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人事の解説と実例Q&A 掲載日:2023/03/10

出向している従業員の給与の取扱い

企業は不況時に余剰人員を整理するため整理解雇を行うことがありますが、雇用を維持するため、人材を必要とする企業へ従業員を出向させるという選択肢もあります。出向が需要回復までの間の一時的なものであれば、必要なときに従業員を呼び戻すことができるので、在籍出向を活用する企業が増えています。

出向という形で従業員に他社で働いてもらう場合、給与や社会保険料をどのように取り扱えばいいのか迷うこともあるでしょう。従業員が出向している間の給与や社会保険料の取り扱いについて解説します。

出向の形態や活用するメリット

出向を検討する際はまず、そもそも出向とはどういうものなのか、自社の課題を解決する手段なのかを考えることが重要です。

出向には二種類の形態がある

出向は、大企業やグループ企業内で頻繁に行われています。ある程度親和性のある企業に出向するケースが一般的です。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でホテルや旅館、交通機関などの旅行業や宿泊業、飲食店などの特定の業種の需要が大きく減少したことにより、異業種へ出向する例が多く見られるようになりました。

出向とは、従業員が在籍していた出向元との関係を保ちつつ、一定期間出向先で勤務する形態のことです。出向には「在籍出向」と「転籍出向」の2種類があります。

  • 在籍出向:出向元企業と出向先企業との間で結んだ出向契約によって、出向元と雇用契約を維持したままの状態で、出向先で勤務する
  • 転籍出向:出向元企業と出向先企業とで結んだ出向(転籍)契約によって、出向元との雇用契約を解消した上で、出向先と雇用契約を結び、出向先で勤務する

労働者派遣との違い

同じ他社で働く形態として、混同しやすいのが労働者派遣です。労働者派遣は派遣元と派遣先との労働者派遣契約によって派遣先で従業員が勤務するところは出向と似ていますが、従業員には派遣元との雇用契約しかありません。派遣先と従業員との関係は勤務先における指揮命令関係のみであり、派遣先との雇用契約がないところに大きな違いがあります。 

在籍出向のメリット

転籍出向は出向元と従業員との雇用契約が解消され、出向先と雇用契約を結ぶため、転職に近いものとなります。したがって、ここからは在籍出向を前提に解説します。

出向には、出向元・出向先・出向社員の三者ともにメリットがあります。

【出向元のメリット】

  • 従業員の活躍する場があり、モチベーションの維持・向上が図れる
  • 自社に戻ることを前提とするため、雇用を確保し、人材流出を防止できる
  • 他社で働いた経験を生かすことで、従業員のキャリア形成と能力開発効果が期待できる

【出向先のメリット】

  • 人材確保・人手不足解消による業務負担の軽減が図れる
  • 他社・他業種の社員の知識・技能・経験を吸収し、業務改善・活性化が期待できる
  • 即戦力となる経験者を受け入れることで、人材育成などのコスト削減につながる

【出向社員のメリット】

  • 新しい職務経験により、自分自身のキャリアアップ・スキル向上が図れる
  • 出向元へ戻ることが約束されているため、雇用維持に不安がない
  • 出向前と同程度の収入が確保できるため、経済的な不安がない

出向元・出向先の企業ともに「出向契約の交渉・調整の負担」「出向労働者の教育や精神的なケアの負担」「自社技術やノウハウの流出の危険性」などの負担やリスクがあるものの、上記メリットを考慮すると、在籍出向の活用について検討する価値は十分にあります。 

出向者の給与の取り決め方

出向者の給与の支払い方には四つの取り決め方があります。

A.出向元、出向先のどちらか一方が給与を負担する
B.出向元が給与を支払い、出向先が出向元に出向先負担分を支払う
C.出向先が給与を支払い、出向元が出向先に出向元負担分を支払う
D.出向先と出向元それぞれが給与を支払う

