テレワーク環境下における人事評価に関する意識調査
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:藤島 敬太郎 以下、当社)は、2020年12月、テレワークを月の半分以上行っている20代、30代の一般社員493名に対し、「テレワーク環境下における人事評価に関する意識調査」を実施し、「テレワーク環境下で評価の納得感はどのように変わったのか」など、調査結果から見える実態について公表しました。
■調査背景と結果のポイント
新型コロナウイルス感染症への対応でテレワークが拡大しています。当社「テレワーク緊急実態調査」では、テレワーク経験者の約3割が「仕事のプロセスや成果が適正に評価されないのでは」という不安が以前より高まったと答えています。この働き方の変化は、人事評価の受け取り方にどのように影響しているのでしょうか。また、新しい働き方に適した人事評価制度とはどのようなものでしょうか。20代、30代の一般社員を対象に、テレワーク下での人事評価の納得感や望ましい人事評価制度のあり方などについて、意識調査を行いました。
<調査結果より一部抜粋>
- 約8割が、人事評価を重視。理由は「報酬や昇進・昇格が決まるものだから」が最多
- 約6割が、人事評価制度に満足。満足、不満足ともに評価基準の明確さが影響している
- 7割弱が、直近の人事評価結果に納得。上司との十分な対話が影響している
- 7割弱が、テレワークになっても人事評価の納得感に変化なし
- テレワークで正しく評価されるために、部下が主体的、自律的に働きかける傾向が明らかに
- 望ましい人事評価のあり方は「時間」より「結果」、「短期業績」より「長期貢献」
■組織行動研究所のコメント
人事評価の納得感を高めるための3つのポイント(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 研究員 佐藤 裕子)
1. 改めて評価基準を明確に
今回の調査はテレワークを月の半分以上行っている一般社員を対象に実施している。約6割が評価制度に満足と答えたが、その理由としては「何をがんばったら評価されるかが明確だから」(50.3%)が最も多く、対応するように、不満足と答えた人の理由では「何をがんばったら評価されるのかが曖昧だから」(65.1%)が圧倒的に多かった。明確な評価基準の設定は、評価制度において基礎的なことであるが、テレワーク下では、これが整備されていないことで、不満が高まることが考えられる。
2. 目標設定時に納得がいくコミュニケーションを
評価の納得度が高いと答えた人の約8割(81.7%)が「あらかじめ設定した目標の達成度合いによって評価された」のに対し、そうでない人は5割を下回っている。つまり制度として目標管理制度を採用していると納得感が高まる傾向にある。また、「目標設定において、納得いくまで上司と話し合えた」と答えた割合も、納得度が高い群と低い群で大きく異なっている。目標設定時に上司と納得いくまで話をし、本人が納得している目標でないと、意欲が湧かずに仕事が進まないことが考えられる。
3. 部下からの働きかけも重要
上司は、部下全員の行動をいつも見ているわけではない。テレワークであればなおさらである。調査では、正しく評価されるために意識していることとして「こまめな報連相、密なコミュニケーショションをする」「意識して成果をアウトプットする」「目標、目的を明確にする」など部下側からの働きかけの具体例も聞かれた。テレワークをきっかけに、これまで以上に部下の主体性や自律性を発揮することができれば、評価の納得感を高めることができ、評価者の負担も軽くすることもできる。
テレワークが広がることにより、改めて、適切な評価のあり方を考える必要性が高まっている。テレワークになったからといって、評価の重要性は変わらず、やり方によっては、評価の納得感は高めることさえできそうである。人事、評価者、被評価者が共に当事者として関わり、リモート時代の評価のあり方を確立していくのに、本調査が一助となれば幸いである。
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(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ / 3月2日発表・同社プレスリリースより転載)