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ニュース
人事サービス 雇用・採用
掲載日:2022/12/08

【若手社員の意識調査】社会人2~4年目の直面する壁(特別編_離職意向別)

社会人2~4年目、離職意向がある人は仕事における壁に多々遭遇。意向有無の違い、2年目「自分のスキル不足に不安」 32pt差、3年目「仕事量が多い」29pt差、4年目「職場の文化が合わない」26pt差
 

株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、社会人2年目~4年目の900人に対し、2022年7月に直面している壁に関する意識調査を行いました。調査結果は4回に分けて公表しましたが、今回は特別編として、離職意向の有無についての属性(*1)で分析した調査結果を公表いたします。


背景

当社ではこれまで、新入社員の意識調査や入社1年目のギャップに関する調査など、1年目社員の調査を様々な視点で行ってきました。人材育成、採用などの業界においても1年目社員に関する調査は数多く実施されていますが、2~4年目の社員に関しては1年目ほどフォーカスが当たっていないのが現状です。一般的に“若手”と一括りにされることが多い年次ですが、各年次における意識は多種多様ではないでしょうか。若手が思うように育たない、新人研修やOJTなど時間やコストを投資したがすぐに辞めてしまう、これからというタイミングで転職してしまうなど、若手に関する悩みは多くの企業が抱えており、当社にも日々相談が来ています。その解決の糸口をみつけるために、若手を紐解き、2年目、3年目、4年目と各年次がそれぞれどのような価値観を持ち、悩みを抱えているのか、また共通点や違いは何かを明らかにすべく、各年次に対して調査を実施しました。


調査結果の概要

  • 社会人2年目、離職意向ありの9割が「仕事を進める上での困難」に遭遇。「自分の知識・スキルへの不安」は離職意向ありがなしより31ポイント以上高く最大差
  • 社会人3年目、離職意向ありの約7割が「仕事の量が多い」、約6割が「キャリアへの不安」を実感。意向なしとそれぞれ28ポイント以上の差
  • 社会人4年目、離職意向ありの5割以上が「職場の文化が合わないことがある」と回答。意向なしより26ポイント以上高く、最大差
  • 離職意向のある2年目、意向なしよりも10ポイント以上高い割合が「仕事を進める上で相談相手がいない」。意向なしよりも、プレゼンテーション力・ビジネスライティング力のスキル不足も実感
  • 離職意向のある3年目、意向なしよりも11ポイント以上高い割合が「キャリアについて相談する相手がいない」。「やりたい業務ではない」状況に仕事の飽きも感じている
  • 離職意向のある4年目、意向なしよりも16ポイント以上高い割合が「自由度のある職場」を求める。また、「やりたい業務ではない、仕事の意義がわからない」状況に仕事の飽きも感じている


調査結果の詳細

1.社会人2年目、離職意向ありの約9割が「仕事を進める上での困難」に遭遇。「自分の知識・スキルへの不安」は離職意向ありがなしより31ポイント以上高く最大差

本調査では、社会人2年目、3年目、4年目の若手社員に対し、現在どのようなことに困難を感じているか、不安を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など、16の項目(以下、『16の壁』と記載)について質問しました。その結果を、離職意向がある若手社員とない若手社員でどのような違いがあるか、年次別に比較しました。

社会人2年目の結果を見ると、離職意向のある社員が16の項目全てにおいて、意向なしよりも壁を感じている結果となりました。その中でも離職意向ありが最も壁を感じた項目は「仕事を進める上で困難に感じることがある」となり、回答した割合は90.5%にのぼりました。次に「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が69.5%、「仕事の判断を任される場面がある」が66.6%と続く結果となりました。

離職意向ありとなしの割合の差を比較すると、大きく差が出た項目は「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」「今後のキャリアが描けず、この会社で働き続けることに不安に感じることがある」で、それぞれ意向なしよりも、31.7ポイント、31.5ポイント高い結果となりました。

 

2.社会人3年目、離職意向ありの約7割が「仕事の量が多い」、約6割が「キャリアへの不安」を実感。意向なしとそれぞれ28ポイント以上の差

次に、社会人3年目の結果をみていきます。2年目同様に、3年目においても離職意向ありが意向なしよりも全項目で壁を感じる結果となりました。その中でも、「仕事を進める上で困難に感じることがある」が78.7%と、最も高い壁となりました。次に「仕事の量が多いと感じることがある」が69.9%、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が60.2%と続きました。

離職意向ありとなしを比較すると、「仕事の量が多いと感じることがある」が意向なしよりも29.2ポイント高く、最も差が出る結果となりました。次に差が出た項目は「今後のキャリアが描けず、この会社で働き続けることに不安に感じることがある」で、意向ありが28.1ポイント高くなりました。

 