給与の負担割合は、出向元と出向先で交渉・調整の上、出向契約に定める必要があります。どちらの企業で給与を支払うかによって社会保険料を負担する企業も変わるため、出向元と出向先でよく話し合って、負担割合やどちらが支払いの事務を行うかなどを出向契約書に詳細に定める必要があります。

一般的にはB・Cによる方法が多いと考えられます。Dのケースで、出向元の給与よりも出向先の給与が低い場合は、出向元が差額を支払うこともあります。労災保険料は出向先に支払いの義務があるため除かれますが、出向先が出向社員の給与を負担金として出向元に支払い、出向元が給与や社会保険料の支払い事務を行うのが一般的です。

負担割合を決めて、どちらか一方の企業で給与支払いの事務を行うのが現実的な方法といえるでしょう。

出向者の社会保険の取扱い

給与や社会保険料の取り扱いなどについて、出向する従業員によく説明し、理解を得ることが重要です。出向社員の社会保険料は、給与と同様に双方の負担割合を決めて、原則として給与を支払う側が社会保険料の事務を取り扱うと考えるのがよいでしょう。

●原則的な社会保険の適用と給与支払者との関係
健康保険・厚生年金保険・介護保険:給与支払い事務を行う企業で適用して保険料を納付
雇用保険:給与支払い事務を行う企業で適用して保険料を納付
労災保険:出向先で適用して保険料を納付

健康保険・厚生年金保険の取扱い

健康保険・厚生年金保険料・介護保険は、給与支払い事務を行う企業で適用されます。出向元で給与を支払うのであれば出向元で保険料を支払いますが、出向先で給与を支払う場合、出向元で資格喪失の手続きを行い、出向先で健康保険と厚生年金保険の資格取得の手続きをする必要があります。

それぞれの給与などの費用負担は出向契約書で負担割合を決めるので、給与支払い事務を行う企業が全額給与を負担しなくても問題ありません。また、健保組合は組合によって保険料率が異なり、全国健康保険協会(協会けんぽ)も健康保険料は都道府県によって異なります。したがって、出向元と出向先での保険料率の違いを考慮して負担割合を調整する必要があります。

たとえば健康保険と厚生年金の保険料が10万円だとすると、給与の負担が2:8であれば、それぞれが2万円と8万円を負担し、給与支払い事務を行う企業が10万円をまとめて納付します。どちらか一方が保険料の全額を負担すると取り決めることも可能です。

【出向先・出向元のどちらか一方が30万円の給与を支払う場合】
給与を支払う企業で健康保険・厚生年金保険に加入して、30万円分に対する保険料を支払います。
【出向先で10万円、出向元で20万円の給与を別々に支払う場合】
(1)出向元のみ健康保険・厚生年金保険に加入する義務があるときは、20万円に対する保険料を出向元で支払います。
(2)出向先で労務管理を行う場合など、両社で常用的に雇用されると判断されると、両社に健康保険・厚生年金保険の加入義務が発生する可能性があるため注意が必要です。この場合、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、30万円に対する保険料を10万円と20万円の割合でそれぞれ按分して社会保険料を支払うことになりますが、合計して30万円に対する保険料となることに変わりはありません。

給与支払い事務は、煩雑にならないように出向元か出向先のどちらか一方に集約するとよいでしょう。

労災保険の取扱い

労災保険は従業員に保険料負担がなく、企業が全額を負担します。実際に働いている事業所で労災保険が適用されることになっているため、出向先で適用し、出向先に保険料支払いの義務があります。ただし、保険料の負担割合を出向契約書に定め、出向負担金として出向元が一部または全部を負担することは可能です。

【出向先・出向元のどちらか一方が30万円の給与を支払う場合】
出向先で労災が適用されるため、出向先で30万円に対する保険料を支払います。
【出向先で10万円、出向元で20万円の給与を別々に支払う場合】
両社の給与を合計して、出向先で30万円分に対する保険料を支払います。

出向元で給与が支払われている場合、出向先で支払う賃金総額に出向社員の給与を含めて労災保険料を算出・納付する必要があるため、年度更新の際には賃金総額の計算に注意しなければなりません。

