リスキリングに関する定点調査 2023年6月版
リスキリングの成果を実感している割合が実施企業の6割以上
総合人材サービス、パーソルグループのパーソルイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:長井 利仁)が展開する、リスキリング支援サービス『学びのコーチ』は、全国の企業にお勤めの方を対象に、「リスキリング」に関する定点調査を四半期ごとに実施しており、2回目となる今回は、リスキリングの成果を実感している企業の特徴についての分析も実施しましたのでその調査結果をお知らせします。
※本調査でいうリスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義します。
■調査サマリー
- 前回に引き続き、約4割の企業がリスキリングを実施
- リスキリング実施企業の63.7%が、リスキリングの取り組みに成果を実感
成果実感がある企業のリスキリングの取り組みは、トップダウン(経営主導)型が多い - リスキリング実施企業は、AI活用が約7割と活発
■調査結果
✓前回に引き続き約40%の企業がリスキリングを実施 大企業の実施率は中小、スタートアップ企業のダブルスコア以上
回答者が主に勤めている企業において、「直近1年の間で、従業員のリスキリングに関する取り組みを行いましたか︖」と尋ねたところ、「実施した」と回答した方は、前回は39.1%、今回は41.6%と微増し、今後も伸びていくと思われます。
これに対して、企業規模別の回答を見ると、大企業に勤めている方では「実施した」との回答が、前回は60.5%、今回は64.1%に対し、中小/スタートアップ企業に勤めている方では「実施した」との回答が前回は28%、今回は27.1%となり、企業規模別で2倍以上の差がありました。前回に引き続きリスキリングの取り組みは、大企業が先行して取り組んでいる実態が伺えます。
✓前回に引き続きリスキングの取り組み約80%が「トップダウン型」
リスキリング実施者の企業において、「リスキリングの取り組みは、トップダウン(経営主導)型・ボトムアップ(個人主導)型のどちらで行っていますか︖」と尋ねたところ、「トップダウン型」との回答が、前回は80.2%、今回は79.5%と、高い割合のままでした。企業規模別の回答をみると、大企業の方がトップダウン型比率はやや高く、業種カテゴリ別では、製造業と通信情報サービス業とを比較すると、製造業のトップダウン型比率がやや高いことがわかります。
✓前回に引き続き「重視するスキル」はDX化の推進、ITスキルの習得の目的に変化はなし
リスキリング実施者の企業において、「リスキリングの取り組みでは、どのスキルを取得することを重視していますか︖」と尋ねたところ、1位は「データ活用(35.6%)」、2位は「ITプロジェクトマネジメント(34.1%)」、3位は「クラウド活用(31.4%)」となりました。前回とは1位の「データ活用」と、2位の「ITプロジェクトマネジメント」が逆転しましたが、DX化の推進や、ITスキルの習得を重視する傾向に変化は見られませんでした。
企業規模別の回答を見ると、中小/スタートアップ企業では「データ活用」「リーダーシップ」が28.4%、「業務プロセス設計」「デザイン思考」が24.5%と、「ITプロジェクトマネジメント」の22.5%よりも高く、前回同様に企業成長への土台作りとなるスキルの重視が上位となりました。一方の大企業では前回は「ITプロジェクトマネジメント」が50%以上であったところ、今回は重要視しているスキルに大きな偏りがなく、全体的に取得したいスキルが幅広くなったことが読み取れます。
✓リスキリングの取り組みに成果を感じている企業は60%以上
リスキリング実施者の企業において、「企業としてのリスキリングの取り組みはどのように評価されていますか?」と尋ねたところ、「大きな成果が出たと感じている」との回答が18.2%、「成果を実感できた」との回答が45.5%となり、合計63.7%がリスキリングの取り組みに成果を感じていることがわかりました。また、成果実感がある企業のリスキリングの取り組み方は、トップダウン(経営主導)型が67.7%と多いことも読み取れます。
✓リスキリングの成果は業務の効率化で実感
リスキリング実施者の企業において、「具体的にどのような効果があったと感じていますか?」と尋ねたところ、「業務の効率化(49.4%)」、「新しい職種・役割にアサインできた(44.0%)」、「新事業の立ち上げ(43.5%)」に効果がでており、リスキングの重要性が高まっていることがわかります。
企業規模別の回答を見ると、全般にリスキングの成果を感じているのは大企業であり、中小/スタートアップ企業は「新規事業等の立ち上げ」の成果実感が高く企業成長へのリスキングを必要としていることが読みとることができます。
✓リスキリングの実施企業は、AI活用が活発 メーカーは問い合わせ対応、IT通信は情報検索
回答者が主に勤めている企業において、「どの程度AI(ChatGPT等)を業務で活用していますか?」と尋ねたところ、「AIを活用している、または導入を検討している」との回答が51.5%、企業規模別の回答を見ると、大企業では69.7%が活用または、導入を検討していることが分かりました。
リスキリング実施、未実施別で回答を見ると、リスキリングを実施している企業の約7割が積極的に活用・検討していることがわかりました。活用している業務シーンとしては、メーカーは問い合わせ対応、IT通信は情報検索をメインに活用しています。
■まとめ
リスキリングこそまさに多様なはたらき方を支える1つだと考えているからこそ、定点調査として実施することは、社会情勢を汲んだ企画になるのではないかと思いました。そこで今回はリスキングの成果実感を軸に調査し、成果実感が高いのは「トップダウン型(経営主導)」かつ「成果指標を運用している」グループという結果となりました。私たちのお客さまからも「経営陣の強い意志を感じる」ことが多く、現場の肌感覚とも一致する結果だと考えています。テクノロジー人材を採用するだけではなく「自社の社員のリスキリングにも力を入れて経営目標を達成する」というお客さまの姿を拝見すると、本質的な「人的資本経営」の形を垣間見るように思います。
成果を実感している企業の特徴
●トップダウン型 … トップダウン型では、過半数の67.7%が成果を実感できている
●指標を定めた運用※ … 指標を定めて運用している企業では91.1%が成果を実感している
●大企業 … 成果実感が高いのは 大企業>中小企業
●業務の効率化 … 業務の効率化について具体的な成果を実感している企業が多い
■調査概要
調査手法 ︓ インターネットリサーチ Fastask(株式会社ジャストシステム提供)でアンケート調査を実施
調査対象 ︓ 全国の企業にお勤めの方
調査期間 ︓ 2023年5月23日(火)~5月30日(火)
対象人数 ︓ 660
企業属性 ︓ ※大企業︓従業員数が300人以上の企業
※中小企業とスタートアップ︓従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置かない企業と従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置く企業。大企業の子会社やグループ会社は含まれない。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルイノベーション株式会社/ 6月20日発表・同社プレスリリースより転載)