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【ヨミ】チョウコッカキギョウ 超国家企業

「超国家企業」とは、生産・販売の拠点を海外へ進出させるといった、形や規模の面だけのグローバル化にとどまらず、国家の枠組みを超えて大規模に活動する企業のことです。母国を含めた特定の国家にしばられることなく、利益を極大化する最適地を求めて世界規模で事業を展開する企業経営のあり方を指します。雇用面においても世界を単一の市場ととらえ、優秀な人材であれば人種も国籍も問わないのが特徴です。強い競争原理が組織内外に働き、それがさらに企業の成長を促す反面、自国の経済成長を国益として優先する政府とは利害が相いれない可能性も指摘されています。
(2013/5/13掲載)

超国家企業のケーススタディ

「世界同一賃金」で各国の優秀な人材を確保
自社の利益を追求するほど国益に反する面も

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが「世界同一賃金」を打ち出し、話題となっています。2013年4月に同社が導入の方針を示した世界同一賃金とは、全世界で店長候補として採用した正社員すべてと役員の賃金体系を統一する新しい評価報酬制度で、海外で採用した人材も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同水準にするのが原則です。

導入のねらいは「世界各国で優秀な人材を確保する」(柳井正会長兼社長)ことに尽きます。同社は20年までに店舗数を現行の4倍の4000店に急拡大。うち3000店については、新興国を中心とした海外への出店を計画しています。短期間で一気にグローバル展開を進めるためには、新興国においても高水準の給与を保障し、優秀な人材をひきつける必要があるわけです。

優秀な人材を登用して組織を強化するために、世界規模で社員たちを競わせ、ふるいにかけていく――まさに「超国家企業」の論理といっていいでしょう。しかし新興国の社員たちと共通の土俵で働きぶりを評価されて、世界中に競争相手が増える分、一方でふるい落とされる社員も多くなるのではないかと懸念されています。企業活動のグローバル化がさらに進めば、世界の生産・消費の中心として新興国が先進国にとって代わり、前者では賃上げ圧力が、後者では逆に賃下げ圧力が強くなるといわれていますが、日本でも新興国でも評価が同じなら賃金も実質同額になるファーストリテイリングの世界同一賃金制度は、こうした「賃金のフラット化」の可能性を企業の賃金体系の中でいち早く具現化したものです。

超国家企業が利益を追求するほど、雇用の流出が進み、国内に残された働き手の立場は厳しくなると言われますが、現に同社の新制度も現場の疲弊を強めることにならないかと懸念されています。自国の経済成長と雇用安定を守るために、政府が“円安誘導”や法人税の引き下げなどによって企業活動の場を国内にとどめようとしても、空洞化の動きには歯止めがかからない――超国家企業の躍進は国家の枠組みだけでなく、旧来型の政策の影響力さえ超えていくのかもしれません。

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