<確報版>5月1日時点の就職活動調査(2025年5月)
企業の採用広報解禁から2カ月。2026年卒学生の就職活動はどのように進んでいるだろうか。5月1日現在のキャリタス就活・学生モニターの就職活動状況について調査を行った。内定状況のほか、内定取得後の意思決定に必要な情報やフォロー、今後の活動方針など、多岐にわたる項目を調査した。前年同期調査や先月調査との比較を中心に、全体的な活動状況を確認したい。
【トピック】
1.エントリー社数と会社説明会の参加社数
○一人あたりのエントリー社数の平均は23.4社。前年同期調査(23.9社)をやや下回る
○説明会参加社数の平均は、オンライン13.2社、会場型5.0社。前年とほぼ同数
2.選考試験の受験状況
○ES提出社数は前年を下回る(平均12.2社→10.8社)。筆記試験、面接社数も減少
○本選考応募企業のうち「3月以降に興味を持った企業」の割合は約2割
3.5月1日現在の内定状況(※)
○内定率は76.2%。前年同期実績(76.9%)と同水準
○就職活動終了者は全体の45.0%。継続者は「内定あり」「内定なし」を合わせて55.0%
文理差が大きく、文系は6割以上が継続(62.4%)。理系は3割台(37.3%)
4.内定を得た企業の業界
○「情報処理・ソフトウエア」に集中(33.0%)。2位「調査・コンサルタント」(15.4%)
5.内定企業への意思決定に必要なフォローや情報
○文理とも「社員との交流機会・面談」が約7割で最多。次点は「他の内定者との交流機会」
6.就職活動継続学生の動向
○選考中の企業数は平均2.7社。今後のエントリー予定社数は2.0社。内定の有無で差異
○今後の方針、未内定者は「新たな企業を探しながら、持ち駒企業の幅を広げていく」
7.会社説明会や面接の無断欠席
○会社説明会を無断で欠席した経験がある学生は約3割(30.3%)。面接は1割未満
○無断欠席に「とても抵抗がある」、会社説明会は半数未満。選考が進むほど抵抗感は高まる
1.エントリー社数と会社説明会の参加社数
採用広報解禁から2カ月が経過した5月1日時点での就職活動状況を調べた。
まず、一人あたりのエントリー社数の平均は23.4社。この1カ月での増え幅は1.6社で、4月調査に引き続き前年同期実績を下回った。文理男女別に確認すると、文系男子が先月から3.5社増と活発に活動している様子が見られる。理系は男女ともに3月調査からほとんど増えていない。
会社説明会(個別企業のセミナー)の参加状況について、開催形式ごとに尋ねた。「会場型」、「オンライン形式(WEBセミナー)」の参加経験者は、どちらも前年同期調査よりやや減少(66.5%→62.4%、93.9%→91.6%)。参加社数は会場型が平均5.0社、オンライン形式は13.2社と、前年とほぼ同様で大きな変化は見られない。
2.選考試験の受験状況
続いて選考試験の受験状況を見てみよう。エントリーシート(ES)提出、筆記・適性テスト、面接試験までの経験率は9割を超えている。属性による大きな差は見られない。最終面接については全体の8割超が経験したと回答(81.3%)。
一人あたりの受験社数を経年で見てみると、ES提出、筆記試験に減少傾向が認められ、本選考を受ける企業の絞り込みが進んでいる様子が見られる。面接の受験社数も前年同期を下回った(7.6社→6.7社)。ただし、最終面接を受けた社数は前年と同様の2.7社。
ES提出など本選考に応募した企業の内訳を尋ね、3カ年分を比較した。「インターンシップ等(※)に参加した企業」の占める割合が36.9%で、「インターンシップ等には参加していないが、2月以前から興味をもっていた企業」が41.1%。前年同様、採用広報開始前のプレ期に興味を持った企業が8割近くを占める(計78.0%)。早い時期に興味を持った企業を中心に本選考に応募する傾向に変化は見られない。
(※「インターンシップ」に限定せず、オープン・カンパニー等も含めて調査)
3.5月1日現在の内定状況
5月1日の調査時点で内定を得ている学生はモニター全体の76.2%。前年同様7割台後半に達し、高水準をマークした。今期は、広報解禁前の2月調査で内定率が約4割を記録するなど(39.9%)、早期化の傾向が顕著。ただし3月以降、前年同月との差は徐々に縮まり、5月時点で前年(76.9%)と同水準となった。
