平成31年度新入社員のタイプは「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」:産労総合研究所
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2019年度(平成31年度)新入社員のタイプ」を発表しました。これは、企業の人事担当者、大学のキャリアセンター担当者などから成る「新社会人の採用・育成研究会」が、当所調査の「2019年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」や2019年度の採用・就職 支援活動などを踏まえて、今年の新入社員の特徴と育成のヒントをまとめたものです。
昨年のタイプ(SNSを駆使するチームパシュートタイプ)については、こちらをご参照ください。
<新入社員のタイプ>
「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」
注目のAIスピーカー(引き続きの売り手市場)。多機能だが、機能を十分に発揮させるためには細かい設定(丁寧な育成)や別の補助装置(環境整備)が必要。最初の呼びかけが気恥ずかしいが(オーケー!とか)、それなしには何も始まらない。多くの新入社員はAIにはできない仕事にチャレンジしたいと考えていることをお忘れなく。
【2019年度新入社員の就職活動の特徴と今後の育成のヒント】
最短距離で大学を卒業した新入社員が生まれたのは1996年。バブル崩壊後もずいぶんたって、ようやくその後始末が始まった頃である。第一次就職氷河期(大卒求人倍率1.08 〔1996年3月卒〕、リクルートワークス研究所)の中、住専処理(1996年)、北海道拓殖銀行と山一証券の破綻(1997年)といったニュースが伝えられた。高度経済成長期型の社会像が見直され始めたところに彼らは生をうけた。
この平成最後の新入社員の就職活動では大卒求人倍率は1.88まで回復し、2015年に1.5を回復して以来5年連続の売り手市場であった。また昨年、経団連が「就職指針」の廃止を発表するなど、終身雇用制を支えた雇用制度も見直しが進みつつある。インターンシップを通じて3月以前の学生と企業の接触が常態化するなど、指針はすでに空文化していたとも言える。また卒後3年以内の既卒者は新卒枠で採用する企業が増加するなど、新卒の定義も変化してきている。当会の企業への調査でも「現在の新卒一括採用を近い将来変更する」ことを「検討中」とする回答が49%あった。新入社員をめぐる状況は大きな転換点にあると言えよう。
学生の側でも、2015年の過労とパワハラによる新入社員の自殺事件以来、日本企業の雇用慣行への疑念が尾をひいており、就職セミナーへの参加者が減少するなど、一部の学生を除くと、企業への就職にあまり大きな希望や期待をもたない傾向が見られる。「リストラの嵐」を子供時代に見ている世代なので、企業を生活安定のためのシェルターと考える傾向はそもそも親世代よりは弱い。近年の売り手市場が、さほど努力しなくても内定の一つくらいなんとかなる、という思いにもつながっており、総じて就職活動に「醒めている」印象がある。そんな中、命名の由来ともなった昨今のAIブームが、将来AIにとって代わられるような仕事には就きたくないという思いを強めている。
新卒採用とはスキルを問わない採用である。少子化時代の貴重な若い新卒者を採用した以上、丁寧な育成を心がけ、「会社」ではなく、仕事をするという世界に定着できるよう、先輩や上司は努力し、立派な仕事人を育てて欲しい。
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株式会社産労総合研究所 「新社会人の採用・育成研究会」事務局
担当:佐藤、白ヶ澤、酒井、重山
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(株式会社産労総合研究所 https://www.e-sanro.net/ /3月27日発表・同社プレスリリースより転載)