供給制約(労働力や設備の不足)が中小企業に与える影響に関する調査
(商工中金:2014年12月調査)
~雇用不足感、雇用形態別で「正社員」が4割強~
商工中金は、商工中金取引先中小企業9,148社を対象に「供給制約(労働力や設備の不足)が中小企業に与える影響に関する調査」を実施した。
【調査結果の要旨】
1.従業員の雇用
・雇用不足感は、職種別では「現業・生産」で4割強、雇用形態別では「正社員」で4割強に上る。正社員の不足感は非製造業で強く、中でも情報通信、運輸、建設といった業種で顕著。
・雇用不足は、売上減少、賃金コスト上昇に表れており、中小企業の収益圧迫要因となっている。
・正社員が不足している企業では約6割が過去1年に賃上げを実施しているが、賃上げをしても雇用不足解消につながっていない。
・今後の雇用方針では、正社員の増加意欲が非正規雇用よりも強い。
・雇用不足時には、従来の採用から幅を広げるとの対応が最も多く、その対象は高齢者と女性で大半を占め、優先度は両者ほぼ同程度。
2.女性の雇用
・女性正社員の割合は、「10%未満」が最も多く、「20%未満」と合わせると約6割を占める。年商規模で比較してもほぼ違いがなく、女性正社員は少数にとどまっている。
・今後の女性雇用では、増加方針との回答が多く、現業・生産部門でややその傾向が強い。
・女性管理職が「全くいない」企業は約6割に上り、年商の大きい企業でも5割弱みられるなど、中小企業における女性管理職はごく少数である。ただ、女性管理職と女性正社員比率との間には相関がみられ、正社員比率が高い企業では、管理職も多い傾向にある。
・中小企業においても女性活用の余地は大きい。
3.国内設備の状況
・国内設備の過不足は、不足が過剰を上回っており、製造業でその傾向が強い。
・雇用の過不足との関係では、現業・生産部門の雇用不足感が強い先では設備の不足感も強く、供給制約を強く受けている可能性が高い。
・過去1年間で設備投資コストが上昇したとの回答は4割強に上り、非製造業でその割合が高い。
・過去1年間に設備投資を実施しなかった先のうち、10年以上投資をしていない先が約2割、5年以上を含めると約4割に上り、中小企業では設備の老朽化が進んでおり、設備能力面でも供給制約要因となっている可能性がある。
4.製商品、原材料、燃料等の購入・調達
・1年前と比べ製商品、原材料、燃料等の調達価格が上昇した企業の割合は7割強に達している。
・これまで価格要因で調達先を変更した企業の割合は約3割あり、価格以外の条件面での優位性で変更した企業と合わせると、約半数に上る。
・仕入・調達先の変更で期待する効果は、価格の低下が半数超で最も多く、品質面での改善が3割程度で続く。
5.規制緩和、新事業進出
・新事業への進出を予定または検討中の割合は2割程度。
・規制緩和を進めて欲しい分野は、「雇用・労働関係」が最も多く、規制緩和のメリットとしても「労働コストの削減」が最も多い。雇用不足が広がる中、労働分野における規制緩和により人手不足の解消と収益の改善に期待する声が多い。
◆本調査結果の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(商工中金 http://www.shokochukin.co.jp/ /3月19日発表・同社プレスリリースより転載)