3.社会人4年目、離職意向ありの5割以上が「職場の文化が合わないことがある」と回答。意向なしより26ポイント以上高く、最大差
離職意向のある4年目社員においても、2、3年目同様に離職意向ありが意向なしよりも全項目で壁を感じる結果となり、「仕事を進める上で困難に感じることがある(75.5%)」、「仕事の量が多いと感じることがある(64.3%)」、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(59.2%)」「仕事の判断を任されることがある(59.2%)」の順に困難を感じていることがわかりました。


離職意向ありとなしを比較すると、「職場の文化が合わないと感じることがある」に関して、離職意向ありが26.3ポイント高く、最も差の出る項目となりました。離職意向ありでは、年次が上がるにつれ項目の半数以上において壁が低くなる傾向がありましたが、「職場の文化が合わないと感じることがある」のみ、年次が上がるにつれて壁が高くなるという結果が見られました。

 

4.離職意向のある2年目、意向なしよりも10ポイント以上高い割合が「仕事を進める上で相談相手がいない」。意向なしよりも、プレゼンテーション力・ビジネスライティング力のスキル不足も実感

ここからは、離職意向ありの社員が具体的にどのような場面で困難に感じているか、離職意向のない社員と違いが出た項目をピックアップし、年次別にご紹介します。

社会人2年目の離職意向ありの9割が選択した「仕事を進める上で困難に感じたことがある」という壁について、彼らは具体的にどのような場面で困難を感じているでしょうか。離職意向ありでは「自分のスキルが足りない」ときと回答した割合が30.5%と最も高くなり、意向なしと8.5ポイントの差が出ました。次に、「業務量が多い(25.3%)」「業務内容が難しい(21.1%)」「教えてくれる人がいない(21.1%)」と続き、次の「相談相手がいない(20.0%)」に関しては、離職意向ありがなしよりも11.0ポイント高く、最も大きな差となりました。

上記設問において、離職意向ありが最も高い割合で困難に感じていた「自分のスキル不足」ですが、2年目社員はどのような知識・スキルに不安を感じているでしょうか。自分の知識・スキルに不安を感じている人に、具体的にどのようなスキルが不安か質問したところ、離職意向ありでは、「プレゼンテーション力(31.3%)」がトップで、離職意向なしよりも9.1ポイント高い結果でした。また、離職意向ありとなしの差で最も大きかった項目は「ビジネスライティング力」で16.0ポイント意向ありが高い結果に。プレゼンテーション力やビジネスライティング力は、会議や商談時、また議事録・企画書の作成など、実務において必須のスキルであり、実際に仕事を進めていく中でスキル不足を感じていることが推察できます。

 

5.離職意向のある3年目、意向なしよりも11ポイント以上高い割合が「キャリアについて相談する相手がいない」。「やりたい業務ではない」状況に仕事の飽きも感じている

次に、社会人3年目の離職意向ありの59.2%が選択した「今後のキャリアが描けず、この会社で働き続けることに不安に感じることがある」という壁に関して、具体的にどのような場面で不安を感じるか見ていきます。

離職意向ありでは「キャリアについて考える余裕がない」が29.5%と最も高い結果に。次に「身近に目指すべき存在がいない」が26.2%、「キャリアについて相談する相手がいない」が24.6%と続きました。

「キャリアについて相談する相手がいない」では、離職意向ありがなしよりも11.1ポイント高く最大差となり、次に「希望していた業務ができない」が意向なしよりも10.3ポイント高い結果となりました。

また、離職意向のある3年目のうち60.2%が選択した「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」壁について、どのような場面で感じるか見ていきます。意向ありが最も高い割合となったのは「やりたい業務ではない(22.6%)」ときで、意向なしよりも9.7ポイント高い結果となりました。次に、「仕事の意義が分からない(12.9%)」「メンバーが変わらない(12.9%)」が入りました。

社会人3年目では、業務量が増えている中、キャリアについて考える余裕も、相談する相手もおらず、さらに希望していた業務もできていない現実に不安や仕事への飽き・つまらなさを感じ、離職意向に繋がっている可能性があります。

 

6.離職意向のある4年目、意向なしよりも16ポイント以上高い割合が「自由度のある職場」を求める。また、「やりたい業務ではない、仕事の意義がわからない」状況に仕事の飽きも感じている

社会人4年目については、離職意向ありとなしで26.3ポイントと最大差がついた「職場の文化が合わないと感じることがある」という壁について、具体的な場面を見ていきます。離職意向ありは「自由度がないとき」と回答した割合が30.0%と最も高い結果に。離職意向ありがなしよりも16.7ポイント高く、最大差となりました。

また、離職意向のある4年目社員の75.5%が選択した「仕事を進めるにあたり困難に感じたことがある」、59.2%が選択した「仕事が飽きた・つまらないと感じることがある」壁についても見ていきます。

「仕事を進めるにあたり困難に感じたことがある」場面としては、離職意向のある人の44.6%が「業務量が多い」ときと回答しており、離職意向なしと21.9ポイントと大差がありました。

