プライオリティ
プライオリティとは?
プライオリティ(priority)は「優先順位」という意味で、ビジネスにおいてはどのタスク、業務を重視、優先するかを示す言葉です。プライオリティを意識せずに仕事を進めると、課題や問題が解決できずに放置されるなどの問題が起こります。
1. プライオリティの語源
プライオリティとは「優先(権・事項)」「前(先)であること」を示す「priority」を日本語読みしたものです。似た言葉にプライマリー(primary)もありますが、意味は「第一の」「初歩の」「本来の」です。プライオリティは優先の度合いを示しますが、プライマリーは単純に初めのものを示します。
ビジネスシーンにおけるプライオリティの意味
ビジネスシーンにおいて、プライオリティは「優先順位」や「優先権」を意味します。例えば「この仕事はプライオリティが高い(低い)」という場合は、優先順位と言い換えられます。また、「弊社の入札にプライオリティがある」のような言葉は交渉や入札の場面で用いられ、「優先権」を指します。
- 【参考】
- 橋本光郎監修『インフォワード英和辞典』(1999)|ベネッセコーポレーション
2. なぜプライオリティを決めるのか
仕事をする上でプライオリティを決めるのは、円滑かつ効率的に事業や業務を進めるためです。複数の課題を抱えている状態で、プライオリティを決めて取り組むと、問題解決や効率的な業務運営に結び付きます。スムーズに業務や事業を進めるには、それぞれのタスクのプライオリティを決めて、課題を進める必要があります。
社内風土改革のプライオリティを挙げたNECグループ
プライオリティを決めて業務活動が改善した例は数多くあります。NECグループでは、組織改革で優先すべき事項を決めて、改革を推進しました。社長自らがグループ社員と数十回にわたり対話し、「社員自らが率先して行動していく文化への変革が欠かせない」と判断、社内風土改革のプライオリティを挙げました。改革の一つの手段として、社員のエンゲージメント向上を目標に掲げたのです。
社員のエンゲージメント向上を目指し、NECグループのバックオフィス部門を集約するグループ会社・NECマネジメントパートナー株式会社がAIを活用し、エンゲージメントサーベイの結果や関連データを分析して可視化しました。分析結果を課題の明確化や意思決定時の材料とし、人材配置やマネジメントに役立てています。NECグループの事例はプライオリティを決め、組織改革に取り組んだことが功を奏したものです。
3. プライオリティを決める判断例と判断基準
プライオリティに影響を与える要素は多岐にわたります。ここでは、プライオリティに影響を与える具体的な要素と事例を三つ挙げます。
- 経営戦略
- 企業が抱える課題
- 業務効率
経営戦略を軸に、取り組む課題のプライオリティを判断する
社員に目標管理を促す「SAPS手法」を導入したユニ・チャーム株式会社
ユニ・チャーム株式会社は、社員に対して週ごとの「目標管理」を義務付ける「SAPS手法」を人材育成の手段に取り入れました。SAPS手法は「Schedule」「Action」「Performance」「Schedule」の頭文字を取ったもので、一定時期に目標を設定、後に検証するものです。中期の経営目標を達成するために半期、月次、週次に目標を落とし込み、同時に社員に目標を週ごとに設定するよう指示しました。
社員は最も高位にある経営目標、それに次ぐ経営戦略を基に、それぞれのグループや課にとってプライオリティの高い課題を考えます。週が変わるたびにミーティングを開き、目標を達成できたかどうかを繰り返し検証していきました。
幹部が実践リーダー、課長・マネジャークラスが小集団リーダーとなり、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を繰り返しながらSAPS手法を浸透させ、全社が経営目標を見据える機動力の強い組織を構築することに成功しました。
会社が抱えている課題解決にプライオリティを置く
時間外労働削減に向け取り組んだ株式会社シケン
歯科技工所である株式会社シケンの島隆寛社長は、離職率の高さと歯科技工士の就労者数の減少に対する取り組みとして、歯科技工士の有資格者が仕事を継続できる環境を整えることにプライオリティを置くべきだと考え、働き方改革に取り組みました。
まず、時間外労働の削減に注力し、電子タイムカードを導入して、各技工所の就業時間を本社で一括管理しました。リアルタイムで勤務時間を管理した結果、労働時間の平準化につながり、時間外労働時間が激減しました。また、社内で労働時間を調整できない場合は外部委託も取り入れ、労働時間のバランスを図るようになりました。年間の休日数を増やす取り組みも始めると、次第に離職率の低下という成果を出しました。
業務効率を優先したマニュアル作り
配送ルートを効率化して標準化した株式会社トレンディ茨城
ヤクルト製品の配送事業が主軸の株式会社トレンディ茨城は、業務効率を優先した業務マニュアルを作成しました。業務マニュアルを作成する前は、ルートが32あるヤクルトの宅配センターへの行き方はドライバーに一任されていました。「遠回りだけれど、安全なルートを走るドライバー」「目的地への到着時間は早いが、安全面での気配りが必要なルートを走るドライバー」など、走行ルートはドライバー次第で、新人へのルートの教え方もドライバーによって異なっていました。
そこで、事故を起こしにくく、効率的に走ることができるルートを優先してルートを標準化しました。業務効率を優先したマニュアルが効果を発揮しドライバーの負担が減り、新人教育の時間も確保できるようになりました。
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