JILPT、「従業員の採用と退職に関する実態調査」調査結果
(退職等の調査項目の結果をとりまとめた速報版)
ここ 5年間で約 2 割の企業が従業員の普通解雇や整理解雇を実施
普通解雇や整理解雇の際に約半数の企業が労組や従業員代表などと協議していない
近年、企業の人事管理に関する意識の変化による人事管理の個別化・多様化とともに、労働者の就業形態や就業意識の多様化が進む中で、労働者が納得・安心して働くことができる環境づくりや今後の良好な労使関係の形成という観点から、労働契約法制の整備・拡充が求められています。
労働政策研究・研修機構(JILPT)は、労働契約をめぐる実態を明らかにし、基礎的データをとりまとめることで、今後の労働契約法制の論議の活性化に資することを目的として、企業アンケート調査を実施しました。
その結果をとりまとめ、公表します。
■ 調査結果のポイント
<規模の大きい企業ほど退職勧奨の実施割合が高く、1000 人以上規模では約 3 割>
ここ 5 年間で、正規従業員に退職勧奨を行ったことが「ある」とする企業割合は 16.4%で、「ない」が 82.4%となっている。企業規模が大きいほど、退職勧奨を行った企業割合が高く、「1000 人以上」では 30.3%となっている。
<ここ 5 年間で約 2 割の企業が従業員の普通解雇や整理解雇を実施>
ここ 5 年間において、正規従業員の「解雇は実施していない」とする企業が 77.9%で、「普通解雇を実施した」企業が 16.0%、「整理解雇を実施した」企業が 8.6%となっており、いずれかの解雇を実施した企業割合は 20.7%となっている。普通解雇の実施割合は企業規模が大きいほど高く、「1000 人以上」では 30.3%の企業が実施している。
<整理解雇を実施した企業で退職金割増等の特別な措置を何も行っていないのは 24.7%>
整理解雇の対象者に対する特別な措置については、「退職金の割り増し」が 34.3%でもっとも高く、次いで、「再就職先のあっせん」(24.3%)、「退職前の特別休暇の付与」(19.0%)など。「いずれの措置も実施していない」企業は 24.7%となっている。
<普通解雇や整理解雇の際に約半数の企業が労組や従業員代表などと協議していない>
労働組合や従業員代表との協議状況を聞いたところ、「特に協議はしなかった」とする割合が、普通解雇で 56.0%、整理解雇で 46.9%となっている。一方、労働組合や従業員代表などと何らかの協議を実施した企業割合は、普通解雇が 30.0%、整理解雇が 39.0%となっており、整理解雇のほうが高い。
<約 1 割の企業が雇用継続の条件として労働条件変更を実施したことがあると回答>
ここ 5 年間で、労働条件の変更を受け入れなければ退職を余儀なくされることを説明して、労働条件を変更したことが「あった」とする企業は 8.1%で、「なかったが、今後はそうしたことも考えられる」が 8.2%、「なかった」が 81.6%となっている。
◆詳細はこちらから
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
調査・解析部 郡司 正人、奥田 栄二
03-5903-6282 http://www.jil.go.jp/
(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /7月31日発表・同社プレスリリースより転載)