SAPジャパン「人事業務効率化セミナー」レポート
三井造船グループのシェアードサービスに学ぶ、「業務効率化」の真実
株式会社三造ビジネスクリエイティブ
ビジネスサービス事業部 取締役事業部長
野口謙氏
昨今の激変する経済環境に企業が対応していくためには、人事業務の「効率化」はひとつの鍵となるだろう。そこで注目されているのが、「シェアードサービス」。グループ企業や企業内の事業部ごとの人事・経理・総務の間接業務やサービスを1ヵ所に集約・標準化し、人件費などのコスト削減と業務の効率化を図る経営手法のことである。ここ数年、グループ経営を重視・推進する動きが増加するとともに、多くの企業が積極的に導入している。それでは、効果的なシェアードサービスを実現するためには、どうすればいいのだろうか。SAPジャパン主催の「人事業務効率化セミナー」で語られた、三井造船グループのシェアードサービスの事例から、そのヒントを見つけて欲しい。
三井造船におけるシェアードサービスの特徴
シェアードサービスの歴史
1998年1月にSAPのシステムを導入。翌1999年に、シェアードサービスを行うグループを、株式会社三造ビジネスクリエイティブ内に設置。本格的なサービスを開始し、システムのバージョンアップを行いながら、現在に至る。
シェアードサービスの状況
- シェアードサービスの対象会社…28社 対象人員…4,000人(本体と合わせると9,000人強)
- 提供実績
- システム提供会社…6社
- 給与受託提供会社…12社
※年末調整や社会保険などの一部の給与業務、または全ての給与業務を受託 - フルアウトソーシング会社…7社
※給与業務に加え、人事処遇関係のデータ整備や処理を実施。三井造船本体も含める - 未加入会社…3社
※各社が独自で運用
運用体制
- 株式会社三造ビジネスクリエイティブが、シェアードサービスを担当
- 三井造船システム技研株式会社がサポートパートナーとして、三井造船グループの基幹システム、ネットワークシステムを管理
シェアードサービスによる成果
シェアードサービスの導入により、大幅なコスト削減を実現
- 直接労務費を50%削減(給与担当者の人件費のコストダウン)
- 間接労務費を30%削減(人事・経理担当者の人件費のコストダウン)
- システム運営費を35%削減(システム維持費のコストダウン)
三井造船が実践する「個別管理方式」とは?
株式会社三造ビジネスクリエイティブの野口 謙氏は、シェアードサービスで 実際に成果を上げるためには、「個別管理方式」の導入が大きなポイントになるという。
「個別管理方式」とは、聞きなれない言葉だが、「制度上の例外者や、制度変更に伴う経過措置等による例外処理をシステム内に取り込み、エンドユーザーが直接設定できるようにした管理方式」のこと。これにより、事務効率は格段に向上するという。
「個別管理方式」という考え方に基づきながら、シェアードサービスに関するさまざまな業務を、いかにしてシステムに吸収していくのか――。シェアードサービス成功のためには、それこそが大きな鍵となりそうだ。
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