入社前後のトラブルに関する調査2022
日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:芳野 友子)は、新卒採用における入社前後のトラブルの実態を把握するために、2016年の調査(※)に続き2回目となる「入社前後のトラブルに関する調査2022」をインターネットリサーチにより2022年2月28日~3月2日の3日間で実施、大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2年目~5年目の男女1,000名の有効サンプルを集計しました(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。
※2016年の調査は「内定・入社前後のトラブルに関する調査」として2016年5月31日に発表
【調査結果のポイント】
◆内定者インターンシップやアルバイト
参加者の 46.9%が「必ず参加することを求められた」または「参加を強く求められた」と回答
◆新卒入社した会社を「離職した」が 3 割を超す
◆労働条件通知書を「書面にて渡された」は 59.9%、前回調査より下降
◆新卒入社した会社を辞めた理由の 1 位は「仕事が自分に合わない」
労働条件通知書を書面で“渡されていない”人では「労働時間・休日・休暇の条件が
よくなかった」が 1 位に
◆新卒入社した会社における「労働条件通知書の閲覧可否」「新入社員研修や上司・先輩
からの指導・アドバイス状況」で労働組合の有無による違いが明らかに
≪調査に関するコメント≫
「すべての職場にワークルールと労働組合を」
日本労働組合総連合会 総合運動推進局長 内藤靖博
新卒の方を取り巻く環境は、就活中の「オワハラ」の大幅減少や学業に影響を与える「内定後のインターンシップ・アルバイト」の短期化、入社後の「恒常的な時間外労働」「有給休暇の未取得」「サービス残業」の大幅減少など、それらが何に起因するのかは分析が必要ですが、前回調査に比べて改善が見て取れます。
しかし、就活中のセクハラや就労後の労基法違反は根強く存在し、内定後のインターンシップ・アルバイトでは、学生生活の侵食や交通費の持ち出し、無償労働が疑われるコメントもあります。企業側は本結果を重く受け止め、改めてワークルールの周知徹底・遵守に取り組むことが必要です。
他方、離職という観点では、「先輩・上司の指導がなかった人」では 4 割が離職しており、労働条件明示方法別でみると、「労働条件の書面明示がなかった人」の離職率は高い傾向にあります。
新入社員研修や指導・アドバイスの実施、労働条件書面明示の割合は、労働組合のある企業の方が高く、労働組合が経営へのチェック機能を発揮している様子が見て取れます。
また、「仕事が自分に合わない」「人間関係がよくなかった」など、労働条件によらない離職理由が高い傾向もあり、これらを指導・アドバイス実施の有無で見ると、ここでも労働組合のチェック機能が重要であることが分かります。
今回の調査は、連合が本年3月に公表した「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」の対象層とも重なるため、本結果も社会課題の切り口の一つと捉え、今後の運動に生かしてまいります。
◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(日本労働組合総連合会 / 4月28日発表・同会プレスリリースより転載)