日本の女性労働者の4割以上が、同じ役職でも性別の違いによる「報酬差」や「キャリアサポートの差」を感じると回答~『労働意識調査ランスタッド・ワークモニター』:ランスタッド
総合人材サービス会社ランスタッドホールディング・エヌ・ヴィー(本社:オランダ王国ディーメン、CEO: ジャック・ファン・デン・ブルック)は、四半期毎に世界33の国と地域の18~65歳を対象に、労働者意識調査「ランスタッド・ワークモニター」を実施しています。
2016年第3四半期に実施した「職場における男女平等」に関する調査では、女性活躍推進法の施行や各企業が努力を進めるものの、まだまだ差を感じている人が多いことや、グローバルからみて体制の整備等が遅れていることが明らかになりました。
<特筆事項>
■日本の女性労働者の4割以上が、同じ役職でも性別の違いによる「報酬差」や「キャリアサポートの差」を感じると回答
■「労働における男女平等を実現するには、どちらかの性別を優遇する必要がある」と回答したのは、日本の男性・女性共にグローバル平均を大きく上回る。また、日本の女性労働者の約7割が直属の上司に「男性」を求める意外な結果に
<調査結果 概要>
日本の女性労働者の4割以上が、同じ役職でも性別の違いによる「報酬差」や「キャリアサポートの差」を感じると回答
同じ業務に従事した場合の性別による報酬差を尋ねたところ、グローバルは79.3%(男女平均)が「差がない」と回答したのに対し、日本は67.4%(男女平均)に留まるなど、33の国と地域のうち最も低い結果でした。
一方、日本の労働者それぞれに目を向けると、「差がない」と回答した女性が59.0%(グローバル女性平均75.0%)に留まり、約4割の女性が「差を感じている」結果となりました。(日本の男性は76.0%(グローバル男性平均83.6%)が「報酬の差はない」と回答)
また、希望する仕事への従事や人事(昇進)について、グローバルでは70.4%(男女平均)が「男女問わずキャリアサポートされている」と回答したのに対し、日本は59.5%(男女平均)で調査国中3番目に低い結果でした。
日本では性別によって差は大きくありませんでしたが(男性62.0%、女性57.1%がサポートされていると回答)、グローバルでは男性より女性の方が差を認識している傾向(男性77.3%、女性63.6%がサポートされていると回答)が判明。また、日本の女性は、42.9%が「差がある」と感じており、グローバルに比べて(グローバル女性平均36.4%)「キャリアの壁」をより感じていることが分かりました。
「労働における男女平等を実現するには、どちらかの性別を優遇する必要がある」と回答したのは、日本の男性・女性共にグローバル平均を大きく上回る。また、日本の女性労働者の約7割が直属の上司に「男性」を求める意外な結果に
労働における男女平等実現のために、どちらかの性別を優遇する必要性について、グローバルでは36.2%(男女平均)と低かったのに対し、日本の平均は10%以上も多い48.4%でした。特に日本では、男性は半数以上(53.5%)、女性は43.4%が「必要である」と回答。グローバルに比べて、男女平等を実現する体制が遅れていると感じている人が多いことが分かりました。
一方、現在の直属の上司の性別について、日本の女性労働者に尋ねたところ、76.1%が「男性」と回答(グローバル平均は55.3%)。調査国33の国と地域の中で1位をマークするなど、男性優位な社会であることが改めて露呈されました。
また、希望する上司の性別について聞いてみたところ、日本の女性は67.8%(グローバル女性58.2%)が「男性」と回答。調査国の中で6番目に高い数値でした。女性活躍推進法の施行で、各企業が女性管理職の比率アップを数値目標として設定する中、意外な結果が判明。従来の体制に慣れてしまったせいか、女性上司の下で働くということに懸念をあらわしているのかもしれません。
ランスタッド株式会社 ダイバーシティコミッティ リーダー 佐藤 葉子 のコメント
女性活躍推進法施行で国内の女性活用の取り組みが盛り上がる中、10月下旬に世界経済フォーラムが発表した2016年の「ジェンダー・ギャップ指数(The Global Gender Gap Report)」で、日本は144カ国中111位と昨年(101位)より大幅にランクを下げました。日本人女性の賃金は正社員でも男性の7割程度であり、今年からジェンダー・ギャップ指数に追加された「所得格差」の項目が総合順位を下げた要因、と言われています。
今回のワークモニター調査でも、日本人の84%(男女平均)が「直属の上司は男性」となるなど、女性管理職比率の低さが際立ちます。その一方、待遇や昇進・採用に性別による差があると感じながら女性優遇には半数以上が反対し、直属の上司に女性を希望する回答も3割程度に留まるなど、女性活躍推進の流れとは異なる女性側の気持ちが浮き彫りになりました。主な理由には、長時間労働を「貢献」と評価してきた日本の文化が背景にあると推測されます。実際に昇進を打診された女性が「家庭との両立ができない」と断った、というのは良く聞く話です。一方、女性管理職比率を伸ばしている企業では、評価基準を「成果」や「生産性」に転換し、子育てや介護で制約のある人材が「長時間」という枠に縛られることなく活躍できるよう推進しています。
少子高齢化による労働力人口の減少を緩和するには、制約があって働けない層を労働市場に取り込む必要があります。今後は性別関わらず制約を持つ労働者が増加することでしょう。女性活躍推進を「女性のため」だけでなく、「全ての従業員が成果を出せる風土作り」と捉え推進していくことが、結果として企業の持続的な成長に繋がるのではないでしょうか。
ランスタッド・ワークモニターについて
ランスタッド・ワークモニターは、2003年ランスタッドの本社のあるオランダでスタートし、現在は欧州、アジアパシフィック、アメリカ大陸の世界33の国と地域で行われています。ワークモニターは年4回実施され、労働市場の動向に関するグローバルトレンドを調査しています。本調査はオンライン上で行われ、18-65歳の週24時間以上の勤務をする労働者を対象にしています(自営業を除く)。今回の調査期間は2016年7月20日~8月4日でした。
調査実施国:アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、インド、イタリア、日本、ルクセンブルク、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、ポーランド、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、オランダ、英国、米国
以上33の国と地域
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(ランスタッド株式会社 http://www.randstad.co.jp/ /11月29日発表・同社プレスリリースより転載)