2026年卒採用活動の感触等に関する緊急企業調査
<調査趣旨>
人材獲得競争の激化で売り手市場感が強まる中、企業の新卒採用活動はどのように進んでいるでしょうか。株式会社キャリタスでは全国の主要企業を対象に、採用広報解禁から1カ月あまりが経過した4月中旬時点での、2026年卒採用活動の現状や、ここまでの感触等を調査。さらに今夏のインターンシップ等の実施予定、2027年卒採用の⾒込みなど多岐にわたる項目を調査・分析しました。
<目次>
1.2026年卒採用予定数(前年との比較)
2.学生の反応(前年との比較)
<セミナー参加者数/本選考応募者数>
3.採用活動の感触
4.ここまでの採用活動で感じる課題
5.⺟集団形成の状況(想定との比較)
6.追加⺟集団形成の予定
7.採用活動への危機感
8.採用活動終了予定時期
【VOICE】
9-1.今夏のインターンシップ等の実施予定
9-2.実施予定のプログラム
9-3.受け入れ枠(定員)の増減
10-1.2027年卒採用⾒込み
10-2.2027年卒採用で注⼒したいこと
<調査概要>
■調査対象︓全国の主要企業 16,574社
■調査時期︓2025年4月7⽇〜14⽇
■調査方法︓インターネット調査法
■回答社数︓1,035社
■調査機関︓株式会社キャリタス キャリタスリサーチ
1. 2026年卒採用予定数(前年との比較)
2025年卒実績よりも「増やす」29.5%に対して「減らす」6.5%。「同程度」が最多(57.5%)。従業員規模が大きいほど「増やす」の割合が高く、1000人以上の大手企業では3割台後半(36.0%)。いずれの規模・業界とも「増やす」が「減らす」を大きく上回る。
2. 学生の反応(前年との比較)<セミナー参加者数/本選考応募者数>
セミナー参加者数が前年同時期より「減った」企業が4割台後半(計46.1%)。「増えた」企業は2割台(計23.3%)。本選考応募者数も「減った」が4割台で(計44.1%)、「増えた」が2割(計20.4%)。
3. 採用活動の感触
「苦戦している」「大変苦戦している」を合わせて半数強が「苦戦」(計55.0%)。「順調」は2割弱(計19.7%)。特に、理系採用においては「大変苦戦」が3割近くに上り(27.7%)、厳しさが目⽴つ。従業員規模が小さいほど「苦戦」の割合が高い。「IT」で「順調」の割合が比較的高い(計28.6%)。
4. ここまでの採用活動で感じる課題
ここまでの課題で最も多いのは「⺟集団形成(応募者数の確保)」で7割(70.2%)。次いで「プレ期からのつなぎとめ」(48.3%)、「選考中辞退/内定辞退」(41.2%)が4割台で続く。
5. ⺟集団形成の状況(想定との比較)
現時点の⺟集団(本選考応募者数)が、想定より「多い」と回答した企業は14.5%にとどまる(「かなり多い」「やや多い」の合計)。「かなり少ない」「やや少ない」がそれぞれ3割前後で、合わせると6割を超える(計61.0%)。業種別では「サービス業」で「かなり少ない」が3割台後半と高め(36.8%)。
6. 追加⺟集団形成の予定
現時点で追加⺟集団形成を「具体的に検討している/実施予定がある」企業は32.4%。「これから考えたい」は半数超(51.7%)で、今後の進捗次第で検討するという企業も多い。
7. 採用活動への危機感
現状を踏まえ、自社の採用活動に危機感を持つ企業が9割超(計95.4%)。従業員規模による差はほとんど⾒られない。業界別では差が大きく、「かなり危機感がある」は「サービス業」で過半数に上るが、「⾦融」では3割未満。
8. 採用活動終了予定時期
選考解禁⽉の6⽉下旬までに終了予定の企業は合わせて26.0%。9⽉までの合計は半数強(計52.2%)。最も多いのは「2026年1⽉以降」(23.5%)で、⻑期戦を覚悟する企業も多いようだ。
【VOICE】現時点での採用活動の感触
■「大変順調」「順調」と回答
・26卒はプレ期から積極的に動くことができたため、現時点では上々の滑りだしとなっています。<中小/メーカー>
・特にイベントでの接点を得られ、⺟集団は昨年対比で少し増加。<中堅/サービス>
・毎年理系7︓文系3くらいで採用しているが、2026年卒は理系の学生の方が順調な気がします。<中堅/IT>
・インターン⇒早期選考が順調に推移。<大手/メーカー>
・応募総数は減少しているものの、学生とのマッチングがうまくいき内定承諾につながっている。<中小/商社>
・初任給や年間休⽇アップに伴い応募者も増加した。<中小/サービス>
■「どちらでもない」と回答
・広報活動の機会を増やすことで、⺟集団形成が上手くいっている。しかし理系は早期化が顕著で、理想とは離れた状況。<中堅/IT>
