タワーズワトソン、『タワーズワトソン昇給率調査』
~アジア太平洋地域の昇給率が低インフレにより大幅に上昇
香港の昇給率は実質ベースでシンガポールに大きく水をあけられる~
グローバルにコンサルティングサービスを展開するタワーズワトソン(NASDAQ:TW)が実施した昇給率調査によると、2015年のアジア太平洋地域の平均昇給率は7%になることが分かった。数字だけを見ると2014年とほぼ横這いだが、調査対象となった19ヵ国中17ヵ国でインフレ率が低下したことから、実質ベースでは大幅な昇給率上昇となる。
2015年の実質的な昇給率の平均は、2014年の3.3%から4.3%に上昇する。東アジアで昇給率が最も高いのは中国(7.4%)で、最も低いのは香港(1.3%)だった。地域全体の2016年の名目ベースの昇給率は、6.7%とやや低下すると予想されている。本調査は、幅広い産業と、工場などの現場労働者から役員レベルまで様々な階層を対象にしたものである。
タワーズワトソン アジア太平洋地域 データ・サービス部門リーダーのSambhav Rakyan は、「金融危機が過ぎ経済が上向いてきた恩恵をついに受け、手取りの現金が増えるという意味で、これは従業員にとって朗報と言えるでしょう」と述べている。さらに「昨年は原油価格が急落しインフレ率の低下を引き起こしていたものの、価格が底を打ったことでインフレ率は今後上昇する可能性があります。現在のところインフレ率は低く抑えられていますが、2016年の予算策定に際して企業はインフレ率の上昇を念頭に置くことになるかもしれません」とも述べている。
名目ベースの昇給率では香港とシンガポールは横並びだが、実質ベースで香港は大きく水をあけられる
香港とシンガポールの2015年の名目ベースの昇給率は、どちらも2014年と変わらず4.5%だった。しかし、インフレ調整後の実質ベースで見ると、シンガポールの昇給率は香港のそれに比べるとはるかに高く、シンガポールが4.4%、香港が1.3%となっている。
「シンガポール政府は、インフレを抑制するために一貫して金融引締政策を取ってきました。また、不動産価格の抑制政策もインフレ圧力を抑える働きをしています。香港でも、インフレ率はわずかながら下がっているので、実質的な昇給率は少なくとも昨年(0.1%)よりは上昇することになります。」(Sambhav Rakyan)
香港とシンガポールの2016年の昇給率は、それぞれ4.6%、4.5%と予想される。
業績が高い従業員は昇給率も高い
本調査によると、産業分野にかかわらず約80%の回答企業が、業績の高い従業員に重点的に予算配分をすることを予定している。この傾向は、本調査の3つの中核産業 である金融サービス、ハイテク、製薬・ヘルスサイエンスにおいても見られる。
「私たちの調査では、回答企業の80%が今後12か月間に従業員を新たに雇用すると答えており、地域の雇用に明るい展望が見えています。しかし、業績の高い従業員に対してより高い報酬が振り分けられることも事実であり、その昇給率は、従業員平均のおよそ1.5倍です。熾烈な人材獲得競争の中で優秀な従業員を繋ぎ止めるには、報酬と業績を連動させることが不可欠となっています」 (Sambhav Rakyan)
当然のことながら、昇給率が全体的に上昇傾向にある市場は、業績に対する報酬も高い。インドの場合、最も業績が高い従業員の平均昇給率は12%であり、これは同地域平均の2倍近くに相当する。
「業績の高い従業員に積極的に報酬を支払おうとするこの傾向は、特に新興国において、企業が優秀な人材の採用・引き留めを急務として、それに力を注いでいることを示しています。人材不足がますます深刻な問題になりつつある中で、企業は予算配分に慎重になっていると言えるでしょう」(Sambhav Rakyan)
《2015年5月28日(木)に香港より発表されたプレスリリースの日本語版》
本調査について:
2015年昇給率調査結果レポート アジア太平洋地域版(2015 Asia Pacific Salary BudgetPlanning Report)は、タワーズワトソンのデータ・サービス部門(TWDS)が年2回実施している調査です。今回の調査は、各企業が2015年の報酬計画を策定する時期に合わせて実施したもので、幅広い産業と、工場などの現場労働者から役員レベルまで様々な階層の従業員の給与配分や動向と給与審査について調査しました。
今回の調査は2015年2月に実施され、アジア太平洋地域の19ヵ国・地域の企業から約2,000件の回答が寄せられました。本調査および他の地域の最新の昇給率調査結果レポート アジア太平洋地域版はオンラインでご購入いただけます。
【お問合せ】
タワーズワトソン株式会社
データ・サーベイ部門
TEL: 03-3581-5960 (部門代表)
E-mail: twjpdata@towerswatson.com
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(タワーズワトソン株式会社 http://www.towerswatson.com/ja-JP /5月28日発表・同社プレスリリースより転載)