ミッションの浸透方法
『人事白書2021』によると、ミッション、ビジョンを「明確化できている」企業の24.3%が、「従業員に浸透していない」と回答しています。実に4社に1社がミッションの浸透状況に課題を感じており、社内全体に行き渡らせるのは簡単ではないことがわかります。ミッションを浸透させるために、どのような方法が考えられるでしょうか。
経営陣・管理職が繰り返し発信し続ける
トップからミッションの重要性を発信することは極めて重要です。トップが心からミッションの価値を信じ、従業員に伝えることではじめて、従業員もその思いを共有することができます。従業員がミッションを身近に感じられるよう、朝礼などの社内イベント、社内報、メール、社内ポータルサイトなどを通じて、一度きりの発信ではなく、継続的に発信していかなければなりません。
社内で価値観の共有を進めてくれるキーパーソンの選定もポイントです。現場に影響力のある管理職の中から、特にミッションへの共感が強く社内の課題に敏感な人を選び、旗振り役にすることで、浸透の速度と速めることができます。
行動規範を策定し、認識を揃える
ミッションを実際の日常業務に落とし込むことで、従業員により深い理解を促すことができます。企業によって行動規範やバリュー、クレドなど呼び方は異なりますが、従業員一人ひとりが意識しなくても規範に沿った行動が取れるようになった段階ではじめて、「ミッションが浸透している」と言うことができます。
ミッションを評価項目に反映し、実現者を称える
ミッションに沿った行動をしている従業員に高い評価を与えるなど、ミッションにひもづいた評価制度を策定するのが効果的です。どのくらい行動に移せているかを定量的に評価することで、従業員自身に「達成するためにはどうすればいいか」を考えさせ、自律的に行動させることができます。まずはトップや管理職から実践することで、従業員にも浸透させやすくなります。
評価する際には、上司からの一方的な査定で終わるのではなく、部下自身に自己評価を行わせたり、上司からのフィードバックを行ったりするとよいでしょう。客観的な振り返りや自分の課題を知ることが可能になり、新たな目標につなげやすくなります。ただし、急に新しい評価制度を導入すると、ミッション策定に関わってこなかった従業員を中心に反発が出る恐れがあります。ミッションや行動規範を自分ごと化させるための研修やワークショップの実施、高い評価を得た従業員の表彰制度などで全従業員の意欲を高める必要があります。
定期的な浸透度調査を実施し、人事施策に盛り込む
ミッションの発信から従業員までの評価を一通り終えたら、従業員にアンケートを実施し、社内での浸透度を調査します。浸透していなければ、取り組みがまだ不十分だと言えます。発信や研修、評価制度などの施策を再考する必要もあるでしょう。一度の調査で浸透が確認でき、狙い通りの結果が得られているとしても、人材の入れ替わりや会社のステージの変化によって調査結果は変わるため、定期的な実施が求められます。
ミッションの浸透方法まとめ
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