プレシニア社員の「仕事に対するモチベーション」に関する実態調査
「モチベーション低下」が過半数、理由に『キャリアが尊重されていない』が最多
企業向けの教育研修事業と若年層向けの就職支援事業を展開する株式会社ジェイックは、プレシニア社員300名(50~59歳の管理職150名、一般社員150名)を対象に実施した「仕事に対するモチベーション」に関するアンケート調査の結果を発表します。(調査委託先:株式会社アスマーク、調査期間:2025年5月23日~5月24日)
■プレシニア社員の仕事へのモチベーション:
過半数がモチベーション低下、管理職と一般社員でモチベーションに21ポイントの差
「現在の仕事に対し、モチベーション高く働けていますか」と質問したところ、「あまりそう思わない」が39.0%、「そう思う」が35.3%、「全くそう思わない」が17.0%、「非常にそう思う」が8.7%となり、「あまりそう思わない」と「全くそう思わない」を合わせると、50代正社員の過半数がモチベーション高く仕事に取り組めていない傾向が見受けられました。
管理職・一般社員別に内訳を見ると、管理職では「あまりそう思わない」「全くそう思わない」を合わせた割合が45.4%だった一方、一般社員では66.6%とその差は21.2ポイントとなり、管理職層に比べて、一般社員のモチベーションの低さが際立つ傾向も見受けられました。
■モチベーション高く働けない理由:
役職の有無を問わず、「50代~60代のキャリアが尊重されていない」が最多
冒頭の質問で「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した方に、「その理由として、あてはまるものをすべて教えてください」と質問したところ、管理職、一般社員ともに、最も多かった回答は「50代~60代のキャリアが尊重されていない」でした。次に「仕事に新鮮さを感じられず退屈」「働きに対して会社から適切な評価を受けていない」といった項目が、役職の有無を問わず共通して多く挙げられました。
一方で、「働きに対して会社から適切な評価を受けていない」と回答した割合は、一般社員が管理職を9.5ポイント上回りました。さらに「働き方に対して体力が追いつかない」という体力面での不安については、その差は18.6ポイントにまで広がる結果となり、一般社員がより待遇面と健康面での課題を抱えていることがうかがえました。
■プレシニア社員がもっとも果たしたい役割:
管理職は「経験やスキルを活かした業務遂行・改善指揮」、一般社員は「与えられた業務の遂行」
「現在の職場でもっとも果たしたい役割として、もっともあてはまるものをひとつ教えてください」と質問したところ、管理職では、「経験やスキルを活かした的確な業務遂行・改善指揮」が32.0%で最も多く、次に「与えられた業務を確実に遂行すること」(17.3%)、「部下・後輩の育成や指導」(16.0%)と続きました。これまでのキャリアで培った能力を活かし、組織を牽引し、次世代を育てるというリーダー・マネジメント層としての役割を意識していることがうかがえました。
一方、組織貢献や後進の育成といった役割を意識する管理職とは対照的に、一般社員では「与えられた業務を確実に遂行すること」が42.7%と突出して最多となりました。まずは自身の担当業務を着実にこなすことを最も重要な役割だと考えているようです。
■モチベーション高く働き続けるために、会社に求めること:
役職の有無を問わず「働きやスキルに見合った評価や報酬が得られる制度の導入」が最多
最後に、「モチベーション高く働き続けるために、会社に求めること」を複数選択で質問したところ、管理職、一般社員ともに最も多く選ばれたのは「働きやスキルに見合った評価や報酬が得られる制度の導入」でした。
また、それぞれの立場によって重視するポイントには違いも見られました。管理職では、「50代社員のスキルや経験が活かせるプロジェクトや業務の提供」が31.3%、「定年制や役職定年制の廃止」が20.7%と、一般社員よりも多く選ばれ、これまでの経験を活かし、さらに組織に貢献したいという意欲がうかがえました。一般社員では、「柔軟性の高い働き方の導入(短時間勤務、在宅勤務など)」が27.3%と、管理職よりも多く選ばれ、ライフステージや体力に応じた柔軟な働き方へのニーズが高いことがわかりました。
今回の調査結果について、当社取締役の近藤は、次のように述べています。
「今回の調査から、50代プレシニア社員の半数以上が仕事に対してモチベーションを保てずに働いている傾向が見受けられました。なかでも『キャリアが尊重されていない』との声が役職の有無を問わず最多となり、会社からの期待を感じられずにいることがうかがえます。さらに、果たしたい役割として、管理職は経験やスキルを活かした貢献を挙げる一方で、一般社員の約3人に1人が『果たしたい役割は特にない』と回答しており、役割意識の喪失が懸念されます。こうした背景には、職場における存在意義の不透明さや、これからのキャリアに対する展望の欠如があると考えられます。
今後、再雇用の時期を迎える団塊ジュニア世代は、理想と現実のギャップに直面することになります。これまでの経験を活かした業務や後進の育成などに貢献したいと考えていても、企業が求めているのは“プレーヤー”として現場で再び活躍することです。希望するポストには限りがあり、接客や雑務、事務作業等の実務を含め、現場で自ら動いて価値を生み出す姿勢が求められます。こうした現実を前に、どのような覚悟を持って60歳までの残された時間を過ごすかが、その後のキャリアを左右するでしょう。
高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務づけられ、70歳までの就業機会の確保も企業の努力義務とされています。加えて、労働人口の減少や採用難、人的資本経営の観点からも、プレシニア層の活躍は、企業にとって重要な経営課題です。今後は、単なる雇用継続にとどまらず、プレシニア社員が再び自律的に働き、組織に貢献できる環境の整備が必要です。まず企業は、『経験に敬意を払い、期待する役割を明確に示すこと』が大切です。そのうえで、管理職には挑戦機会を、一般社員には柔軟な働き方の選択肢を提示するなど、立場に応じた支援を行うことが求められます。そして何より、マインドセットの醸成を含むキャリア研修やリスキリングの機会の提供など、プレシニア層の再活性化に向けた継続的な投資こそが、変化の時代を勝ち抜く鍵となるでしょう。」
【調査概要】
調査名称:プレシニア社員(50代正社員)の「仕事に対するモチベーション」に関する実態調査
調査対象:50~59歳の正社員〔管理職(課長以上)150名、一般社員150名〕
調査機関:株式会社アスマーク
調査方法:Webアンケート
調査期間:2025年5月23日~5月24日
回答者数:300名
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ジェイック/6月26日発表・同社プレスリリースより転載)
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