パート・アルバイトが臨時出勤したとき、休日割増賃金の支払いは必要か
繁忙期や従業員の急な休みで人手が足りないとき、パートやアルバイトを臨時で勤務させることがあります。その場合、休日労働に対する割増賃金の支払いは必要なのでしょうか。勤務日が決まっている場合やシフト制で働く場合の休日労働の割増賃金が必要なケースについて解説します。
勤務日が決まっている場合
「勤務日が決まっている」とは、毎週何曜日に働くのかが雇用契約書で特定されている状態のことをいいます。月・水・金の週3日など、勤務日を定めて働くケースを考えるとわかりやすいでしょう。
労働基準法上の法定休日は「週に1日または4週を通じて4日以上」と定められており、曜日を特定していません。したがって、契約に定めた曜日以外の日に臨時で出勤させたとしても、週に1日の休日が確保できていれば、休日労働の割増賃金が発生することはありません。
ただし、就業規則で「毎週日曜日を法定休日とする」などと特定して定めている場合は、法定休日に対する割増賃金の支払いが必要になります。
具体例で理解する
労働時間が1日8時間、勤務する曜日が月・水・金と特定されている(※)場合、どのようなときに割増賃金が必要になるのでしょうか。
※変形労働時間制の導入はなし
火・木の2日間、1日8時間で臨時出勤した場合(労働時間:8時間×5日=40時間)
1週間の労働時間は1週40時間の法定労働時間以内に収まるため、時間外労働に対する割増賃金は発生しません。ただし、火曜日・木曜日の2日間については、法定内残業として時給の1倍で給与を計算し支給します。週に1日以上の休日が確保されているため、休日労働に対する割増賃金も発生しません。
日・火・木の3日間、1日8時間で臨時出勤した場合(労働時間:8時間×6日=48時間)
日曜日・火曜日の2日間は、法定内残業として時給の1倍で給与を計算し支給しますが、金曜日に働いた8時間分は週の法定労働時間を超えるため、時間外労働に対する割増賃金として、時給の1.25倍以上で給与を計算し支給します。土曜日に週に1日の休日が確保されているため、休日労働に対する割増賃金は発生しません。
日・火・木・土の4日間、1日8時間で臨時出勤した場合(労働時間:8時間×7日=56時間)
このケースでは、週の法定労働時間を超えるとともに、法定休日が確保されていません。日曜日・火曜日の2日間は法定内残業として時給の1倍で給与を支払い、金曜日に働いた8時間分は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要です。土曜日の8時間は、休日労働に対する割増賃金として、時給の1.35倍以上で給与を計算し、支給しなければなりません。
シフト制の場合
シフト制は、労働契約で労働日や労働時間を明確に定めず、1週間や1ヵ月などの一定期間で作成した勤務シフト表などで、労働日や労働時間を特定する勤務形態を指します。勤務する曜日や時間帯が流動的な働き方であり、店舗経営やサービス業などの業種を中心に、多くの企業がシフト制の勤務形態を取り入れています。
あらかじめ決めていたシフトとは違う日に臨時の出勤をさせた場合も、勤務日が決まっているケースと同じ考え方です。「1日8時間・1週40時間」の法定労働時間、「週に1日または4週を通じて4日以上」の法定休日が確保されているかで、時間外労働に対する割増賃金や、休日労働に対する割増賃金の支払いの有無が決まります。
具体例で理解する
1週間のシフトが日・金・土の9:00〜16:00(休憩60分)で入っていた場合の労働条件(変形労働時間制なし)で、臨時に他の曜日にも勤務した場合の休日労働の割増賃金が必要になるケースとならないケースを見てみましょう。
月・火・水の3日間、1日6時間で臨時出勤した場合(労働時間:6時間×6日=36時間)
1週間に6日出勤しても、休日を1日確保した上で1週40時間の法定労働時間以内に収まっており、時間外労働・休日労働に対する割増賃金は発生しません。ただし、月曜日・火曜日・水曜日の3日間については、法定内残業として時給の1倍で給与を計算し支給します。
月・火・水・木の4日間、1日6時間で臨時出勤した場合(労働時間:6時間×7日=42時間)
日曜日から金曜日までは法定労働時間の範囲内に収まりますが、法定休日が確保されていないため、土曜日は休日労働に対する割増賃金が必要になります。この場合、土曜日の勤務時間は法定労働時間としてカウントしないため、週40時間を超えた2時間を時間外労働でカウントする必要はなく、「通常働いた時間に対する賃金36時間分+休日労働6時間分」で賃金を計算します。
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