高齢・障害・求職者雇用支援機構、『高齢者雇用の現状と人事管理の展望-「高齢者調査」と「経営者・管理職調査」から-』
-今後の定年制のあり方は、現行制度維持は49.4%、定年年齢引上げは43.1%-
事実上、65歳までの継続雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法により、60歳以降の雇用者数が増加していくことになります。そこで、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、人事管理のあり方に関する委員会(委員長:今野浩一郎学習院大学経済学部教授)を設置し、高齢者の人事制度設計のあり方や効果的な活性化方法の調査・研究を進めています。
その検討過程で、(1)高齢者の就業状況、(2)経営者及び管理職による高齢者の活用や今後の人事管理の考え方、を把握する目的からアンケート調査を実施し、今般、これらの集計結果(速報)をとりまとめました。
なお、より詳細な集計及び分析の結果は、2016年6月を目途に公表する予定です。
【 調査方法など 】
大手調査会社が保有するモニターを対象としたインターネットを用いたアンケート調査(2種:「高齢者調査」「経営者・管理職調査」)
【 主な結果 】
○高齢者調査:60歳以上の雇用者を対象とした就業に関する調査
(なお、本報告は、対象者のうち、現在働いている企業で正社員経験が20年以上あり、現在勤務する企業や関連企業で定年を迎えて働いている者(以下、「継続雇用者」と記述する)を対象)
・継続雇用者の仕事内容を59歳時点と比較すると、「業績達成への責任の重さ」が軽減したのは58.8%、「仕事の量」が減少したのは52.0%、他方で、「担当業務に求められる専門性」は「変わらない」は64.1%。
・継続雇用者が認識する仕事内容の決定者は、現場の管理職・上司が59.6%、経営層や人事部が31.3%。
・継続雇用者が認識する雇用継続の決定者は、所属部署の責任者が50.4%、経営層や人事部が49.6%。
・継続雇用者がいまの職場で自分の能力をどの程度発揮したいと思っているか(能力発揮意欲)を見ると、100%発揮が最も多く(26.6%)、平均73.9%。一方、いまの職場で自分の能力や経験を実際にどの程度発揮して働いているか(能力活用度)を見ると、100%発揮は全体の16.0%、平均68.4%。
・継続雇用者に「自らが活躍できる場を、誰が確保すべき」かと尋ねると、「会社が準備すべき」は51.9%、「自分で探すべき」は48.1%。
○経営者・管理職調査:経営者や管理職を対象とした高齢者活用や今後の人事管理の考え方に関する調査
・今後の定年制のあり方は、現行制度維持は49.4%、定年年齢引上げは43.1%。
・60歳代前半の「高齢社員」(59歳以前は正社員として雇用され、60歳以降も雇用されている社員)の望ましい雇用形態は正社員が56.5%。
・高齢者を戦力として活用すべきと考えているのは82.9%。
・人事評価は「行うべき」が84.4%、実施方法は「現役社員(59歳以下の正社員)と同じ方法」が58.6%。
・平均的な「高齢社員」の賃金カーブの現状は「60歳以降は減少し、その後は横ばい」が38.8%、今後の希望は「60歳以降は横ばい」が33.2%。
・基本給の決め方は、「職務・仕事内容」、「仕事の成果」及び「能力」を現状において重視するが各73.7%、66.7%、67.5%、今後は今以上に重視するが各79.2%、76.9%、72.2%。
お問合せ:雇用推進・研究部研究開発課
(担当:鹿生/野村)
TEL:043-297-9527 FAX:043-297-9550
発行:企画部情報公開広報課
TEL:043-213-6207
Mail:info@jeed.or.jp
◆ 詳しくはこちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 http://www.jeed.or.jp/ /4月17日発表・プレスリリースより転載)