人材マッチングを実現するために
「対話と奉仕」を掲げ、
地域密着型の人材サービスを提供する
株式会社アルバイトタイムス 代表取締役社長
垣内康晴さん
企業側の「受け皿」を広げ、雇用を増やすことが大切
ところで、現在の日本全国の「求人市場」「雇用環境」をどのように捉えられていますか。また、中部圏に関してはいかがですか。
求人ニーズが非常に旺盛で、また高止まりしています。ところが一方で、採用がなかなか決まらない、マッチングがうまくできていない現状があります。これは地域や企業規模に関係なく、全国各地で言えることです。
静岡に関して言うと、有効求人倍率が高い中、若年層の流出が問題となっています。地域にはまだまだ知られていない魅力あふれる企業が存在しています。その存在を知らずして求職活動を続ける、中・若年層に対し、UターンやIターンフェアを実施したり、地元情報を収集できる媒体に取り組んだり、抜本的な対策を行政と一緒になって考えたりしています。また、愛知に目を向けると、静岡以上に人材需要が高まっています。名古屋近辺だけでなく、周辺地域を含めた地域での雇用がふくらみそうです。業種間格差はありますが、今後こうした動きが一段と加速しそうな気配です。
そのためにも、我々は最大多数の最大マッチングというより、働きたいと思っている一人に対して、企業選択の枠が広がるよう採用条件の緩和を促し、一方で本人の能力・スキルへの支援を行いながらいかにマッチングを図るか、という方向性で人材サービスを進めていきたいと考えます。我々は求人側、求職者側それぞれと信頼関係の構築を図り、最適なマッチングの実現を目指します。
現在、人材に対するひっ迫度が非常に増しています。そうした中で、より良いマッチングを図っていくためには、企業はどのようなことを考えるべきなのでしょうか。
「受け皿」をもう少し広げる必要があります。例えば、求める人材の属性を考えた場合、若年層に限定せずに、シニア層や主婦層の活用を行ってみること。あるいは1日の勤務時間や1週間における勤務日数を少し減らしてみることで、ターゲット層が大きく広がります。そのような対応を始めている地域企業も少しずつ増えてきています。求職者はじっくりと自分のスタイルで働ける場所を探しています。企業は自社の雇用において一つでも二つでも柔軟な働き方の受け皿や、働きたいと思う魅力を広げる検討とその実現をしていただきたいと思います。
雇用の入職経路で見ると求人広告が最も多いのですが、一方で縁故の割合も大きいです。コミュニティーが希薄化していく中で縁故による入職が依然として高い割合を保持しているというのは、それだけ人の持つ影響力、さらに優位性が大きいからです。そういう点から考えると、業種や年齢により大きく異なる多様な入職経路をどのように捉えていくかがポイントとなりそうです。
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。