「仕事が飽きた・つまらないと感じる」具体的な場面として、「やりたい業務ではない」「いつも同じ業務をやっている」ときが同率19.0%でトップに。「やりたい業務ではない」においては、離職意向なしと7.6ポイントの差となりました。その後、「仕事の意義がわからない」が13.8%と続きました。

最後に彼らの求める知識・スキルに関する結果を見ていきます。

離職意向ありの半数が選択した「現在、自分の知識・スキルに不安を感じることがあるか」という壁においてどのような知識やスキルに不安を感じているか質問したところ、「プレゼンテーション力」が33.3%でトップに。意向なしよりも10.1ポイント高い結果となりました。次いで、「解決策立案」「実行力」が同率21.6%でした。

離職意向ありは業務量が多い状況の中、自由度ややりたい仕事を求めている傾向がありましたが、これらを実現するためには、解決策立案といったスキル以外にも、仕事をコントロールするために重要な「計画力」や「セルフマネジメント力」が必要ではありますが、セルフマネジメントに関しては3.9%とほとんど視野に入っていない結果となりました。

 

まとめ

今回は、社会人2年目、3年目、4年目の若手社員が直面する壁に対し、離職意向の有無でどのような違いがあるか分析しました。結果、全ての年次において、離職意向ありが、なしよりも壁を感じていることが明らかになりました。また、離職意向ありに限ってみると、年次が上がるにつれ半数以上の壁が低くなる中、「職場の文化が合わない」という壁のみ、高くなる傾向が見られました。

年代別にも特徴がありました。社会人2年目の離職意向ありは「自分自身のスキル不足」や「相談相手がいない」場面において、仕事における壁を感じていました。特に、「プレゼンテーション力」「ビジネスライティング力」など、会議や商談時、また議事録・企画書・稟議書作成など、日常の実務の場面で使うスキルにおいて、スキル不足を実感していることが明らかとなりました。企業としては、このようなスキルを学ぶ機会を提供すると同時に、日々の仕事の中で身につけられるような意図的なアサインメントを通し、指導やフィードバックをすること、そして相談に乗れる場を用意することが重要といえるでしょう。

社会人3年目の離職意向ありの社員は、仕事量が多い中、キャリアについて考える余裕もなく、相談相手もおらず、この会社で働き続けるか不安を抱え、「希望していた業務ができない(やりたい業務ではない)」ことに、仕事の飽き・つまらなさを感じる傾向にあることがわかりました。仕事は誰もがやりたい業務だけをできるわけではありません。与えられた業務の中で、いかに仕事の意義を感じていけるかが重要となるでしょう。会社側としては、離職を防止するために、仕事の意義を理解してもらうための工夫や、一人ひとりのキャリアと業務を連動させ、目指すキャリアに対して、今の業務経験がどのように役に立つのか、中長期の視点でキャリアと業務を紐づけてあげることが重要といえるでしょう。一方で、 自分自身のキャリアを事前に決めすぎることをせず、節目ごとに起こる変化を楽しみ自然の流れに身を任せていくキャリアドリフトの考え方も、事前にインプットしたうえで育成計画を考えてみるのもよいでしょう。

社会人4年目の離職意向ありでは、「自由度が高い」環境や、「やりたい業務」を希望する傾向にあることがわかりました。しかし、年次が上がるにつれ業務量が増える中、ある程度自分で業務をコントロールする力を身に付けないと、自由度は高まりません。そのためには計画力やセルフマネジメント力が必要ですが、それらのスキルに対する意識は低めである結果がでたことより、会社側としてはそのようなセルフマネジメント力を身に付けるための機会を提供すること、すなわち企業は自立自走できるためのサポートをすることが重要となるでしょう。

近年問題視されている若手社員の離職率。本調査から、離職意向のある人の方が、意向のない人に比べて、壁を感じる傾向にあることが明らかとなりました。若手社員の早期離職防止の対策には、各年次で感じている様々な壁を理解したうえで、年次に合わせた成長環境を準備し、一人ひとりに合わせたキャリア形成に取り組むことが必要といえるでしょう。


 *1「あなたの転職経験や意向について教えてください」という問いに対し、「転職経験なし今後予定あり」「転職経験あり今後予定あり」と回答した人を『離職意向あり』、「転職経験なし今後予定なし」「転職経験あり今後予定なし」と回答した人を『離職意向なし』と設定しています。「わからない」はその他とし対象外としています。


調査概要

調査対象者:22~34歳の社会人2年目~4年目の就労者
調査時期:2022年7月22日~7月25日
調査方法:調査会社によるインターネット調査
サンプル数:900人 <社会人2年目>300名、 <社会人3年目>300名、 <社会人4年目>300名

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます



◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ラーニングエージェンシー/11月28日発表・同社プレスリリースより転載)
この記事ジャンル 雇用管理

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