企業におけるリスキリング実施の実態及び課題意識を調査 (2023年9月版)
「はたらいて、笑おう。」をビジョンに掲げるパーソルグループのパーソルイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:大浦 征也)が展開する、リスキリング支援サービス『学びのコーチ』は、全国の企業にお勤めの方を対象に、「リスキリング」に関する定点調査を四半期ごとに実施しています。3回目となる今回は、企業におけるリスキリング推進の課題意識が明らかになりました。調査結果をお知らせします。
※本調査でいうリスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。
■調査サマリー
✓すでに約半数の企業がリスキリング施策を実施しており、前回の6月調査(41.6%)よりも伸長
✓リスキリングの取り組みに成果を感じている企業は約8割となり、前回の6月調査(63.7%)から大きく増加
✓大企業のリスキリング施策について、年間予算は1千万円以上~3千万未満との回答が25.9%
■調査結果
✓約半数の企業がリスキリング施策を実施しており、前回の6月調査(41.6%)よりも伸長
回答者が所属している企業において、「直近1年の間で、従業員のリスキリング施策に関する取り組みを行いましたか︖」と尋ねたところ、「実施した」と回答した方は、今回は49.1%(前回41.6%)と増加し、今後も伸びていくと思われます。
企業規模別の回答を見ると、大企業に勤めている方の「実施した」との回答が、今回は64.3%(前回64.1%)に対し、中小/スタートアップ企業に勤めている方の「実施した」が前回は28.0%、今回は40.5%となり(前回28.0%)、中小企業やスタートアップ企業の実施率が大幅に増加してきたものの、リスキリング施策は、大企業が先行して取り組んでいる実態が伺えます。
✓重視するスキルに「AI活用(ChatGPT等)」が上昇 AI導入、検討している企業の増加
回答者が所属している企業で取り組んでいるリスキリング施策において、「どのスキルを習得することを重視していますか︖」と尋ねたところ、1位は「データ活用(35.6%)」、2位は「AI活用(ChatGPT等)(34.7%)」、3位は「業務プロセス設計(31.5%)」となりました。前回と変わらず1位は「データ活用」と変わらないものの、次いで「AI活用(ChatGPT等)」が前回の4位(30.3%)よりも向上したことを鑑みると、業務でAIを導入、または導入を検討している企業が増えたことがわかりました。
企業規模別の回答を見ると、大企業に勤めている方では1位は「データ活用(43.9%)」、2位は「AI活用(ChatGPT等)(40.4%)」、に対し、中小/スタートアップ企業に勤めている方では同率1位で「マーケティング(28.7%)」「AI活用(ChatGPT等)(28.7%)」となり、企業規模問わず重視するスキルにAI活用が注目されていることが伺えます。
✓リスキリングの取り組みに成果を感じている企業が増加 80%を超える企業がリスキングの成果を実感
回答者が所属している企業で取り組んでいるリスキリング施策において、「どのように評価されていますか?」と尋ねたところ、「大きな成果が出たと感じている」との回答が、今回は28.7%(前回18.2%)という結果でした。また、「成果を実感できた」との回答も今回は52.1%(前回が45.5%)となり、リスキリングの取り組みに成果を感じている企業が80.8%までに増加していることがわかりました。
✓リスキリングの取り組みを評価するための指標は「管理職、マネジャーの満足度(41.5%)」が1位
回答者が所属している企業において、「リスキリングの取り組みを評価するための指標や基準が定まっている」と回答をした方に「リスキリング施策を推進するうえで、どのような評価指標や基準を定めていますか?」と尋ねたところ、1位は「管理職、マネジャーの満足度(41.5%)」、2位は「組織におけるスキルギャップの度合い(38.5%)」、3位は「従業員の定着率(37.4%)」となりました。これは、管理職、マネジャーもリスキリング施策を重視しており、組織全体で取り組むことが成果を実感することに繋がると伺えます。
✓大企業のリスキリング施策の年間予算と中小/スタートアップ企業の年間予算で大差がなかった「1千万円以上~3千万未満」
回答者が所属している企業において、「リスキリング施策の年間予算について」尋ねたところ1位は「500万円~1千万円未満(28.1%)」、2位は「1千万円以上~3千万未満(25.9%)」となりました。
企業規模別の回答を見ると、大企業に勤めている方では「1千万円以上~3千万未満」との回答が1位(26.3%)に対し、中小/スタートアップ企業に勤めている方では「500万円~1千万円未満」との回答が1位(39.9%)となり、リスキリングの取り組み率と同様に、大企業が先行して、施策に予算を投じている実態が伺えます。
✓リスキリング施策において「重視すること」と「課題」
回答者が所属している企業において、「リスキリング施策において重視することは何ですか?」と尋ねたところ、重視することについては、1位は「従業員リスキリング目的の明確化(28.7%)」、2位は「従業員リスキリングにおける習得スキルの設定(27.8%)」3位は「リスキリング後の従業員自身の業務における企画・実行(26.8%)」が上位となり、従業員が獲得したスキルを新たな業務で活用できることを重視していると考えられます。
また、「リスキリングを推進する上での課題は何ですか?」と尋ねたところ、1位は「施策の企画リソース(体制)が足りない(23.1%)」、2位は「施策の運用リソース(体制)が足りない(21.0%)」、3位は同率して「習得すべきスキルを明確にできない(19.9%)」「スキル習得に適したカリキュラムが用意できない(19.9%)」という結果になりました。
✓成果実感別でみたリスキリング施策の推進における「課題」の違い
回答者が所属している企業において、「リスキリング施策を推進する上での課題」についての回答を成果実感別でみると、成果実感があった企業と成果実感がなかった企業での共通の課題は、「取得すべきスキルを明確にできない」「施策の企画リソース(体制)が足りない」「施策の運用リソース(体制)が足りない」となり、成果実感がなかった企業にあった特徴的な課題は「スキル習得後に実務で活躍できない」ことだとわかりました。習得したスキルを実務に活かせるかによって成果に差を生むと考えられます。
■まとめ
今回、企業のリスキリング施策の実態を明らかにしたいという想いのもと予算と課題感の聴取を行いました。大企業の約60%、中小企業の約40%が1千万円以上の予算を確保されています。金額の大きさや課題感を見ますと、ただの研修で終わらせず、生産性向上などの成果につなげようとする企業の意志・意図を感じることができました。
我々の法人のお客様では既にリスキリング修了者が新たな業務で活躍されています。企業の意志で必要な人財を育成できる成功体験は、デジタル化による企業成長と人的資本管理を支える大切なプロセスだと実感しています。
■調査概要
調査手法 ︓ インターネットリサーチ Fastask(株式会社ジャストシステム提供)でアンケート調査を実施
調査対象 ︓ 全国の企業にお勤めの方
調査期間 ︓ 2023年8月28日~2023年9月1日
対象人数 ︓ 662
企業属性 ︓ ※大企業︓従業員数が300人以上の企業
※中小企業とスタートアップ︓従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置かない企業と従業員数が300人未満で、新規事業開発と成長を経営の主軸に置く企業。大企業の子会社やグループ会社は含まれない。
※製造業:電子部品・デバイス・電子回路製造業、情報通信機械器具製造業、電気機械器具製造業(上記に含まれないもの)、その他製造業
※通信情報サービス:通信業、情報サービス業、その他の情報通信業
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルイノベーション株式会社/ 9月25日発表・同社プレスリリースより転載)