東証第1部上場企業227社の速報集計。3社に1社が初任給を全学歴引き上げ。大学卒21万313円~『2016年度 新入社員の初任給調査』:労務行政研究所
民間調査機関の(一財)労務行政研究所(理事長:猪股 宏、東京都品川区西五反田3-6-21)では、今年4月の新卒入社者の初任給を調査し、4月6日までにデータの得られた東証第1部上場企業227社について速報集計をまとめた。
調査では、33.9%の企業が2016年度の初任給を「全学歴引き上げ」した結果となった。「全学歴引き上げ」の割合は、昨15年度速報集計時の39.9%から6ポイントの減少である。一方、初任給を前年度と同額に「据え置き」した企業は66.1%。初任給水準の決定に当たっては、新卒者の労働力需給や世間相場が影響を及ぼし、また、賃金体系を考慮した在籍者賃金とのバランス、賃上げ率(特にベースアップ)の結果と配分との関係も考慮する必要がある。14年度以降は賃上げに積極的な企業が増えたこともあり、初任給の据え置き率も14年度75.5%、15年度58.7%と低下していたが、前年度に比べ今春闘交渉では賃上げは抑制傾向にあり、初任給据え置き率は約7ポイント増加している。
初任給額は、大学卒で21万313円、高校卒で16万4894円の水準。同一企業で見た前年度の金額に比べ、それぞれ820円・0.4%、714円・0.4%の上昇である。
<調査結果のポイント>
1.初任給の据え置き状況
「据え置き」66.1%、「全学歴引き上げ」33.9%で2:1の比率。「全学歴引き上げ」は、前年度の速報集計時に比べて6ポイント減少
2.過去10年間における据え置き率の推移
06年度以降、企業業績の回復や団塊世代の大量退職などを背景とした企業の採用意欲の高まりを反映し、据え置き率は低下傾向にあった。しかし、リーマンショックの影響を受け世界的不況に陥った09年度は一転9割を超え、以降95%前後の高い割合が続いた。14年度以降、輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などから、春闘交渉では大手を中心にベースアップや賃金改善の実施が相次ぎ、初任給も引き上げる企業が増加。15年度の据え置き率は58.7%で、06年度以降では最も低い割合となった。16年度は前年度に比べると賃上げは抑制傾向にあり、初任給の据え置き率も66.1%と15年度に比べて7ポイント程度増えている
3.初任給の水準
大学卒(一律設定)21万313円、大学院卒修士22万7505円、短大卒17万7822円、高校卒(一律設定)16万4894円
4.大学卒に見る上昇額の分布
「据え置き」が62.3%と6割超。引き上げた場合は「1000円台」が17.7%で多く、1~2000円台が約3割。平均上昇額は820円
<調査要領>
1.調査項目
2016年度の賃金見直しによって確定された2016年4月入社者の決定初任給(学歴別)。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く、諸手当込みの所定内賃金である
2.調査時期・方法
3月下旬~4月6日。調査票の郵送と電話取材により調査
3.調査・集計対象
東証第1部上場企業1833社と、生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1844社のうち、回答のあった227社を集計
<本プレスリリースに関する問い合わせ先>
(一財)労務行政研究所 編集部 担当 : 田中 TEL:03‐3491‐1260(調査室直通)
※ 本調査の詳細は、弊所編集の『労政時報』第3909号(16.5.13/5.27)で紹介します。
◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(一般財団法人労務行政研究所 http://www.rosei.or.jp/ /4月25日発表・同社プレスリリースより転載)