産前産後休業保険料免除制度
産前産後休業保険料免除制度とは?
「産前産後休業保険料免除制度」とは、産前産後休業(産休)期間中の健康保険料、厚生年金など社会保険料について、次世代育成支援の観点から、その支払いを免除する制度のことです。保険料の免除は事業主からの申出により、折半している被保険者本人負担分と事業主負担分の双方が対象になります。免除された保険料は支払ったものとして扱われるので、被保険者は健康保険証を使用して医療を受けることができ、将来の年金給付も減額されることはありません。制度の運用は2014年4月からスタートしています。
以前は産休中の保険料にも支払い義務
法改正で免除、払ったのと同じ扱いに
2012年夏に成立した「社会保障・税一体改革関連法」では、働く女性がキャリアと出産・育児を両立しやすいよう、年金や医療保険制度の中にも子育て支援強化のしくみが盛り込まれました。その一つが「産前産後休業保険料免除制度」です。
以前から、育児休業中の社会保険料については支払いを免除する制度がありましたが、産休期間(原則として産前6週間、産後8週間のうち、被保険者が業務に従事しなかった期間)中の保険料は支払わなければなりませんでした。産休中は無給扱いとはいえ、健康保険から原則として日給の3分の2程度の出産手当金が支給されるので、被保険者がまったくの無収入になってしまうわけではありません。それでも、ほとんどの人が産休前より収入が減り、経済的に苦しくなる中で、従来は休業前の給与額に基づいて算定された保険料を支払い続けなければならなかったのですから、経済的負担は決して小さくなかったでしょう。
また、健康保険や厚生年金の保険料負担は、会社が被保険者の給料から天引きするのが一般的ですが、産休中は給料が発生しないので天引きすることができず、これまでは社員から会社へ別途、振込や現金などで納めてもらう必要がありました。
こうした働く女性にとっての不利や負担が、2014年4月から大きく軽減されることになりました。健康保険料や厚生年金の保険料は労使が折半して負担していますが、産前産後休業保険料免除制度により、産休中の社会保険料の支払いは本人負担分だけでなく、会社負担分も免除されることに。実際の負担がなくなるだけでなく、この期間は休業前の保険料を納め続けたのと同様に扱われるので、免除を受けたからといって、将来の年金額計算において不利になることはありません。産前産後休業保険料免除制度は、働く女性が“妊娠退社”よりも働き続けながらの出産・育児を選択する、インセンティブとして期待されているのです。
具体的な手続きとしては、被保険者から産前産後休業取得の申し出を受けた事業主が、本人の産休期間中に「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構へ提出する必要があります。
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