内定率は文系より理系で高く、理系は男女とも8割に達している(理系男子82.4%、理系女子80.0%)。内定取得学生のうち、就職先を決めて就職活動を終了したのは47.8%と半数弱。活動自体は終了しても複数企業の内定を保持(意思決定を保留)している学生が前年よりも増えており(8.6%→10.7%)、内定取得者の1割強を占めている。
モニター学生全体を分⺟にして活動状況の分布を見ると、就職先を決定して就職活動を終了した者の割合は36.4%。複数内定を保留しているなど未決定である者は8.6%。内定率はやや下がったが、活動終了者の割合は前年より増えた(計42.2%→45.0%)。活動継続者は「内定あり」(31.2%)、「内定なし」(23.8%)を合わせて55.0%。文系において高く、内定保持者も含め文系学生の6割以上(計62.4%)が継続中と回答した(理系は同37.3%)。
内定を持ちながら活動を続ける学生(全体の31.2%)に、内定企業の位置づけを確認した。「この企業に入ると思う」と、ほぼ入社を決めている割合は1割程度にとどまり(13.9%)、「他に内定が出なければ…」と他社の結果次第という学生が大半を占める。
4.内定を得た企業の業界
内定を得ている学生に内定企業の業界を尋ね、上位をまとめた(全40業界。複数回答あり)。「情報処理・ソフトウエア」が先月に続いて1位。特に理系において集中度が高く、4割近くに上る(39.5%)。全体の2位は「調査・コンサルタント」(15.4%)で、3位は「建設・住宅・不動産」(14.7%)。「銀行」は前年8位から4位へと順位を上げている。
内定を得た企業に就職するかどうかを決めるために必要だと思うフォローについて尋ね、文理別に比較した。文理とも最も多いのは「社員との交流機会・面談」で、それぞれ7割前後が選んだ(文系68.9%、理系70.6%)。2番目も文理ともに「他の内定者との交流機会」で、半数以上が選んだ。現場の社員との面談を通じて、実際の仕事内容や働き方の実態などを確認したり、社員や他の内定者との交流を通じて、社風を確かめたりしたいという考えがうかがえる。
3番目に多いのは、文系は「人事担当者との面談」(51.8%)で、入社後の待遇や制度、配属などに関する不安や疑問を解消したいものと見られる。理系は「社内や施設などの見学会」(41.8%)で、工場や研究所なども含めた働く環境を確認することで、入社後の働く姿を明確にイメージしたいようだ。
全体的に文系の方が多くの項目を選んでおり、より手厚いフォローを求めていることがわかる。
■意思決定のために必要だと思う内定後フォローや、具体的に知りたい情報
○実際の働き方や福利厚生を社員の方との面談で聞きたい。<文系男子>
○選考中は会社の良い部分を中心に教えてくれていたため、内定後は会社の悪い部分や課題点、働き方などよりリアルな部分を知りたいため、実際の社員の方と話ができる機会が欲しい。<文系女子>
○福利厚生や入社後の待遇など、こちらからは聞きにくい情報を積極的に教えてもらいたい。<理系男子>
○5年後10年後の姿をイメージしやすいように社員の方のキャリアパスの例を教えてほしい。<文系男子>
○同期の雰囲気を知ることができるものが欲しいと感じた。<文系男子>
○実際に社内の仕事の一部を見せていただけると、より具体的に自分が働いている姿を想像できると思います。<理系女子>
○1日事業所見学や内定者インターンを経験して、実際に働くイメージをつかめる機会があると嬉しい。また、人事評価についても事前に詳しく知らせてほしい。<文系女子>
○なぜ私に内定を出してくださったのかが気になっています。<文系女子>
○具体的な評価制度や家賃補助といった福利厚生。<理系男子>
○どのようにして部署を決定するのか、新人研修の具体的な内容など。<文系女子>
○勤務地のアクセスの良さ。家賃補助や社宅制度が重視しているかどうか。<理系女子>
6.就職活動継続学生の動向
内定保持者を含め就職活動を継続している学生(全体の55.0%)の動向を確認したい。
現在選考を受けている企業数は平均2.7社で、今後のエントリー予定社数は2.0社。内定の有無別に集計してみると、「内定あり」の学生がこれからエントリーや会社説明会参加を予定する社数は平均して1社余りにとどまっているのに対し、「内定なし」の学生は約3社。未内定学生の方が多い。
就職活動をどのように進めていくかという方針・戦略についても差異が見られる。内定を持ちながら活動する学生は「現在選考が進んでいる企業に絞って活動する」という回答が最も多い(38.4%)。
一方、まだ内定のない学生は「新たな企業を探しながら、持ち駒企業の幅を広げていく」が最も多く、4割を超えている(42.6%)。
