住宅補助手当ての過払いについて
よろしくお願い致します。会社の規則上、住宅補助手当ての受給に該当しない社員に対して2007年7月から2011年1月現在まで支払いを続けており、この度返還を求めたく手続きを進めていこうと考えておりますが、注意すべき点を教えていただければ幸甚です。
また、受給者が「会社の過失であり、金額も大きく、支払う気はない」と拒否した場合はどうすべきでしょうか。
【前提】
①受給者は正式な手続きを踏んでおり、住宅補助手当てを受給できないとは知らず。当時の当該上司も気付かず。
②会社側(人事)は当然書類が提出された際も該当しない点に気付かず、つい今まで放置されてきた。
③過払いは250万円ほどになります。
投稿日:2011/01/29 14:58 ID:QA-0042244
- ポカホンタスさん
- 大阪府/旅行・ホテル(企業規模 1001~3000人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
文面のような賃金の過誤払いに関しましては、民法第703条に基き「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」ことになります。
つまり、会社は同条に基く不当利得返還請求を手当を受けた従業員に対し行う事が可能です。この請求については、全額可能ですし、加えて会社側に過失があったとしても認められますので、当人が過失を理由に拒否することは法律上出来ません。また、こうした不当利得返還請求の消滅時効は民法第167条第1項により10年とされていますので、当事案の場合には時効にかかることもなく全額返還請求が行えます。
但し、会社側にも過失があったにもかかわらずこうした多額の過誤払い賃金に関し法律論を盾に全額返還させるというのは、従業員側の心情としましても納得し難く会社への不信感を高める等人事管理面からも決して適切な対応とはいえないでしょう。
従いまして、会社にも過失があったことを素直にお詫びされると共に、従業員の生活に影響を及ぼさない程度で返還してもらうよう、金額や時期・方法につき当人とご相談されて合意の上決められる事をお勧めいたします。
ちなみに、本人の同意無き給与からの控除は賃金全額払いに反しますので出来ない点に注意が必要です。対応が難しければ円満解決を図る上でも弁護士等の専門家にご相談される事をお勧めいたします。
投稿日:2011/01/29 22:53 ID:QA-0042245
相談者より
機械的に処理を進めていくのではなく、(金額を考えれば当然かもしれませんが)社員の気持ちを勘案しつつスムーズに進めていきます。ありがとうございました。
投稿日:2011/01/31 10:19 ID:QA-0042254大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
- 川勝 民雄
- 川勝研究所 代表者
本人の善意と税負担を勘案して解決
■ 労基法には、賃金の請求権の消滅時効は、賃金2年、退職金5年ですが、使用者からの請求には適用されず、全額、10年間、請求対象になります。本人は、受給できないとは知らなかった ( 法的に、善意の受益者 ) とのことなので、利息請求はできません。 .
■ 問題は、250万円にも達する多額の給与所得に対して、本人が負担した所得税、住民税です。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から1年以内です。大部分は、更正対象にならず、更正対象になる部分についても、普通の社社員には大変な負担です。 .
■ 税率は分かりませんが、返還請求を、8割程度にとどめ、それから、会社、本人の痛み分けのような発想で、更に、折半するのが、現実的ではないでしょうか。本人の合意が得られれば、賃金控除ではない返済方法に基づき、文書化されるのよいでしょう。会社は、過去に損金処理しているはずですから、返済された金額は課税対象になると思います。担当部署に確認しておいて下さい。
投稿日:2011/01/30 12:17 ID:QA-0042247
相談者より
ご丁寧に教えていただき、誠にありがとうございます。「痛み分け」、大変参考になります。
投稿日:2011/01/31 00:12 ID:QA-0042248大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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