・オープン・カンパニーからの流入数は増えたが、面接の基準も上がったため、内々定数としてはあまり伸びていない。<大手/サービス>
・エントリーや辞退が増えることを⾒越して計画しているので、計画通りではあるが、昨年比でみると決して順調ではない。<中堅/商社>
・昨年同時期よりは採用できているが、説明会参加者が急激に減ってきているため先⾏きが不安。<中小/IT>
・今年から2月以前の早期選考を導入し、成果が挙がったことは喜ばしいが、かけた労⼒に対し思いのほか進捗は芳しくない。<中堅/⾦融>
■「大変苦戦」「苦戦」と回答
・2025年卒も苦戦したので今回もより早めに動くようにしているが、状況は好転していない。<中堅/商社>
・WEBのオープン・カンパニーや説明会など簡単に参加できるイベントの反応は比較的良いが、その後に繋がらないことが多い。<中小/メーカー>
・いつも内定を出せている学校からのエントリーが減少。<中堅/IT>
・昨年度と比較すると大きく差はないが、⼀昨年と比較すると大変苦しい。<中小/メーカー>
・理系の厳しさは変わらないが、文系採用も難しくなってきた。<中小/メーカー>
・夏に注⼒したため、全体的な数値は大きく減っているわけではないものの、特に秋以降は人が集まらず、非常に苦戦している状況です。<大手/商社>
・3月1⽇の広報解禁以降、文理問わず1件も説明会の予約が入っておらず、こんな悲惨な状況は前例がない。<中小/建設・住宅・不動産>
・他企業の採用選考が早期しており、選考に進む学生が昨年より減っている。<大手/⾦融>
・すでに内定を数社持った学生が選考試験に参加しており、早期化を年々感じるようになった。<中小/エネルギー>
・この時期ですでに就活生が存在していないような印象(特に理系)。<中堅/メーカー>
・内定者数は例年通りであったが、辞退者が増加した。<中堅/IT>
9-1. 今夏のインターンシップ等の実施予定
今夏、インターンシップやオープン・カンパニー等のプログラムを「実施する予定」の企業は7割超(74.0%)。規模が大きいほど「実施予定」の割合が高く、従業員1000人以上の大手企業では8割台後半に上る(86.4%)。
9-2. 実施予定のプログラム
「タイプ1︓オープンカンパニー」が最多で9割(90.2%)。従業員規模を問わず圧倒的に多い。「タイプ3-①︓汎用型能⼒活用型インターンシップ」は3割強(34.6%)。大手では4割を超える(43.1%)。
9-3. 受け入れ枠(定員)の増減
前年度に比べて、受け入れ枠を「増やす予定」の企業が4割弱(38.4%)。「減らす」はわずか(1.4%)。従業員規模が大きいほど、「増やす予定」の割合が高く、大手企業では半数近くに上る(48.2%)。
■実施にあたって工夫・検討したいこと
・夏季インターンシップの開催数を増加して、できる限り受け入れることができる状態にする。<中小/メーカー>
・オープン・カンパニーの実施時期を多様化して、開催⽇時も増やし、⺟集団増につなげたい。<中小/商社>
・近年、短期的なプログラムよりも⻑期のものの方が人気のため、短期プログラムの削減と⻑期プログラムの追加を考えている。<中堅/商社>
・開催⽇程を増やす。またコース設定を⾒直し専門的なコース、気軽に参加できるコースを設定し、まずは参加学生の数を増やしたい。<中堅/建設・住宅・不動産>
・昨年は募集時期が遅かったため、少し早めに募集を開始する。<中小/メーカー>
・幅広い層に認知してもらうための取り組みが必要。プログラムの内容も学生のニーズに合うものを考えたい。<大手/メーカー>
・社内の様子をいかに短時間でわかってもらい、学生の記憶に残せるか検討が必要と感じています。<中堅/メーカー>
・今年度は、若手社員との触れ合いの機会を増やす予定(座談会、ランチなど)。<中小/建設・住宅・不動産>
・採用につながるよう、インターンシップ終了後も定期的に連絡したい。<中小/IT>
10-1. 2027年卒採用⾒込み
次年度の採用数は「2026年卒並みの⾒込み」が5割台後半(57.0%)。現状では「未定」も多いが(25.5%)、「増える⾒込み」(11.8%)が「減る⾒込み」(4.1%)を上回る。従業員1000人以上の大手企業では、「増える⾒込み」が2割近い(18.4%)。
10-2. 2027年卒採用で注⼒したいこと
「プレ期の活動の強化」(62.1%)、「インターンシップ等の実施・強化」(59.9%)が約6割で多い。規模別に⾒ると、多くの項目で大手企業のポイントが高く、採用数の増加に伴い強化する動きがうかがえる。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社キャリタス/4月22日発表・同社プレスリリースより転載)