ランチメイト症候群
ランチメイト症候群とは?
「ランチメイト症候群」とは、学校や職場で一緒に食事をする相手(ランチメイト)がいないことに一種の恐怖を覚えるコミュニケーションの葛藤のことをいいます。一人で食事することを恐れ、それを理由に会社を辞めてしまう人もいるほどで、学会などで認められた病名ではないものの、集団主義が引き起こす心理傾向の一つとして捉えられます。また、本当は一人の方が気楽にもかかわらず、人間関係が壊れてしまうことを懸念してランチの誘いを断れず、憂鬱な気持ちになってしまうケースも同様にランチメイト症候群に該当します。
五人に一人はランチを一人で食べられない?
「他人からどう見られるか」がストレスに
仕事は、クライアントや上司、同僚、株主など、あらゆる関係の中で行われます。昼休みの1時間くらいは、煩雑な人間関係から解放されて、のびのびと過ごしたいものです。しかし、休息のための昼休みが、かえってストレスになってしまうこともあります。一人でランチをとることに恐れを抱くランチメイト症候群とは、どのような心理状況なのでしょうか。
ランチメイト症候群はさまざまな心理的プレッシャーから引き起こされますが、その多くは「一人で食事をとっていることを周囲に見られ、友達がいないかわいそうな人と思われること」に対する恐怖から来ています。ライブドアリサーチの調査によると、「ランチを一人で食べることに抵抗がありますか?」という質問に対し、「抵抗がある」と回答したのは21%でした。五人に一人は、一人でランチをとることに何かしらの抵抗を感じているのです。また、本当は一人で食事をとりたいと思っていても、「みんなでお昼に出る」という職場の暗黙の了解によりストレスが発生することもあります。
このような思考回路に陥ってしまう背景には、日本の集団主義が影響していると考えられています。例えば、学校生活では教室でクラスメイトとランチをとる文化があり、単独行動をすると周囲から浮きやすくなってしまいます。
トイレで食事をとることを意味する、「便所飯」というネットスラングがあります。これは、すでに出来上がったグループに新たに声をかけて入っていく勇気が持てず、とはいえ一人で食べているところも見られたくない。そのため、誰にも見られず安心できる、トイレの個室で食事をしている状態を意味します。
近年はインターネットが普及し、SNSなどを通じてオンラインでコミュニケーションをとることが増えました。反面、人と直接関わり合うことに苦手意識を持つ人も増えています。みんなでランチをとることにストレスを感じる背景には、こうした時代的な要因もあるのかもしれません。
ランチメイト症候群に悩まされる人は、単に昼食時の人間関係だけでなく、対人不安や不登校傾向など、日常的にも他者に対して敏感な性質であると考えられます。「たかがランチ」と考えず、企業にはカウンセリングやメンタルヘルスケアによる不安の解消が期待されます。
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