雇用保険の取り扱い

二つの企業で働いていても、原則として一つの企業でのみ被保険者となります。主たる賃金を受けている企業、つまり、給与の多い方の企業で雇用保険に加入し、保険料を支払います。出向先で給与を支払う場合は、出向元で雇用保険の被保険者資格喪失の手続きを行うとともに、出向先で雇用保険の資格取得の手続きを行う必要があります。

【出向先・出向元のどちらか一方が30万円の給与を支払う場合】
給与を支払う企業で雇用保険に加入し、30万円分に対する保険料を支払います。
【出向先で10万円、出向元で20万円の給与を別々に支払う場合】
給与の多い出向元で20万円に対する保険料を支払うことになり、出向先で雇用保険に加入することはできません。

たとえば出向先で20万円を給与として支払い、出向元が別途10万円の給与を支払う場合は、出向先でしか雇用保険に加入できません。給与30万円の労働に対して20万円にのみ雇用保険の被保険者となることは、出向社員が退職後、雇用保険の給付を受ける際に不利益となる可能性があります。したがって、給与支払い事務は、出向元か出向先のどちらか一方に集約するのが望ましいでしょう。

出向者の給与が下がる場合には不利益変更に該当するか

出向を命じるには、原則として従業員の同意が必要です。出向することによって給与が下がるようなことがあれば、従業員の同意を得ることは難しいでしょう。就業規則に出向規程などがあれば人事権として出向を命じることは可能ですが、出向者の給与が下がるような出向規程を作成することは不利益変更に該当する可能性があります。

出向を命じるには出向する従業員の同意が必要

民法625条には「労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない」との規定があります。企業が従業員に出向を命じる際は、原則として出向する従業員の同意を得ることが必要です。ただし、労働契約法8条に「合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」とあるように、たとえ給与が下がったとしても、従業員の同意を得ていれば不利益変更の問題は生じません。

また、就業規則や労働協約などの規定があれば、企業に出向命令権があるともいわれます。ただし、出向規程などに出向先での賃金や労働条件、出向期間、更新期間、復帰手続きなどが適切に整備されていることが前提であり、従業員に著しい不利益がない内容であることが求められます。

労働契約法14条には、就業規則の出向規程などがあり企業が従業員に対して出向を命じることができる場合も、その必要性や労働者を選定した事情などと照らして権利濫用と判断されると、出向命令が無効となる旨の定めがあります。つまり、出向によって従業員の労働条件に著しい不利益が生じれば、出向規程の有効性が否定され、企業の出向命令権も認められません。

出向規程は従業員に不利益が生じない制度設計にする

雇用を維持するため一時的に出向を命じるなど、企業に事情があって出向により給与が下がるケースも考えられます。このようなケースでも、労働条件を変更するには従業員の同意が必要です。また、出向規程を作成することによって給与などの待遇が下がるようなことがあれば、不利益変更に該当し、合意なしに定めた就業規則の出向規程が認められない可能性がありまです。

労働契約法9条と10条には、労働者との合意なく就業規則を変更して労働契約を変更することはできない旨の原則と、就業規則の変更が合理的なものであり、労働者に周知させていれば変更できる旨の例外的な取り扱いが定められています。従業員の同意がなく、また、不利益の程度や変更の必要性などについて合理性がなく、出向規程の作成や変更によって出向社員の給与が下がれば、不利益変更に該当し、無効となるでしょう。出向規程を作成する際や変更する際は、労働契約法の趣旨を踏まえて、従業員に不利益が生じない制度を設計する必要があります。

著しい不利益があるとはいえない程度の変更でも、また、その変更の内容に合理性があっても、生活の糧となる給与が下がるなら、従業員とのトラブルにつながる恐れがあります。出向を命じる際は、その必要性や出向期間中の労働条件などをよく労使で話し合わなければなりません。出向規程などが整備されていても、出向する従業員の同意を得ることが望ましいでしょう。 

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この記事ジャンル 給与・賞与・インセンティブ

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