中小企業、多様な働き方を支援する施策を導入している企業の割合は45%、生産性向上を支援する施策を導入している企業の割合は40%~『中小企業の経営者を対象とした働き方改革に関する調査結果』:日経リサーチ
2019年4月から、働き方改革関連法が施行され、時間外勤務の上限規制や、年次有給休暇の確実な取得などが義務付けられる。日経「スマートワーク経営」調査では主に大企業を対象に働き方改革の実態を探り、既に多くの企業が改革に取り組み、成果を上げていることが明らかになっている。
では、中小企業の取り組みはどうか。中小企業では特に、人手不足の深刻化が指摘されており、中小企業景況調査を基にした分析では、全ての業種において従業員の不足が拡大している。日本政策金融公庫「全国中小企業動向調査」が把握した中小企業の経営上の問題点でも、2010年頃はほとんど顕在化しなかった「求人難」を挙げる企業の割合が、ここ数年増加を続け、現在は3割程度の企業における課題となっている。
こうした課題に立ち向かうには、新規の人材を獲得するための人材採用力の向上はもちろん、現在勤務している社員の退職や家庭の事情などによる離脱を防ぐ取り組み、限られた人員で効率的に売り上げや利益を獲得するための生産性向上策といった、働き方改革が中小企業においても極めて重要になる。
ならば、中小企業は今、働き方改革にどう取り組んでいるのだろうか。それを探るために日経リサーチは2018年12月、インターネット調査のモニターに登録している中小企業の経営者を対象に調査を実施、その動向を探った。その結果から、中小企業では既に多くの企業が働き方改革を導入しつつあり、効果を上げていることが明らかになった。
■主な調査結果(抜粋)
1.働き方改革の導入および導入計画の状況
多様な働き方を支援する施策を1つ以上導入している企業の割合は45%、そのうち83%の企業は複数の施策を導入している。
生産性向上を支援する施策を1つ以上導入している企業の割合は40%、そのうち75%の企業は複数の施策を導入している。
多様な働き方を支援する施策では、「大幅な残業や過重労働の防止」「休日や休暇の充実」「労働時間の短縮」に取り組んでいる企業が25%強となっており、今後の計画も含めると35%程度となっている。
生産性の向上を支援する施策では、「1人の社員が複数の作業や役割を担当する多能工化」「業務の標準化による業務効率化」「従業員への教育強化」が20%強となっている。
なお、その他の支援施策としては、「副業の支援」「従業員の異動希望受け入れ」「業務量の自己調整を認める」などがあがった。
2.働き方改革の効果
働き方改革の導入企業は、未導入企業と比較して、採用や職場環境、そして業績がここ2年間で「良くなった」と回答する割合が高くなっている。また、施策を1つしか導入していない企業よりも、複数の施策に取り組んでいる企業の方が高くなる傾向がみられた。具体的に見ると、
「社員の採用」が「良くなった」+「どちらかといえば良くなった」の割合 全体48%
「パート・アルバイトの採用」が「良くなった」+「どちらかといえば良くなった」の割合 全体50%
「業績」が「良くなった」+「どちらかといえば良くなった」の割合 全体53%
これらの項目のスコアを、働き方改革の未導入企業と導入企業(1つ・複数)について見ると、下図のように、多くの施策に取り組むほど、「(どちらかといえば)良くなった」割合が高くなる傾向にある。
特に、「業績」については、未導入企業で「良くなった」が4割程度なのに対して、生産性の向上を支援する施策を導入している企業では7割を超えており、導入企業と未導入企業の間では、ここ2年間の業績に大きな開きが生じている。
■調査概要
調査実施日:2018年12月7日~10日
調査対象:中小企業の経営者
※中小企業の定義は、中小企業庁の定義による
回答者数:600人(業種ごとに、卸売業、小売業、サービス業、製造業・その他 各150人)
調査主体:株式会社日経リサーチ
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(株式会社日経リサーチ https://www.nikkei-r.co.jp/ /12月25日発表・同社プレスリリースより転載)