入社3年以内の離職率は未だ高い推移。
企業が導入する定着質向上のための「人事・人材教育制度」とは
昨年10月に、厚生労働省が入社後3年以内に仕事を辞めた人に関する調査結果を発表した。2009年入社では高卒で35.7%、大卒で28.8%が3年後に離職しているという。業種別に見ると、「教育、学習支援」「宿泊、飲食サービス」「生活関連サービス、娯楽」は45%を超える結果となった。「若者は3年で3割が辞める」と言われて久しいが、未だこの傾向は根強いようだ。しかし、企業が成長していく上で、将来の事業を担う若手社員の成長は重要課題。多くの企業が、若手社員の離職を防止するために、さまざまな施策を講じている。
住宅メーカーの株式会社アキュラホーム(東京・新宿区)は、社員のキャリアへの考え方が人事異動に反映される「キャリアデザイン制度」を導入。自己申告または所属長からの推薦を受けた社員が、上級管理職に対し自身のキャリアに関する想いをプレゼンテーションする機会が与えられ、それが実際の人事異動に反映される。エスビー食品株式会社(東京・中央区)では、OJTの一環として、同じ部署の先輩社員が教育係として、一定期間マンツーマンで新入社員の指導にあたる「エルダー制度」を導入。新人・先輩が共に「教える」「教えられる」立場として経験を積むことで、成長を促している(財経新聞)
両社のように、社員が自主的に発言したり、学んだりできる機会を設けることは、若手社員の早期成長を促すことができるだろう。また、若手社員にもさまざまなチャンスが与えられることがわかれば、組織への帰属意識も高まっていくだろう。これらの施策の導入が、数年後の若手社員の離職率にどのように影響するのか、注目されるところだ。
『日本の人事部』編集部