新たな企業を探す手段(ツール)を尋ねた。「就職情報サイト」が9割を超え(91.3%)、圧倒的に多い。次いで「合同企業説明会」「新卒紹介サービス」「大学の求人票」などが続く。就職サイトをメインに、その他の方法も併用して、ここまでの活動で探しきれなかった企業を新たに見つけたいという意向がうかがえる。
就職情報サイトで企業を探していると回答した学生に、基本的な企業情報(会社概要、募集要項など)以外にどのような情報を求めているのかを重ねて尋ねた。「会社紹介動画」(52.3%)が最も多く、次いで「採用プロセスと選考方法」も過半数が選択した(50.2%)。「その企業のクチコミや体験談」が僅差で続き(49.8%)、動画やクチコミなどを通して企業の雰囲気や仕事内容のリアルな情報を求める姿勢が読み取れる。
就職先を決定して就職活動を終了したい時期は、「6月後半」が最多(22.2%)。選考解禁後の6月に照準を合わせている学生が多い様子がわかる。ただ、7月後半以降を選択する学生が前年調査よりも増えており、自分に合う企業をじっくり探したいと考える学生も少なくないようだ。
■就活継続学生の声
○この時期に来てまで内定がもらえないとは思ってもいなかった。<理系女子/内定なし>
○内定はないが、焦りはあまりなくペースを崩さないようにする。<文系女子/内定なし>
〇エントリーシートは通過しているが、本選考が始まっていない企業も多く、周囲が決まっているのを見ると焦りが生じてくる。<理系男子/内定なし>
○3月前に1社内々定を得たが、それ以降思ったより順調に進んでいない。<文系男子/内定あり>
○やっと内定を1社獲得できて安心してはいるものの、これから募集枠が大幅に減ることへの不安が大きい。<文系女子/内定あり>
○本命企業のフローが⻑く、内定時期が遅く、既に内定が出ている企業の承諾時期に間に合わない。<文系男子/内定あり>
7.会社説明会や面接の無断欠席
無断欠席の経験があるかどうかをフェーズ別に尋ねた。まず、会社説明会を無断欠席したことがあると回答した学生は、「よくある」(3.6%)、「たまにある」(26.7%)を合わせて3割(計30.3%)。1次面接の無断欠席経験者は計7.6%、2次面接以降は計3.8%で、選考フェーズが進むほど経験率は低い。
併せて、経験の有無にかかわらず、無断欠席への抵抗感も尋ねた。会社説明会では「とても抵抗がある」との回答が半数未満(47.0%)なのに対し、1次面接では8割台半ば(84.9%)、2次面接以降では9割を超える(90.5%)。
寄せられたコメントを見ても、大半の学生が無断欠席はマナーに反すると捉えていることがうかがえる。特に面接では個人の時間を確保してもらっている分、抵抗感が強い。ただし、説明会については参加人数が多いことで抵抗感が薄い学生もいるようだ。
■無断で欠席することへの抵抗感
○無断で欠席することは、これから社会人になる人間としてありえないと思う。企業に「連絡ができない」、「社会人にふさわしくない」という悪い印象を与えてしまう。<文系女子>
○自身のために相手企業の予定を空けてもらっている、相手企業が準備をしてくれいる以上、参加する義務があると感じる。<理系女子>
○選考に悪影響が出そうなので、急用が入って参加できなくなってしまった際にもしっかり一報入れるようにしていた。<理系男子>
○今後の選考受験に大きく影響したり、同じ大学の後輩に迷惑がかかったりするかもしれない。<文系男子>
○就職活動にはもちろん、今後別の企業の社員として関わることになった際に不利益を被りそう。<理系男子>
○オンラインの会社説明会に関しては、参加人数が多いため連絡をしても手を煩わせると思う。<文系女子>
調査概要
調査対象:2026年3月に卒業予定の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生含む)
回答者数:1,035人(文系男子209人、文系女子459人、理系男子227人、理系女子140人)
調査方法:インターネット調査法
調査期間:2025年5月1日〜7日
サンプリング:キャリタス就活学生モニター2026
調査実施:株式会社キャリタス/キャリタスリサーチ
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社キャリタス/5月15日発表・同社プレスリリースより転載)
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