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『日本の人事部』特別インタビュー 大前提はノーマライゼーション 障がい者を含め多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組む

注目の記事中途採用[ PR ]掲載日:2019/04/17

2018年4月1日に施行された「改正障害者雇用促進法」で、法定雇用率の算出対象に新たに精神障がい者が加わり、民間企業の法定雇用率が2.2%に上がりました。企業の多くは、精神障がい者の雇用経験が乏しいこともあり、対応に苦慮しています。こうしたなか、NTTコミュニケーションズ株式会社では、ノーマライゼーションの考えに基づき、精神障がい者の雇用でも確かな第一歩を踏み出しています。同社ヒューマンリソース部 人事・人材開発部門 担当部長の可児元嗣さんと主査の下村和弘さんに、障がい者雇用への課題意識や、取り組みのパートナーとしてパーソルチャレンジ株式会社を選んだ理由、今後挑みたいテーマをうかがいました。

精神障がい者の雇用にもトライ。現場との連携を図り試行錯誤を続ける

障がい者雇用において、貴社にどのような課題があったのか教えてください。

可児:当社のCSRでは、多様性の尊重と機会均等が大きなテーマとなっています。雇用に際してはダイバーシティを重視し、国籍、宗教、信条、性別を問わず、ビジネスパーソンとしてどのようなアウトプットを出せるかを基準に、分け隔てなく採用に取り組んでいます。そのなかで、障がいがある方はハンディキャップがある方ではなく、個性がある方だと認識しています。ノーマライゼーションを大前提に各組織に配属しており、それぞれの職場環境の整備を進めていますが、個人の能力や強みを発揮するための環境づくりにまだまだ改善できる点があるのが現状です。

NTTコミュニケーションズ株式会社 可児元嗣さん photo

障がい者雇用に対する、貴社のこれまでの取り組みをお聞かせください。

可児:障がい者雇用は以前から行っており、2018年6月1日現在、NTTコミュニケーションズで働く障がい者は約130人になりました。精神障がい者は、直近2年で23人が入社。本格的に精神障がい者雇用に着手し、社員と同じ職場で問題なく受け入れられるか、チャレンジだという思いで迎えました。

現場の反応はいかがでしたか。

可児:採用活動を始める前に、どのような業務であれば活躍できるか検討を重ね、現場の社員の理解を得たうえで任せる業務を決めていました。ただ、精神障がい者を雇用するのは初めてだったので、入社した後は社員の対応に不慣れなところがありましたね。精神障がいに対する理解不足からくる戸惑いや、業務が高度化しているなかで「本当に仕事が務まるのか」という心配があったのも事実です。一緒に働いていくなかで、それぞれの個性を徐々に理解することができたので、その人に合った担当業務をアレンジしていくように軌道修正しながら、定着につなげています。

精神障がい者雇用に関して、どのように職場改革を進めてきたのでしょうか。

可児:この1年間は彼らが能力を発揮し、活躍できるための環境づくりに取り組んできました。これからはPDCAサイクルを回して、制度や労働環境をどのように構築すればいいのか、どんな業務をアサインすればより活躍してもらえるのか、といった点を極めていきたいと考えています。

下村:近年は働き方改革が注目されていますが、その本当の目的は単に労働時間を減らすのではなく、誰もが自身の強みを活かして働ける職場環境や、多様な仕事のやり方を確立することだと思っています。障がい者にとっても、働きやすい環境をつくらないといけません。社員には「できる、できない」で業務を振り分けるのではなく、できるようにするために手を打ってほしいと話しています。

障がい者の活躍が多様な社員が活躍できる会社への起爆剤となる

ここからは、障がい者雇用全般についておうかがいします。取り組みにあたって、パーソルチャレンジをパートナーに選ばれた理由を教えてください。

可児:障がい者雇用に関する豊富な知見やノウハウがあることがポイントでした。障がい者にどういう業務を任せればいいのか、受け入れる職場にはどんな悩みがあるのか、配属に際してどんなところに配慮しなければいけないのか……。課題と対応策は企業によって異なりますが、パーソルチャレンジさんからは、数多くの事例をもとにした実践的なアドバイスをいただくことができます。また、以前からお付き合いがあり、当社の社風や業務内容をよく理解されているという安心感も大きな理由でした。

下村:障がい者雇用を行っていると、運用面でいろいろな課題が生じます。パーソルチャレンジさんはどんなケースでも柔軟に対応してくださるので、とても心強く、感謝しています。

