実践共同体
実践共同体とは?
実践共同体とは、共通の関心や目的を持ち、実務を通じて知識やスキルを共有・深化させる人々の集団を指します。英語では「Community of Practice」とも呼ばれ、学習理論家エティエンヌ・ウェンガーらによって提唱されました。企業では、部署や役職を越えた自発的な学びの場として、人材育成やイノベーション促進に活用されています。職場内でのナレッジ共有やOJTの質向上にも寄与する仕組みとして、注目が高まっています。
現場で生まれる知のネットワーク
実践共同体の価値と人事への応用
実践共同体は、学びは一人ではなく、仲間とともに行う「社会的な活動」であるという考え方に基づいています。
実践共同体には、次の三つの特徴があります。一つ目は、共通の関心や目標(ドメイン)があること。二つ目は、互いに関わり合う関係(コミュニティー)が築かれていること。三つ目は、実際の経験や知識を共有する活動(実践)が行われていること。
たとえば、「若手営業担当が集まり、訪問時の工夫や顧客対応のコツを話し合う場」は、実践共同体の一例です。OJTのように先輩や上司から「教わる」のではなく、同じ立場の仲間同士のため、「安心して発言できる」「学びが深まりやすい」といった特徴があります。
異なる部署や役職の人が集まる実践共同体は、社内の“サイロ化”を防ぎ、部門を超えたコミュニケーションが生まれるといった特徴があります。「経験の共有」を通じた学びが主なので、実務に直結した知識が得られる点が大きなメリットです。
近年は、リモートワークや拠点の分散化が進んだことにより、オンラインでの実践共同体も増えています。Zoomやチャットツールを使って気軽に学び合う仕組みは、時間や場所の制約を受けにくく、忙しいビジネスパーソンも取り入れやすいでしょう。
人材育成や知識の共有をスムーズに進められる一方で、実践共同体には注意すべき点もあります。最大のポイントは、「自発的な参加」が基本であること。人事部が強制的に集めたグループでは、活発な学びが生まれにくくなります。活動を長く続けるには、参加者自身が「この場に意味がある」と思えるような目的意識や仲間意識が必要です。
実践共同体は現場発信の活動であるため、組織の方針とずれることもあります。そうした場合も、人事部門は距離を保ちながら支援することが重要です。
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