仕事と感情に関する意識調査(職場・上司編)
「感情に寄り添い配慮する職場」ではネガティブ感情も表出しやすい
職場での感情共有を促進することで、仕事のやりがいや成果にプラスの影響
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、2021年12月に20~49 歳の会社員826 名に対し、「仕事と感情に関する意識調査」を実施し、「職場・上司の感情配慮の実態」や「職場での感情への配慮と仕事のやる気や成果の関係性」など、調査結果から見える実態について公表しました。
<調査の背景>
仕事や職場のなかで、「感情」という側面は、いくつかの観点から、今日、益々重要になってきています。
1つめの観点は「技術の進展」です。AIやロボットに仕事が置き換わっていくとき、人間が行ったほうが良い仕事のひとつとして、感情に関連する仕事があります。人の表情や声のトーン、場の空気や文脈のなかで感情を読み取り、うまく対処していくことが、今、注目されています。
2つめに「VUCAの影響」です。正解もなく、変革が当たり前で、スピードが求められると、毎日のストレスで心理的負担は積み重なっていきます。VUCA時代の心理的負担の軽減は、今後のビジネスパーソンの大きな課題となるでしょう。
3つめに、エンゲージメント、キャリア自律、心理的安全性、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンなど、今日の人材マネジメントを考える上でのキーワードが、働いている人たちの感情の問題と関連していることにあります。
4つめが、「テレワークの進展」です。テレワーク続きで、孤独感をかかえ、評価されていないのではと不安になる人もいます。よりよく働くには、自分でそのような感情に気づき、どのように対処していけばいいのか学んでいく必要があります。仕事場面での感情は、パフォーマンスや健康に影響を与えますが、その実態を捉えた調査はあまりありません。そこで、働く人の感情に目を向け、うまく活用することの重要性をあらためて考えるきっかけになることを目的に、本調査を実施しました。
<調査の結果(一部抜粋)>
●積極的にメンバーの声に耳を傾けている上司は約6割
職場や上司が、一緒に仕事をする同僚や部下の感情に、どのくらい寄り添ったり配慮したりしているかを尋ねた。「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の割合が特に多いのは、職場では「仕事が忙しいときでも、周囲に対する配慮や気遣いを忘れない(70.8%)」、上司では「管理職は積極的に職場メンバーの声に耳を傾けている(57.5%)だった。
●「感情に寄り添い配慮する職場」ではネガティブ感情も表出しやすい
・図表1の5項目の平均値から、感情配慮高群(平均4.48)と感情配慮低群(平均2.99)の2群を作成し、この1カ月で最も印象に残っている感情を「あとで社内の人(「職場の上司」「職場の同僚」「上記以外の社内の人」のいずれか)に話した」人の割合を比較した。ネガティブ感情について、感情配慮高群では、低群に比べ、社内の人に感情を伝える傾向が有意に高く、ポジティブ感情にも同様の有意傾向が見られた。
●相互理解や感謝を伝える仕組みが感情交流を促す
・感情の交流や配慮を促す仕組みの導入率については、価値の共有や奨励に関する「仕事上の成功事例・挑戦事例を共有する機会」「朝礼や社員全体会議を通じた会社のビジョンの共有」が約25%、社員同士の関係構築に関する「社内報などでの社員の活躍や人となりの紹介」「お互いの良いところやお互いへの感謝を伝え合う仕組み」や、感情配慮に関する「上司と部下の間の、評価面談以外の1on1ミーティング」が約20%だった。
・このうち、仕組みの有無と社内の人に感情を伝えたことの間に関係が見られたのは、「お互いの良いところやお互いへの感謝を伝え合う仕組み」「同好会や勉強会など業務外の交流機会や金銭的補助」「社員同士で接点をもちやすくするための社員情報の公開」などだった。
<調査担当研究員のコメント>
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 主研究員 佐藤 裕子
今回の調査からは、喜びや感謝、悲しさやつらさを共有したり、お互いの感情に配慮し寄り添ったりする職場環境が、仕事のやる気や成果に良い影響を与えたりする可能性が垣間見えた。また、社員同士が、役割を離れて知り合ったり、仕事に対する思いや感謝を伝え合ったりする機会を仕組みとして設けることが、感情の交流や配慮を促進するのに有効であることもうかがえた。
仕事場面の感情は多様で強いものがあり、都度意識したり対応したりしていると身がもたない面もある。また、感情を人に伝えることは、仕事にマイナスの影響を与えるのではという危惧もある。しかし、実際に生じているさまざまな感情を、なかったことにするのではなく、きめこまやかに把握し前向きな行動につなげていくことができれば、職場でのより円滑なコミュニケーション、よりよい精神状態やパフォーマンスにつながると考えられる。
感情を用いる仕事は、接客・サービスの職種に限らず増えているという。企業には、感情に配慮する職場環境や仕組みの整備が、今後より求められるのではないだろうか。
<調査概要>
調査目的:仕事をしているときにどのような感情を抱いているか、感情の表出やコントロールについての現状や意識はどのようなものか、職場での感情への配慮が仕事のやる気や成果にどう関係するかなどを明らかにすること
調査対象:20~49歳の会社勤務正社員
※一般社員のみ(管理職除く)
※勤務先の従業員規模は300名以上
※5歳刻みで均等になるように回収
※性別は均等になるように回収
※職種は接客・サービス、生産・技能を除く
調査内容:「ここ1カ月の仕事中に、以下のような感情を、どのくらいの頻度で経験したか」「その感情について職場の人に話をしたか」 「仕事や職場に感情を持ち込むべきではないと思うか」「職場の上司や同僚に、自分の気持ちや感情を隠さずに伝えたことで、 良い結果につながったと思う経験」など
調査方法:インターネット調査
実施時期:2021年12月10日(金)~2021年12月12日(日)
有効回答数::826名
回答者の属性:
製造業:34.0%、非製造業60.4%、その他5.6%
従業員規模:300~499名16.2%、500~999名18.0%、1000~2999名20.9%、3000~4999名8.6%、 5000~9999名9.8%、10000名~26.4%
職務系統:営業系33.4%、事務系33.2%、技術系33.4%
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ/2月28日発表・同社プレスリリースより転載)