障がい者雇用に関する課題解決のためにどのような施策を行ったかを教えてください。

可児:障がい者、健常者にかかわらず、個々の能力を発揮しやすい職場の実現を目指して、会社の環境・制度の改善に取り組んでいます。例えば障がい者の方だと、仕事に関する悩みは上長に相談できますが、仕事以外のことや私生活に関する相談は、別の窓口が必要だと考えました。そこで、パーソルチャレンジさんと連携して相談窓口を開設しました。常時、電話やメールを通じて相談を受け付けているほか、2ヵ月おきに対面で話せる臨時相談室を開いています。また、働くうえで職場の理解はとても大切なので、障がいがある方を受け入れる際は、上長や同僚となる社員の理解を深める啓発活動もしています。

下村:採用の過程では、職場実習を3日間用意しています。障がい者の方に直接自分が働く職場を見てもらい、働く姿をイメージしてもらいます。さらに、入社前に研修センターで2日間にわたって実務を体験できる場も設けています。また、採用後はすでに作られたマニュアルを見ながら仕事をするだけでなく、業務内容の理解が進みやすいよう、あえて自分でマニュアルを作ってもらうようにしている点も工夫しています。

NTTコミュニケーションズ株式会社 下村和弘さん photo

可児:入社後は、できるだけコミュニケーションを取るようにしています。社内で見かけたら話しかけるようにしていますし、本社以外の職場にいる障がい者の方は、近隣に出張したときに、仕事の合間をみて訪ねるようにしています。すると、仕事とは全く関係のないような話も聞くことができます。相談窓口を設けていても、なかなかデジタルだけでは対応し切れないところもありますので、一人ひとりと真剣に向き合いたいとの思いで関わりを持たせていただいています。

他の人事業務と並行して行うのは、大変ではありませんか。

可児:新卒採用、若手育成業務と並行して行うことは大変ですが、やりがいがありますね。彼らからは、一人ひとりの特長をどう業務に生かせばいいかを学ばせてもらっています。障がいがある方が柔軟に働ける環境をつくることが、多様な社員が活躍できる会社への強い起爆剤になると思っています。

障がい者の定着についてはどうお考えですか。

可児:当社は事業が多岐にわたり、グローバルに展開しているので、障がい者以外にも、カルチャーが違う人が集まる、文化のるつぼと言えます。そのため、双方が歩み寄って理解し合わなければ、ビジネスを一緒に進められません。このような当社の文化が基礎となり、障がい者の定着につながると考えています。お互いにしっかりと理解し合い、イーブンな関係ができると、ビジネスは円滑に進みます。「人事の仕事は異文化交流促進だな」とつくづく実感しています。

障がい者の多様な働き方やキャリア支援が今後のチャレンジテーマ

障がい者雇用を進めた結果、社内でどのような変化が起きたかを教えてください。

可児:二つあります。一つは、業務の改善です。障がいがある方を迎えるにあたり、業務の棚卸しを行い、各プロセスを見える化しました。その結果、重複した部分にも気付き、効率化につながりました。もう一つは、中堅社員の意識が高まったことです。障がいがある方のサポートや指導という役割が増えたことで、より強い責任感が生まれ、モチベーションもアップしたようです。

障がい者雇用に関して、今後取り組みたいテーマがあればお聞かせください。

可児:もっといろいろな働き方が選べるようにしたいですね。勤務形態が柔軟になると、能力を発揮するうえでの制約がより取り払われると思います。ただ、働き方の自由度が増せば増すほど、業務を遂行して成果を出すことへの責任も重くなるので、難しいポイントといえます。そのためには、障がいがある方の安全を配慮し、調子が悪くなる兆候があれば素早く対応したいと思います。当社にはフレックス勤務やリモートワークなどの制度がありますが、現在は障がいがある方が全てを利用できる状態ではないので、改善していきたいですね。

下村:「焦らずに一歩ずつやっていきましょう」と呼びかけていますが、中にはもっと業務の幅を広げて自分のキャリアを高めたい、と考えている人もいます。会社として頑張っている人を支援していきたいと思います。

可児:社会と関わり、価値を発揮して自分を認めてもらいたいという前向きな話を聞くと、「協力したい」という気持ちになります。ただ、あくまでも成果を出すことが前提となるので、その点でも、パーソルチャレンジさんの知恵をお借りしたいですね。

このような取り組みが、貴社のダイバーシティを実現しているのですね。

可児:実際にはまだ道半ばで、できていないことがたくさんあります。障がい者のための慈善事業になってはいけませんし、理想と現実のはざまで厳しいところもありますが、多様性を大前提にしながら、彼らと共に、さらに個々の力を発揮して活躍できる環境をつくっていきたいです。

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この記事ジャンル 障がい者雇用

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