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介護休暇

介護休暇とは?

介護休暇は、要介護状態となった家族の介護や世話をするために、従業員が取得できる制度です。令和3年(2021年)1月1日からは、介護休暇の適用範囲や取得方法が緩和され、従業員が家庭と仕事を両立するために一層重要な制度となっています。
 
制度の改正に伴い、企業には就業規則の見直しや労使協定締結などの対応が求められます。適切に対応するためには、改正後の制度内容を把握することや、就業規則に盛り込むべきポイントを押さえることが重要です

掲載日:2021/05/20

1. 介護休暇の内容

●改正による変更点は二つ

令和3年(2021年)1月1日に、改正育児・介護休業法の施行により新しい介護休暇制度が始まりました。従来との変更点は二つです。初めに、改正内容を反映した現行の介護休暇の概要を整理しておきましょう。

【介護休暇の概要】
対象労働者 要介護状態の家族を介護するすべての労働者※労使協定を結んでいる場合、以下の従業員は対象外となる・入社6ヵ月未満・1週間の所定労働日数が2日以下
家族の範囲 ・父母・祖父母・兄弟姉妹・子(法律上の親子関係がある子のみ)・孫・配偶者(事実婚を含む)・配偶者の父母
取得日数 ・対象家族が一人:最大年5日・対象家族が二人以上:最大年10日
休暇中の賃金 特別の定めがなく、企業の裁量による
取得単位 1日または1時間単位
手続き方法 書類の提出に限定しておらず、口頭でも可能

このうち、今回の改正では、対象労働者と取得日数の2点について要件が変更されました。

【令和3年(2021年)1月1日から新たに変わったポイント】
〇対象労働者
改正前:1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は対象外
改正後:原則すべての労働者が取得できる

〇取得単位
改正前:1日もしくは半日単位での取得
改正後:1日もしくは時間単位での取得

このように、改正後は、介護休暇を取得できる条件が柔軟化されました。

従業員が介護休暇を時間単位で取得することで、業務全体に支障が出る職種もあるでしょう。その場合、労使協定を結ぶことで時間単位での取得対象者から除外することができます。ただし、半日単位での取得は可能とするなど、労働者が不利にならないよう、配慮が必要です。

参照:子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!|厚生労働省
参照:介護休暇とは|厚生労働省

2. 介護休暇の運用に当たって守るべきルール

企業では以下の事項について、法律の最低ラインとして守る義務があります。

  • 事業主は、原則として労働者からの介護休暇取得の申し出を拒むことはできない(育児・介護休業法第16条の6)
  • 事業主は、介護休暇の取得を理由とした不利益な扱いをしてはならない(育児・介護休業法第16条の7)
  • 事業主は、介護休暇を理由とするハラスメントの防止措置を講じなければならない(育児・介護休業法第25条の2)

補足として、雇用期間が6ヵ月に満たない場合など、特定の要件に該当する場合は、労使協定を結ぶことで申し出を制限できます(育児・介護休業法第16条の6第2項)。

参照:男女雇用機会均等法、育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

3. 自社で決めるべき介護休暇の内容

介護休暇の運用に当たっては、自社で決めることができるポイントもあります。

いずれも、一度就業規則に盛り込んだ後に変更すると不利益変更に該当する場合があるため、事前の入念な検討が重要です。

中抜けの可否

法令では、中抜けをしない場合の休暇取得が想定されていますが、企業が介護休暇を導入する際に中抜けをありとすることは問題ありません。

中抜けは、就業時間の途中に休暇を取得し、終業前に業務に復帰することです。介護では、急きょ通院が必要となるなど、緊急の対応が必要となる場合があるでしょう。中抜けを認めることで、より柔軟な介護休暇の取得が可能となります。

分単位での取得を可能とするか

分単位での取得を可能とするかどうかも、企業ごとに検討する余地があります。

ただし、分単位での取得を認めると管理が複雑化する可能性は高いでしょう。特に、人事部の体制が整っていない中小企業やベンチャー企業は、リスクも踏まえた上で入念に検討する必要があります。

介護休暇の有給・無給

介護休暇中の賃金については、法律に特別な定めがなく、有給・無給は企業の裁量によります。

有給とすることで従業員の満足度向上が期待できますが、安易に有給にすると、予算を圧迫し、ほかの無給休暇とのバランスが崩れる懸念もあります。組織の実情に応じて、慎重に検討するとよいでしょう。

法定を超える休暇日数の付与

法律で定められている付与日数は最低条件であるため、法定以上の休暇日数を付与することも可能です。

ただし、休みを増やすことでほかの人員の負担が大きくなる可能性があります。また、介護休暇を有給としている場合は、予算面も考慮して検討する必要があります。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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