです。
職場ではDE&Iの推進が求められています。しかし、バックグラウンドや価値観の異なる人たちが共に働くことにより、意見のすれ違いが起こることもあります。衝突したときは分かり合うことを諦めるのではなく、エンパシーの視点から「相手の思考プロセスはどこから来ているのか」「相手は何を重視しているのか」と問いかけることが重要です。そうすることで冷静にコミュニケーションを進めやすくなり、「違い」を「力」へと昇華させることができます。
ここで気になるのは、エンパシーは鍛えられるのかという点。結論から言えば、後天的に鍛えることが十分に可能です。「相手は自分とは違う人間だ」という前提にたてば、相手を否定したり決めつけたりせず、その思考を気にかける習慣がついていきます。こうしたコミュニケーションを職場のメンバーそれぞれが行えるようになれば、互いの違いを強みに生かす職場風土が形成されるはずです。
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