「2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜」を実施
パワハラ被害5割 “相談窓口に不足感” 企業対策に課題示す声
〜声あげられず8割が退職 問われる“解決”の本質~
転職サービス「doda」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、543人の社会人男女を対象に「2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜」を実施しました。本調査は、直近1年のハラスメント意識や勤務先での対策の変化に加え、職場での被害経験や解決について調査したものです。
【企業のハラスメント対策】
2021年から2023年におけるJob総研調査では、ハラスメント被害率は7~8割と変化が見られぬ一方、職場のハラスメント対策への不十分さを感じている人の割合は増加していることがわかっています。企業のハラスメント対応にも注目が集まる中、職場のハラスメントの実態や職場の対応策はどのように変化しているのでしょうか。Job総研では543人の社会人男女を対象に、直近1年のハラスメント意識や勤務先での対策の変化に加え、職場での被害経験や解決について調査した「2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜」を実施しました。
【TOPICS】
- 直近1年間で全体の88.2%がハラスメント意識上昇 全体の59.3%が職場の対策が「強化された」
- 全体の60.0%が”相談窓口の設置”など職場でハラスメント防止策あり 58.6%が「不十分さ」実感
- 全体の82.9%がパワハラ防止法強化は「必要」と回答 全体の55.1%が職場ハラスメントの被害「経験あり」
- 「個人を否定」するような”パワハラ”が最多 被害後は「誰にも相談せず」が最多
- 82.2%が職場ハラスメントによる退職,検討経験「あり」 全体の68.7%がハラスメントの「解決はない」
【直近1年のハラスメント意識変化】
回答者全体の543人に直近1年間のハラスメントへの意識を聞くと、「上がった派」が88.2%で大多数を占め、内訳は「とても上がった」が21.0%、「上がった」が19.7%、「どちらかといえば上がった」が47.5%となりました。「上がった派」の年代別では40代が93.5%で最多となり、次いで30代が90.9%、50代が87.5%、20代が84.4%となりました。
【勤務先での対策】
回答者全体の543人に直近1年間の現職場のハラスメント対策を聞くと、「強化された」が59.3%で過半数を占め、内訳は「とても強化された」が14.4%、「強化された」が13.8%、「どちらかといえば強化された」が31.1%となりました。現職場のハラスメント防止策の有無を聞くと、「ある」が60.0%で過半数を占め、内訳は「ない」が19.7%、「有無を知らない」が20.3%となりました。
【対策内容の実態と理想】
防止策ありと回答した326人に対策内容を聞くと、「相談窓口の設置」が66.3%で最多となり、次いで「ガイドラインの周知」が52.5%、「ハラスメント研修・教育の実施」が49.7%となりました。回答者全体の543人に、職場のハラスメント防止に必要な対策を聞くと、「明確なガイドラインの配布」が43.3%で最多となり、次いで「匿名の報告・相談環境や制度」が42.0%、「管理職に向けた教育・研修」が40.3%となりました。
【勤務先のハラスメント対策とパワハラ防止法】
回答者全体の543人に現職場のハラスメント防止対策への印象を聞くと、「不十分だと思う派」が58.6%で最多となり、内訳は「対策はしているが十分ではない」が35.5%、「対策はしているが不十分」が23.1%となりました。また、「パワハラ防止法」強化の必要性を感じるかを聞くと、「必要性を感じる派」が82.9%で過半数を占め、内訳は「とても感じる」が31.7%、「感じる」が24.7%、「どちらかといえば感じる」が26.5%となりました。
【ハラスメント被害経験】
回答者全体の543人に職場でハラスメントを受けた経験を聞くと、「ある」が55.1%で過半数を占め、内訳は「ない」が44.9%となりました。被害経験ありと回答した299人に受けたハラスメントの種類を聞くと、「パワーハラスメント(パワハラ)」が73.2%で最多となり、次いで「モラルハラスメント(モラハラ)」が31.4%、「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」が26.1%となりました。
【ハラスメント内容と対応】
被害経験ありと回答した299人に受けたハラスメントの内容を聞くと、「個人を否定するような言動」が55.9%で最多となり、次いで「能力を否定するような言動」が51.5%、「精神的な攻撃や嫌がらせ」が41.5%となりました。また、職場ハラスメントへの対応を聞くと、「誰にも相談していない」が27.4%で最多となり、次いで「社内の信頼できる人に相談した」が23.7%、「家族や配偶者・親族に相談した」が22.1%となりました。
【ハラスメントの解決】
被害経験ありと回答した299人に、職場ハラスメントによる退職・検討経験を聞くと「ある派」が82.2%で大多数を占め、内訳は「退職をしたことがある」が47.8%、「退職を検討したことがある」が34.4%で、「ない」は17.8%となりました。また、回答者全体の543人にハラスメントが"解決される"ことはあるかを聞くと、「解決はないと思う派」が68.7%で過半数を占め、内訳は「完全な解決はないと思う」が33.9%、「解決はないと思う」が10.9%、「どちらかといえば解決はないと思う」が23.9%となりました。
【回答者自由記述コメント】
職場のハラスメント対策に関する自身の経験や意見が集まりました。
- 同僚からパワハラを受け上司や産業医に相談したが対策を取ってくれず休職をした。苦しかった
- 我慢している同僚がいれば一緒に上司に相談し、はたらきやすくなるよう自分なりに行動している
- 上に気に入られていれば許される風潮があった。本社や人事が気付かない事も問題だったと思う
- 被害者が退職しても加害側が許される、パワハラを放置する職場には第三者機関を入れるべき
- 社内では研修が徹底されていますが、加害者本人は自覚がなく”ダメになる奴が悪い”と考えている
※ハラスメントに関するコメントは「JobQ Town」にて確認いただけます。
【調査まとめ】
職場のハラスメント対策と被害経験に焦点を当てた「2025年 ハラスメント実態調査 〜被害・職場対策編〜」では、全体の9割が直近1年間でハラスメントへの意識が上がり、年代別で見ると、管理職が多いとされる40代が最多となりました。職場にハラスメント防止策があり、直近1年間の対策は「強化された」と回答した人は6割になりますが、個人の意識変化と職場の対策にはギャップがある状態です。窓口やガイドラインはあるものの、実際に必要だと思う対策では、”明確な”ガイドラインの「配布」や、「匿名の」相談環境、「管理職に向けた」教育など、より具体的な対策案が挙げられています。理想の対策と実態で多少乖離がある中、職場のハラスメント防止対策への印象は6割が「不十分」と考えており、2021年のJob総研調査から4年がたった現在でも変化がない状況です。
被害状況に関しては5割強が、個人,能力の否定や精神的な攻撃や嫌がらせなど、パワハラを始めとした何らかのハラスメントを経験しています。相談環境が用意されているにもかかわらず、誰にも相談せず、被害側の「退職」によって事態を収束させている現実もある状況です。一見落ち着いたと見える事案でも加害・被害の事実は変わらないため、本当の意味での”解決”に向かうことの難易度は高いと考えられます。今後加害・被害を含めた”ハラスメント”の事案を無くしていくためにも、日頃の”予防”に焦点を当てた対策の必要性が見える調査結果となりました。
【調査概要】
調査対象者:現在職を持つJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件 :全国/男女/20~50代
調査期間 :2025年4月9日〜4月14日
有効回答数:543人
調査方法 :インターネット調査
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社/4月28日発表・同社プレスリリースより転載)